Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

疫病短編小説集

2022-07-27 08:32:27 | 読書
R.キプリング, K.A.ポーター ほか, 石塚 久郎 監修「疫病短編小説集」平凡社ライブラリー (2021/3).
図書館で借用.

目次*****
疫病 : 「赤い死の仮面」エドガー・アラン・ポー
天然痘 : 「レディ・エレノアのマント」ナサニエル・ホーソーン
コレラ : 「見えざる巨人」ブラム・ストーカー
 「モロウビー・ジュークスの奇妙な騎馬旅行」ラドヤード・キプリング
 「一介の少尉」ラドヤード・キプリング
インフルエンザ : 「蒼ざめた馬 蒼ざめた騎手」キャサリン・アン・ポーター
疫病の後 : 「集中ケアユニット」J・G・バラード
解説 : 石塚久郎*****

すでに同じ編者により同じシリーズから「病短編小説集」「医療短編小説集」が出版されているが,疫病ものは編者の好みにより「病短編小説集」から敢えて排除されていた.しかし逼迫した状況が訪れ,個人的な好みに拘泥している場合ではなくなった.本書は目下の状況に対する文学の世界からのひとつの応答である...というのが編者の言葉である.

しかし,編者も言うように,疫病をテーマとする短編は少ないらしい.この本ではポー,ホーソーン.ストーカー (ドラキュラの著者) の3編は寓話的であまりに古典的.キプリング (16 トンにとってはジャングル・ブックの著者) の2篇のうち,「一介の少尉」は個人的には面白かったとは言えず,読み応えがあったのは半分以下, (と,強いて言えば論文みたいな解説).
天然痘,コレラなどの分類はあまり意味がないように思う.

「モロウビー...」 はコレラから生き返った患者たちを閉じ込める蟻地獄みたいな場所でとても怖い.いちばん長い「蒼ざめた馬...」はよく言えば読み応えがあり,悪く言えば読みづらい.ぼくのベストは 1977 作の「集中ケアユニット」で,コロナ時代を先取りている.ここでは夫婦生活も家庭生活もリモートで,敢えてこのルールを破った一家が陥る事態が...
「疫病短編 SF 集」を編集したらおもしろいものができそう.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg