Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

孤独な少年の部屋

2020-07-30 09:08:11 | 読書
中島義道 角川書店(2008/3).

古書店店頭の一冊100円の中から発掘した.

帯の惹句*****架空の世界地図、恐るべき緻密さで描かれた理科ノート,神経症的な植物標本,巻物のような歴史年表… 闘う哲学者が綴る痛切なノスタルジィ・エッセイ.
牢獄のような自己愛と「死」への恐怖の中,少年が一縷の希望を託して作り上げたささやかな品々の記憶.*****

195-6ページから引用すると**** (普通の子の仲間に入れず,架空の世界地図以下のようなことに夢中になっている) 自分が普通でないことを自覚して死にたいほど苦しみながら,同時に普通であることを渇望し,普通であることの価値を疑わずに生きてきた....(中略)...両親も先生方も私の普通でない部分を少しも尊重してくれなかった.むしろ頭から「調教」しようとした.こうした「修行」こそが、いまでも私の中にうごめく傲慢を打ち砕いてくれ,私に生きる力を授けてくれるのである.*****

本書を読んだ限りでは,著者はまだじゅうぶんに傲慢であると感じられる.小中校の授業なんか聞かなくてもわかりきっていたとしても,大人になればそんなことは忘れてしまうものだろう,それを本にするのは,「闘う哲学者」だから?

目次*****
地図 / 宇宙 / 大豆の観察:昆虫採集・植物採集 / 紙芝居 / 歴史年表 / 理科ノート / 製図 / 小遣い帳 / ピアノ / 英語 / (絵)日記
*****

表紙のイラストは,スマホ画面に指で描いたように見えるが,著者中2のときのポスター.ただし本文には猫 (狸?) は残念ながら登場しない.
著者の小1からの通信簿,賞状,教科書,夏(冬)休み帳,夏休みの宿題の紙芝居・昆虫採集・植物採集・温度調べ,図工の時間の作品,小遣い帳など,全て取ってあるのだそうだ.
本書は角川のPR誌「本の旅人」連載がもとになっているそうだ.前から7-8割は作品解説みたいだが,後ろの方「小遣い帳」以下はネタ切れか ? ふつうのエッセイ.家庭環境の変遷が明らかになる.母親は生き生きとしているが父親は影が薄い.
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