Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

石川英輔 「SF西遊記」

2021-08-26 09:09:45 | 読書
講談社 (1976/6).1981 講談社文庫.

また100円古書.
あとがきによれば,SF同人誌「宇宙塵」に「八戒の巻」まで連載したものに大幅に加筆したとのこと.著者 石川英輔は今では お江戸評論家のイメージが強いが,「SF三国志」「SF水滸伝」というのも書いている.でも,どうみても,西遊記がいちばんSF向き.

この本の刊行以来,西遊記の研究は大いに進んだらしい.本書の解説では呉承恩がまとめたとあるが,そうではないらしい.また「矛盾だらけ荒唐無稽」というが,中野美代子 (「西遊記の秘密―タオと煉丹術のシンボリズム」岩波現代文庫(1984)) によれば「一見いかにも荒唐無稽な小説『西遊記』だが,実はこの作品はメタフィジックな欲求にとりつかれた人々がでっちあげた,壮大な知的遊戯のテキストだった.」ということになる.

前にもここに書いたことだが,西遊記を読んだのは小学生時代であって,はじめの方で単独で大暴れする悟空はすごく強いのに,三蔵法師の弟子となって旅をする途中では, 妖怪にやっつけられてその度に観音様に助けを仰ぐという情けない存在になってしまうなぁ...という感想を持った.

原典では後半の天竺行での艱難辛苦はワンパターンだが,石川本はうまく間引いている.強かった悟空が情けない存在となることにも,それなりの理屈がついている.単独で天界で大暴れする「悟空の巻」はそれに対してページ数が多い.

長々と書きすぎたが,続きがあるかも.
コメント
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