Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「西遊記動物園」

2022-07-09 20:56:23 | 読書
実吉達郎「西遊記動物園」六興出版 (1991/2).

Amazon の内容説明*****
奇書『西遊記』のなかを右に左に駈けめぐる珍獣・奇獣たち。この不思議の国に踏みこんで、動物学の観察と考証で妖怪変化の正体を解き明かした痛快エッセイ。

目次*****
美猴王・斉天大聖孫悟空 / 天蓬元帥猪剛鬣・悟能八戒 / 深沙王・捲簾大将沙悟浄 / 嶌八部天龍・玉龍三太子の白馬 / 冥界・水簾洞・天竺の分類学 / 釈迦如来による真猿亜目の講義 / 孫大聖の六人の義兄弟 / 二郎真君 vs 悟空 - 化けくらべの動物学 / 平天大聖・牛魔王とその一家 / 通天河を泳ぎまわる金魚 - 霊感大王の魚類学 / 仏母大孔雀明王の由来 / 七人の女怪と百眼魔君 - 盤糸洞の昆虫学 / 観世音菩薩の金毛吼とは何ものか / 地湧夫人・金鼻白毛老鼠精 / 如来も観音も閉口する琵琶洞の女怪 / 悟空はかつて羅刹女と結婚した !? / 玉兎の怨み - 一寸の虫にも五分の魂
*****

古書.目次を見てすぐに購入した.こういうのが好きなのだ.

著者は動物学者.しかし,こどもの時からの西遊記との付き合いが高じて,原典・論考・研究書のみならず,映画・漫画・TVアニメの収集が香港,シンガポールにも及ぶことになったそうだ.でも文章からは中野美代子の影響がうかがえる.

出だしでは,本書は動物学者の視点で書こうとしたらしく思われる.しかし次第に視点がずれて来て,それにつれて面白くなる...多分書くのも楽しくなってきたのだろう.
収集から厳選したと思われるたくさんの挿画も,小さすぎるけれど楽しい.

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アルプより,「小さな桃源郷」

2022-07-09 08:48:14 | 読書
池内紀編「小さな桃源郷」幻戯書房 (2003/8).

図書館で借りたが,
池内紀編「ちいさな桃源郷 - 山の雑誌アルプ傑作選」中央公論新社 (中公文庫 2018/3)
として文庫化されていた.

「BOOK」データベースより*****
串田孫一と仲間たちが一九五八年に創刊した、山の文芸誌「アルプ」。執筆陣の鋭い観察と深い省察は、いずれも強靱な思想に支えられたものだった。二十五年にわたり愛読された伝説の雑誌より、畦地梅太郎、上田哲農、尾崎喜八、辻まこと、西丸震哉、深田久弥ほか、傑作山エッセイ三十三編を精選。*****

巻末に,編者による「『アルプ』のこと」という文章.1958-1983 に刊行された「アルプ」について,「並はずれて美しく,並はずれて高価な雑誌だった」と書いているる.「山の雑誌だが,山の案内はしない.コース紹介,技術や用具をめぐる実用記事まるでなし.広告は一切のせない.」
確かに初めて手に取ったとき,「なにこれ」と思ったのを覚えている.
池内さん 1940-2019 とは同世代で「とりたてて愛読者というのではなかった.それでもときおり,懐をはたいて買った」ところはまったくおなじだった.

装丁 (緒方修一) も挿画 (谷山彩子) も気の利いた美しい本.「小さな桃源郷」は先祖代々地味に暮らしている山村を念頭につけたタイトルのようだ.どこかに「昭和でおわり」という意味の文があったと思う.今訪れたら,良くて ポツンと一軒家というところかな.

教科書に載っていそうな文章が多く,思ったほど没入できなかった.波長が合うのは辻まことだが,「小屋で暮らしたとき」には発表時 1962 に絵はなかったのだろうか...  1966 刊行の「山からの絵本」では「小屋ぐらし」というタイトルで画文になっている.下はそこから一枚.


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