Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ねたばらし SF西遊記

2021-08-27 09:40:53 | 読書
昨日の続き: 石川英輔「SF西遊記」講談社 (1976/6).

松本零士の「SF西遊記スタージンガー」はこの石川本が原案らしい,しかしアニメに比べ,石川本はストーリーは原典をなぞっている.原典 → 石川 → 松本 のストーリーの変遷は伝言ゲーム.あるいはエントロピー増大を思わせる.

石川本に登場するのは物質的な人間と神仙である.玄奘は前者,悟空・八戒・悟浄は後者.神仙界はくだらぬ官僚社会として描かれている.
ストーリーは物質的人間である釈迦の仏滅から始まる.神仙界は釈迦の誕生のはるか以前から登場しているはずだが,釈迦の頭脳は神仙界では絶対的存在になるらしい.釈迦の子分 ? の観音菩薩も神仙や悟空たちを超越している.

釈迦により悟空は五行山に押し込められるが,その押し込められた500年の間に科学技術が進歩する.
天竺への旅は宇宙旅行.神仙くずれの妖怪たちはこの500年の物質文明におれる科学技術を悪用して (矛盾していて面白い!) 悟空たちを苦しめる.「閉じ込められた悟空の巻」で悟空を閉じ込めるのはブラックホールである.
金角銀角,紅孩児,牛魔王なども登場する.しかし,いくつかの章は石川の創作かもしれない...西遊記の原典をちゃんと読んだことがないからわからないけれど.

悟空の筋斗雲は光速を超えることができるが,玄奘の宇宙船「白馬号」は亜光速でしか飛行できない.しかし18年の大旅行を終えて地球に戻ってみると,そこではすでに2000年の時が流れていた,という最終章 ! 
そこには後味の良い結末が待っていた.
コメント
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