Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「穴あきエフの初恋祭り」

2022-07-08 09:41:30 | 読書
多和田葉子,文藝春秋 (2018/10).2021/7 文庫入り.
図書館で借用.この作家さんは「献灯使」以来.

7篇の短編集.
「穴あきエフ」はアナーキーなキエフ.2011 年「文学界」に発表.今年2月のロシアによるウクライナ侵攻のタイミングで文庫化したら話題になったかもしれないのに.
「おと・どけ・もの」の発表は2009 年「文学界」.これもコロナで宅配便が隆盛を極めることを見越したような作品.
「胡蝶、カリフォルニアに舞う」は,「 I は (中略) 目を覚ました」という文章で始まる.この I は,例えば伊藤さんというような名前の頭文字と,最初は思ったが,読み進むうちに一人称の代名詞かと思い当たった.落語のオチみたいな結末.
そういえば「穴あきエフ...」では魚籠透をビクトル,那谷紗をナターシャと読ませたりしている.登場人物の名前が作家のこだわりか ? 楽しみか ?

全体に奇を衒いすぎという気もするが,喜んで読んでしまったところをみると,こういうのが好きなんだろう.
朝日新聞連載の「白鶴亮翅 (はっかくりょうし)」は,短編に比べると,話が跳ぶ時は跳ぶと断っているあたり,普通の小説だ.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg