Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「幸いなるハリー」

2021-08-10 15:23:57 | 読書
イーディス・パールマン, 古屋 美登里 訳,亜紀書房(2021/07).

図書館の本で残念なのは,カバーを取ったらどんな表紙かわからないこと,帯がないこと.トップ画像はネットにあったものだが,帯の惹句は的確だ.ここに「倉本さおり」のように推薦者の名前がある場合は,本人が書いたかどうかは別として,あまりひどいことはない.
装幀 (鳴田小夜子,装画・牛尾篤) もいい.

著者は 1936 年生まれでこの本のもとは 2015 年刊行の Honeydew.2020 年にこのうちの 10 篇がまず「蜜のように甘く」のタイトルで同じ古屋訳で亜紀書房から出版され,この本は残りの 10 篇.似たようなことをスティーヴン・ミルハウザー 「ホーム・ラン」のあとがきでも読んだ.ぼくも含め,日本人は厚い本に手を出さない,ということだろうか.

「蜜のように甘く」は未読だが,「幸いなる...」は残り滓ではない,と思う.
どれも違うがどれも同じだ,と思ったが,その理由はあとがきにあった著者のエッセイの抜粋に明記されている.
*****短編の結末では,縺れた糸を撚り合わせるという長編に必要なことをしなくていもいいのです.得体の知れなさこそが,短編小説の持ち味です****
である.
例えば表題作「幸いなる...」は5人家族の物語.高校教師である父親がロンドンの大学から講演以来のメールを受け取ることから始まる.差出人ハリー・ウォレル教授は結局最後まで登場しない.

ぼく的ベストは5色型色覚を扱った「静観」.
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