江戸川乱歩,岩波文庫(2017/10).
なんでこれが岩波文庫 ?? どの岩波文庫にも巻末にある「読書子に寄す」という文章の趣旨に合っているだろうか ?
Amazon の紹介*****
「少年探偵団」は,少年物第2作.明智探偵,小林少年が,宝石を狙う二十面相に立ち向かう.犯行予告時刻のその時まで対決が続く.『超人ニコラ』は,四半世紀間,書き継がれた少年探偵団シリーズの最終作.戦時色が強まる中,筆名を変えてまで執念を以て書かれた児童向きの小篇「智恵の一太郎ものがたり(抄)」も収録.(解説=小中千昭,解題=吉田司雄)*****
少年探偵団(1937年1月~12月 少年倶楽部),超人ニコラ(1962年1月~12月 少年),知恵の一太郎ものがたり抄(1942年1月~1943年4月 少年倶楽部).16トンが覚えているのは 1952年 少年 連載の「怪奇四十面相」あたりからである.学校で「次は百面相だな」などと悪口を言い合った覚えがあり,ハラハラドキドキ読んでいたくせに,一方では覚めていたらしい.
「解説」にあるように,この二十面相シリーズをミステリとして評価することはできない.ワンパターンな展開を一種の様式美として愛でるようになるには,一旦乱歩世界を卒業して他の作家を周知する必要がある,ということか.
「超人ニコラ」は大人向きの「猟奇の果て」1930年のリライトだそうだが結構面白い.人間コピー製造がネタ.小林少年が活躍しすぎる.連載時の名残りで,ときどき そこまでのあらすじが,唐突に現れる.
「解題」にあるように,ニセモノの一家四人 (プラス,これもニセモノの小林少年) が楽しく食卓を囲む場面が,乱歩の目指したところではないらしいが,怖い.最後に,ニコラ = 二十面相とわかる場面に既読感があったが,そう思って読んでいただけのことかもしれない.
「智恵の一太郎...」は時局柄 原稿料も印税も入らなくなった著者が手を出した子供向けの科学読み物だが,くだらない.いかにも出来そうなことをミステリに使うのは構わないが,「すじみちをたてて...」を標榜する科学ものでは,それではいけない.「知恵の火」では氷で作った凸レンズで太陽光を集めて火をつけるが,実験してみれば絵空ごととわかるはず.
図書館で借用.
なんでこれが岩波文庫 ?? どの岩波文庫にも巻末にある「読書子に寄す」という文章の趣旨に合っているだろうか ?
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「少年探偵団」は,少年物第2作.明智探偵,小林少年が,宝石を狙う二十面相に立ち向かう.犯行予告時刻のその時まで対決が続く.『超人ニコラ』は,四半世紀間,書き継がれた少年探偵団シリーズの最終作.戦時色が強まる中,筆名を変えてまで執念を以て書かれた児童向きの小篇「智恵の一太郎ものがたり(抄)」も収録.(解説=小中千昭,解題=吉田司雄)*****
少年探偵団(1937年1月~12月 少年倶楽部),超人ニコラ(1962年1月~12月 少年),知恵の一太郎ものがたり抄(1942年1月~1943年4月 少年倶楽部).16トンが覚えているのは 1952年 少年 連載の「怪奇四十面相」あたりからである.学校で「次は百面相だな」などと悪口を言い合った覚えがあり,ハラハラドキドキ読んでいたくせに,一方では覚めていたらしい.
「解説」にあるように,この二十面相シリーズをミステリとして評価することはできない.ワンパターンな展開を一種の様式美として愛でるようになるには,一旦乱歩世界を卒業して他の作家を周知する必要がある,ということか.
「超人ニコラ」は大人向きの「猟奇の果て」1930年のリライトだそうだが結構面白い.人間コピー製造がネタ.小林少年が活躍しすぎる.連載時の名残りで,ときどき そこまでのあらすじが,唐突に現れる.
「解題」にあるように,ニセモノの一家四人 (プラス,これもニセモノの小林少年) が楽しく食卓を囲む場面が,乱歩の目指したところではないらしいが,怖い.最後に,ニコラ = 二十面相とわかる場面に既読感があったが,そう思って読んでいただけのことかもしれない.
「智恵の一太郎...」は時局柄 原稿料も印税も入らなくなった著者が手を出した子供向けの科学読み物だが,くだらない.いかにも出来そうなことをミステリに使うのは構わないが,「すじみちをたてて...」を標榜する科学ものでは,それではいけない.「知恵の火」では氷で作った凸レンズで太陽光を集めて火をつけるが,実験してみれば絵空ごととわかるはず.
図書館で借用.