辛酸 なめ子,PHP研究所 (2020/3).
出版社の HP より*****
近年、テレビには現役音大生や音大卒業生というアーティストやタレントがあふれ、音大生を題材にした漫画や映画、小説などもよく目にします。
本書は、都内の主要音楽大学に通う現役音大生・音大卒業生の取材と現地調査をもとに、謎のヴェールに包まれた音大生の生活を、音楽には挫折し続けてきたという美大出身の辛酸なめ子さんが、独自の切り口と視点で分析し、読み物としてまとめたものです。
周りからは「ちょっと変」と思われるような習慣でも、音楽という特殊な才能を持った音大生にとっては、いたって普通のことばかり。
そんな才能と夢と希望のヴァイブスにあふれた音大ライフの魅力を、リスペクトと憧れを持ちながら、徹底レポートします。
また、音大卒業生代表として、作曲家・ピアニストとして活躍されている新垣隆さんと辛酸さんとの特別対談も収録。
音大卒業生、現役音大生、音大受験生、音大生が身近にいる人、音大生の恋人が欲しい人、音大に興味がある人、興味がなかった人にも、全ての人に贈る、ありそうでなかった、音大生の変わった生態に迫る本です。*****
「です・ます」調.
まずは音大イベント体験記 : 学祭,公開レッスン,卒業演奏会など.芸大学祭のコンサートには抽選があると聞いてへぇーと思ったが,誰でも体験しようと思えば体験できることばかり.「音大生の不思議な日常」もインタビュー中心で,彼ら彼女らがどんなタイムテーブルで,どんな講義やレッスンを受けているかと言う,具体的なことはわからない.文章は真面目だしイラストにも好感が持てるが,なんと言ってもツッコミ不足.
東京6音大とは,東京芸大・東京音大・桐朋・武蔵野・国立・昭和で,東京芸大は多少別格だが他は似たようなもの...という扱い.しかし1章を占めている「音大潜入ルポ」の対象は洗足学園.ここにはジャズの学科もあり僕的には親しみが湧く.「ジャズコースではみんなそんなに真剣じゃない.プロになりたいと言うギンギンな人はいない.だから平和です」 へぇー! 現代邦楽コースの学生さんの談話「お免状取るのに首級から先生ランクになるまでそのつど礼金が必要で,どんどん金額が上がっていく」...そういう前近代的な制度をバイパスするのが大学じゃないの?
新垣隆さんと辛酸さんとの特別対談はおもしろいが,おもしろいのは人間・新垣かも.
学生時代にご近所だった東京芸大生の印象は,マルキン (金持ちのこと) =音校,マルビ=美校 であったが,それは今もあまり変わっていないようだ.新垣さんが卒業した大学では,付属の高校から上がってくる連中がもっぱら鼻持ちならない特別な階級,すなわちマルキンだったと言う.ピアノ・弦楽器をご幼少の頃からやっている学生はマルキンだが,管楽器・打楽器となるとそうではないようだ.
二宮 敦人 「最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 」新潮文庫 (2019/03) の二番煎じ (ただしあちらは美大こちらは音大) みたいになってしまったのは気の毒.著者は美大出身だそうだが,イラストがそれらしくないところが良い.
出版社の HP より*****
近年、テレビには現役音大生や音大卒業生というアーティストやタレントがあふれ、音大生を題材にした漫画や映画、小説などもよく目にします。
本書は、都内の主要音楽大学に通う現役音大生・音大卒業生の取材と現地調査をもとに、謎のヴェールに包まれた音大生の生活を、音楽には挫折し続けてきたという美大出身の辛酸なめ子さんが、独自の切り口と視点で分析し、読み物としてまとめたものです。
周りからは「ちょっと変」と思われるような習慣でも、音楽という特殊な才能を持った音大生にとっては、いたって普通のことばかり。
そんな才能と夢と希望のヴァイブスにあふれた音大ライフの魅力を、リスペクトと憧れを持ちながら、徹底レポートします。
また、音大卒業生代表として、作曲家・ピアニストとして活躍されている新垣隆さんと辛酸さんとの特別対談も収録。
音大卒業生、現役音大生、音大受験生、音大生が身近にいる人、音大生の恋人が欲しい人、音大に興味がある人、興味がなかった人にも、全ての人に贈る、ありそうでなかった、音大生の変わった生態に迫る本です。*****
「です・ます」調.
まずは音大イベント体験記 : 学祭,公開レッスン,卒業演奏会など.芸大学祭のコンサートには抽選があると聞いてへぇーと思ったが,誰でも体験しようと思えば体験できることばかり.「音大生の不思議な日常」もインタビュー中心で,彼ら彼女らがどんなタイムテーブルで,どんな講義やレッスンを受けているかと言う,具体的なことはわからない.文章は真面目だしイラストにも好感が持てるが,なんと言ってもツッコミ不足.
東京6音大とは,東京芸大・東京音大・桐朋・武蔵野・国立・昭和で,東京芸大は多少別格だが他は似たようなもの...という扱い.しかし1章を占めている「音大潜入ルポ」の対象は洗足学園.ここにはジャズの学科もあり僕的には親しみが湧く.「ジャズコースではみんなそんなに真剣じゃない.プロになりたいと言うギンギンな人はいない.だから平和です」 へぇー! 現代邦楽コースの学生さんの談話「お免状取るのに首級から先生ランクになるまでそのつど礼金が必要で,どんどん金額が上がっていく」...そういう前近代的な制度をバイパスするのが大学じゃないの?
新垣隆さんと辛酸さんとの特別対談はおもしろいが,おもしろいのは人間・新垣かも.
学生時代にご近所だった東京芸大生の印象は,マルキン (金持ちのこと) =音校,マルビ=美校 であったが,それは今もあまり変わっていないようだ.新垣さんが卒業した大学では,付属の高校から上がってくる連中がもっぱら鼻持ちならない特別な階級,すなわちマルキンだったと言う.ピアノ・弦楽器をご幼少の頃からやっている学生はマルキンだが,管楽器・打楽器となるとそうではないようだ.
二宮 敦人 「最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 」新潮文庫 (2019/03) の二番煎じ (ただしあちらは美大こちらは音大) みたいになってしまったのは気の毒.著者は美大出身だそうだが,イラストがそれらしくないところが良い.