小津夜景「いつかたこぶねになる日」新潮社 (文庫 2023/10).
出版社による紹介*****
世界を愛することと、世界から解放されること――詩はこのふたつの矛盾した願いを叶えてくれる。南仏・ニース在住の俳人である著者は、海を空を眺めながら古今東西の先人たちの詩(うた)を日々の暮らしに織り交ぜて、新たなイメージの扉をしなやかにひらく……。杜甫、白居易、夏目漱石、徐志摩らの漢詩を優しく手繰り寄せて翻訳し、いつもの風景にあざやかな色彩を与える、全31編のエッセイ集。*****
表題の一編,たこぶねはタコの一種で,メスは卵を保護するために殻をつくる...なんて,初めて聞いた.
初めて聞くことは「紙ヒコーキの乗り方」にも.紙ヒコーキを発泡ポリスチロールで作るといつまでも浮くのだそうだ.こちらに作り方がアップされていた.
「人生は紙ヒコーキ」みたいな話になり,ゴーギャンの「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」から,良寛の詩の引用に展開する.
我生何処来
去而何処之
2行だけ引用したが,トップ画像左の本書のコピーは 12 行の最初の3行.「我」を「僕」とする口語訳は著者によるもの.
この本は帯が言うように「南フランス,ニース発.漢詩のあるくらしに誘う極上エッセイ」である.