「須賀敦子が選んだ日本の名作: 60年代ミラノにて」河出書房新社 (文庫 2020/12).
須賀 敦子(1929 - 1998)を随筆家としてしか認識していなかったが,日本現代文学をイタリア語でイタリアに紹介するという業績もあったのだ.この本は彼女がイタリア語で出版した小説の原文集.
この企画にどんな意味があるのか解らないが,目次を見たら 読んだことがない・読んだかもしれない タイトルが並んでいたので,図書館で借用した.
上が訳出された作品とイタリア語のタイトル.このように彼女の 1965 年のイタリア・ボンビアーニ社刊の編訳本には 24 作家の 25 作品が収録されたが,この本にあるのは * 印の13 作品だけ.こうして眺めると,漏れた作品が面白そうに見えてくる.どうせなら文庫本上下2巻にして全部収録して入れればよかったのに.
それぞれに解説があり,中山エツコにより須賀のイタリア語から和訳されている.
巻末の池澤夏樹による「解説,あるいはアンソロジストの苦難と栄光」は,池澤が日本文学全集 全30巻 河出書房新社 (2014-2017) を個人編集したときの作品の取捨選択と比較した記述.池澤の全集は長編も古典も含めひとり一冊 (あるいは 1/2,1/3 冊) が原則なのに対し,須賀のは短編中心を1冊 ? にまとめたもの,という違いはある.
そのまえの,大竹昭子による解説 ?「読んで欲しい人がすぐそばにいる」は翻訳に重点があるようだ.
巻頭にはジョルジョ・アミトラーノ (日本文学者・ナポリ東洋大学教授) の「序」.
個々の作品については,いずれ...
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