Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「マクシミリアン・エレールの冒険」

2021-08-13 12:39:20 | 読書
アンリ・コーヴァン, 清水健 訳,論創社 (論創海外ミステリ 2021/5).

本書に解説を書いている,北原尚彦(作家・翻訳家・ホームズ研究家)による惹句*****
名探偵の代名詞シャーロック・ホームズの知られざるモデルかもしれない人物、その名は「マクシミリアン・エレール」。推理小説史上、重要なピースとなる19世紀のフランス・ミステリが遂に邦訳。*****

ホームズが登場する「緋色の研究」の刊行は1887だが,この「マクシミリアン...」はそれより16年前の1971刊行.探偵の長身痩躯な外形,物憂げな表情,犯罪や毒物のことならなんでも知っていること,変装の名手であることなどを,コナン・ドイルがパクった可能性は否定できない.「緋色の研究」「恐怖の谷」の2部構成も本書とそっくり.ホームズはベイカー街イレギュラーズとして子どもを手下に使うが,その原型もここにある ?

しかし,ドイルが本書を読んだという証拠はない.

ただし,ホームズ あるいはドイルが影響されたというポーのデュパンの持つ,理詰めの推理の面白さは本書には希薄.ストーリーはマクシミリアンとモリアテイを思わせる天才的犯罪者との知恵比べだが,行き当たりばったりの行動が偶然に助けられ解決に至る感じ.語り手は医師だがワトソンに比べると影が薄い,と思ったら,長い「エピローグ」でいいところを見せた.

図書館で借用.


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 八千代の丘美術館 夏まつり | トップ | ふたたび「大佛次郎敗戦日記」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事