カーク・ウォレス・ジョンソン, 矢野 真千子訳.化学同人 (2019/8).
16字の漢字が作る 4x4 マトリクスを配したカバーデザインに惹かれ,図書館で借りた.原題は The Feather Thief.
アマゾンの内容紹介*****2009年6月。ロスチャイルド家がヴィクトリア時代に創設した博物館から、約300羽の鳥の標本が消えた。世にも美しい鳥が行きついた先は、希少な羽で毛針を制作する愛好家たちの世界だった! この突拍子もない盗難事件を偶然知った著者は、最初は好奇心から、やがては正義感から、事件の調査に乗り出す。羽毛をめぐる科学史と文化史、毛針愛好家のモラルのなさと違法取引、絶滅危惧種の保護問題、そして未来へのタイムマシンとなりうる標本と、それを収集・保存する博物館の存在意義。スピーディーに展開される犯罪ルポルタージュ。*****
美しい羽で毛針を作る愛好家たち.この疑似餌は鑑賞されるだけで魚釣りの現場に使われることはない.とうに絶滅した,あるいは絶滅が危惧される鳥たちの羽が,超高価で取引されるという異常な社会.しかしこれを垣間見るのは面白いが,上記要約で十分かもしれない.あちらの通俗科学書の類は.重厚長大が常識らしく,この邦訳も380ページ.新書版くらいに適当な内容を無理やり長くした感がある.
第1部 捕われる鳥、裕福な人 / 第2部 トリング窃盗事件 / 第3部 真相究明,の3部構成だが,第2部だけで十分.第1部はもっと簡潔にできる.第3部は著者の個人的な事件調査.ミステリーを期待したが曖昧な結果に終わった.
化学同人という出版社には学生時代にお世話になつたが,今はこう言う本も出しているのだ !
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