野見山暁治「とこしえのお嬢さん - 記憶のなかの人」平凡社 (2014/10).
古書市で購入した1冊.著者の交友録が主体だが,巻末に関係ないインタビュー「野見山暁治,自作を語る」.写真2ページと絵画6ページからなるカラー口絵はインタビューに沿っている.
交友録の登場人物が帯に印刷されていたので下に示した.各人にタイトルがつけられていて,「とこしえのお嬢さん」はセンゴク・シズコへのタイトル.この他「還ってこなかったこなかった妖精 : 純子」等,一般に知られていない人に関する章が小説みたいで面白い.最後の「ある弔文 : 武富京子」の対象は野見山夫人.「ある同級生 : 佐々木四郎」は「遺された画集」にも収録されていた.
「老いたフォービスト : 里見勝蔵」「筒袖の巨匠 : 坂本繁二郎」「ぼくは勇気がないのです : 小磯良平」などでは,画壇の大家たちをはっきりと過去の人として描いていて小気味良い.一番つまらなかったのが「幼な子のまなざし : ピカソ」だった.
「女にとりつかれた日々 : 川上宗薫」によれば,この小説家と 彼の小説とは表裏一体であったようだ.
建築家「武士は食わねど : 篠原一男」は「住む人の利便を考慮して設計は致しません.わたくしの作った空間が,そこに住む人間を鍛えてくれるはずです」と標榜する.野見山はこの人が設計した家に住んで鍛えられたらしい.
著者の絵はわからない.カバーのペンギン ? が,どうして とこしえのお嬢さん ? と思ってしまうが,文章はそれぞれがおもしろかった.
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