Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

セントとデシベル

2009-02-03 17:09:39 | 新音律
デシベルという単位はからないと,たいていの理工系・電気系の学生に嫌われている.かく言う自分も嫌いだった.

セントはドルの1/100というお金の単位だが,学生時代に原子炉の反応度の単位としても使うことを知った.反米反核の気運の中で,気色悪い単位であった.
その後ずっと (お金以外の) セントのことは忘れていたが,音の相対的な高さの単位として,我が人生に再度セントが登場した.平均律における半音の差が100セントである.オクターブは12半音なので1200セントである.

じつは空気中で聞く音とは空気の振動であって,音の高低は振動数の大小に対応する.ただし聴覚は対数的なので,ふたつの音の周波数をf1,f2とすれば,ふたつの音高の差は,対数logの底を2にとることにして,2を下つきにする代わりにlog(2)と書くと
1200 x log(2)[f1/f2] セント
となる.f1-f2がそのままセントになるわけではない.

この単位はデシベルと同じで.こちらはふたつの電力P1,P2の違いを,底を10とする対数を使って
10 x log(10)[P1/P2] デシベル
である...という.

音高のセントという単位は,ちょっとした音楽の本には登場し,文科系の方にもほとんど抵抗なく使われている.ピアノの鍵盤のように目に見えるものと対照できるし,対数など知らなくても使える.周波数などという故事来歴とは離れて一人歩きして,メートルやキログラムと同じ感覚で使われているのだ.
デシベルのほうは,まず電力の絶対値から入門せざるを得ないのがややこしいところだろう.デシベルも (セントも) ふたつの値を比較するための単位だが,デシベルではこのことがなかなか飲み込めない.ところがセントではこのことがあっさり受け入れられるのもおもしろい.

音高のセントは Alexander J. Ellis の提案で,初めて登場したのは,彼による,Helmholtz の大著の英訳 On the Sensations of Tone の付録だったという.ちなみにこの英訳版は1/3くらいが付録である.

カットのせんとくんとは関係ない話題でした.
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 広島駅新幹線口探検 | トップ | 珍弁たこめし »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

新音律」カテゴリの最新記事