YouTube に李香蘭バージョンを発掘した.映画「支那の夜」の一場面だが,相手役の長谷川一夫がやたらにタバコをふかすのにちょっと違和感.先日の「ごちそうさん」バージョンはこちらです.
胡弓みたいなポルタメント唱法と悠揚迫らぬテンポが大陸的だが,これが蘇州夜曲の楽譜.ここではハ長調 (C major) で記譜してある.メロディではファ (F) は使わない.ヨ抜き音階すなわち不徹底なヨナ抜き音階だろうか?
でも, ソで始まってソで終わる.ト長調 (G major) じゃないの.ト長調は # がひとつつくのだが,メロディでは # がついた音 #F は使わない.だからハ長調として楽譜に書くことができる.
でもト長調と思うとコードに Dm が出てくるのは変だ.
G ミクソリディアン (G mxolydian) モード,すなわち GABCDEF という音階だろうか.
それにしては D7 という,ト長調的なコードが変だ.
Wikipedia の「音階」に「中国の音階」という項があり「微調式」としてドレファソラ ( I II IV V VI ) というのがあった.G をキーとすれば,GACDE の5音階である.これが中国ムードの源泉らしい.
違うのはメロディに B も適宜使っていること.これがテンションのような,わさびのような効果を与えている.
この曲は戦前中国で大ヒットしたが,反動で現代中国では禁制扱いと聞いたこともある.でも冒頭の YouTube は中国語圏からの投稿?
と言うわけで結論は,この曲はいろんな音階をミックスした,高級な曲ということ.しかし作曲者はそんなことは考えず,直感的なひらめきで作ったのだろう.
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