Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

60年前のプラズマの講義ノート

2023-07-04 07:56:41 | 科学

約 60 年前の一丸節夫先生による「プラズマ工学基礎論」の講義ノートを発掘,左はその一部.青焼の試験問題も挟んであった (中).講義は1コマ半年で,タイトルの「工学」の文字は原子力工学科で行われたためと思う.内容は

***** 1 序論,2 プラズマ中の衝突現象,3 電磁流体力学的なプラズマの扱い,4 近似的な粒子軌道運動論,5 連続媒体としてのプラズマ,6 プラズマの安定性 *****

大学の力学や電磁気学の講義の内容はほぼ決まっているが,(たぶん今でも) プラズマ物理となると その内容は先生次第.ちなみに,F. Chen "Introduction to Plasma Physics (and Controlled Fusion)" は,現在 網羅的・標準的な教科書のひとつとされているが,その初版出版は 1974 年である.
たぶん 1965 年のこれは,少々駆け足ながらプラズマ物理全般を見渡したバランスのとれた内容と思う...とか言って,実はぼくは先生の板書を訳もわからずせっせとノートに写すだけのことだった.

卒論も大学院も化学関係だったが,大学院を中退してプラズマの研究所に就職し,高エネルギー物理の研究所ではプラズマ加速をテーマとした.でもプラズマで飯を食うとなると,プラズマ物理のほんの小さい領域をつつき回すことになり,プラズマ物理全体には目が及ばなかったと,ノートを見て実感している.

この講義のとき一丸先生は講師だったが,ぼくが卒論を書いた研究室の秘書さんを射止められ,一緒にイリノイ大学に行ってしまった.という訳で,奥様とは親しく ? お話したことはあるのだが,先生とは講義を拝聴しただけでおわった.


丸善に一丸先生の著書「高密度プラズマの物理」日本評論社 (2020/5) があった.先生は 2014 年にチャンドラセカール賞を受賞されたが,授賞理由 - 「強結合プラズマ理論の構築と適用に関する貢献」に関連する内容で,英文からの翻訳らしい.特に「第4章 プラズマに入射された荷電粒子やX線」に興味を惹かれたが,高価なので買え (い) ませんでした.


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 不思議な山名 個性の山名 | トップ | 名作ミステリで学ぶ英文読解 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

科学」カテゴリの最新記事