Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

田中優子「江戸の音」

2012-12-11 08:23:23 | 新音律
河出文庫 (1997/09).

著者は法政大学社会学部教授だそうだが,この分野の本はほとんど読んだことがなかったので,新鮮だった.
「です,ます」調だがリズムがよく,200 ページほどと薄いこともあってすぐ読んでしまった.
テーマは江戸の音楽だが,タイトルは「音」であって「音楽」ではない.江戸では音と音楽の境界はあいまいだったのだ,

4章から構成されていて,それぞれのタイトルは「三味線と越境するモダニズム」「歌舞伎または夢の軍部」「江戸音曲の広がり」「伝播と涵養,花咲く技法」.
第3章は武満徹との対談.対談と言うと,2-3行ないし数行おきに話し手が交代するのがふつうだが,ここではひとりが2-3ページ長広舌をふるうと,また相手が2-3ページ喋りまくるという調子.

大学のジャズ研で実験ジャズなるものをやっていたのだが,始めも終りもない・音階より音色重視・状況を取り入れる・逆に共演者に左右されず勝手に音を出す,等のこころみは,江戸時代の音楽をなぞっていたのかもしれない.

これを読んで三味線に挑戦したくなった,そのくせ,浄瑠璃を聴気体,歌舞伎を観たいという気は起きないのがふしぎ.
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姫路で途中下車

2012-12-09 07:56:42 | エトセト等


ANA の機内誌で姫路が紹介されていた.そこに出ていたカレー屋さんを訪問.
http://www.indean.jp/index.html
駅を挟んで姫路城とは反対側.ちなみに,城側はラーメン地帯,反対側すなわちことらははカレー地帯だそうだ.

目当ての店は左の青いドアの店 Indean だが,なんと隣もインド料理店だった.若いときだったら,はしごして食べくらべたところだ.

まんなかに正方形の大テーブルがあって四辺に2-3人がけのベンチ.まわりにテーブル席.カウンターもある.てきとうに古くさい内装が良い.スタッフは女性 3 人.

常連はお得な日替わりランチらしいが,初めてなのでシンプルなビーフカレー 700 円を注文.長時間煮込んで3日間寝かせたやわらかビーフとのことだが,とろけるという感じはない.カレーそのものはしゃぶしゃぶで,甘くて辛くてスパイシー.
ヨーグルトかサラダかどちらかがついてくる.

駅まで戻って 100 円のループバスで市立美術館「象徴派 - 無限美の使徒たち」へ.
ルドン,ボナール,ゴーギャン,さらにエミール・ガレなどもあったが,ギュスターヴ・モローの作品が中心のようだった.
もったいないことに,がらがらだった.


これはムンクの版画「死と乙女」.彼の作品は不健康で,20 世紀を超えて 21 世紀も象徴している.
しかしこの絵は,PC 画面では,会場で見たときのようにシヨッキングでなく,単なるイラストに見えてしまう.
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めちゃくちゃ転調曲

2012-12-07 08:23:12 | 新音律


電子書籍用に作ったコード進行アニメ 3 作 (Autumn Leaves, Giant Steps と,この Up Up and Away) は,楽曲使用料が高額のため,あえなく全滅.この Up Up ... も,転調するたびに楽器が変わるアレンジ・ふらふらと浮遊するバルーンなど,力作だったのに残念だ.
ご覧のように,"Key Changes" というサブタイトルをつけて YouTube にアップしてある.

いま,YouTube への 3 作のアクセス数を見たら
Autumn Leaves 7日前にup :78
Giant Steps 6日前にup :78
Up Up and Away 5日前にup : 19
コルトレーン健闘.Up up... は何と言っても知名度が低い.いずれにせよこのブログへのアクセス数にくらべると桁違いに少ない.

転調もさることながら,Up up... ではコード進行も,Autumn Leaves や Giant Steps に比べると規則性が明白でない.でも,耳にすっと入ってくる.さすが 1967 年にグラミー賞を受賞しただけのことはある.同じ Jimmy Webb の By the Time I Get to Phoenix も好きだ.

めちゃくちゃ転調の例として,電子書籍用には代わりに All the Things You Ae を録音したのだが,曲の作りはいかにも正統的.こちらの Up Up ... の方がやっぱり面白かったなぁ.

ちなみに,All the ... を作曲した Jerome Kern は 1945 年没なので,曲だけなら自由に使えるのでした.
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アートと音楽 @ 東京都現代美術館

2012-12-05 07:44:31 | 新音律


バリエーション Céleste Boursier-Mougenot(2009)
見ても綺麗,聴いても綺麗.
ただしこれは東京都現代美術館ではなく,サンパウロで展示された時の映像.美術館では池がひとつしかなかった.



Forest and Trees 大西景太(2011)
物理の公式を見ているようだ.
作家のHPは
http://www.onishikeita.com/index2.html

ボク的にはこれらが展覧会のピカイチならぬピカ2.
http://www.mot-art-museum.jp/music/

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ペンギン・ハイウェイ

2012-12-03 08:03:56 | 読書
森見登美彦 角川文庫 (2012/11).

「ぼくはたいへん頭がよく,しかも努力をおこたらずに勉強するのである.」
という始まりには鼻白むが,語り手が小学四年生なら許せるか,と読み進んだ.
この「ぼく」はいくつか研究テーマをかかえていて,ひとつが行き詰まると,とりあえず別なテーマを手がける.ノートにつける.ここだけは小説を読んだぼくと同じである.

この子には歯科医院のお姉さんも研究対象である.彼女のおっぱいが気になってしようがない.大人の読者としては,彼女の,この小説には書かれていない部分 (小学生以外にボーイフレンドはいないのか?!とか) を知りたいところ,

はじめは,村上春樹ふうかと思い,真ん中あたりでは万城目学みたいと思ったが,最後は SF らしくおわった.時空のひずみという無味乾燥なしかけに,ペンギンというかわいい小道具を登場させのが著者のセンスなんだろう.
2010 日本 SF 大賞受賞作だそうだ.審査員達もなかなかやるじゃないか.

解説 萩尾望都.カバーイラスト くまおり純.
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5 度円上の ジャイアント・ステップス

2012-12-01 07:51:31 | 新音律


コルトレーンらしく,ちょっと目には目まぐるしいコード進行だが,前半・後半それぞれ規則性がある.全体を 2 小節単位に見ると5度円を 120 度に3分割している.「枯葉」のように5度円を30度ずつ一歩一歩たどるのがショート・ステッフスなら,こちらはジャイアント・ステップスだ,これが曲名の由来とか.

このアニメーションは出版準備中の電子書籍用のための労作だが,著作権使用料 10 万円であえなく没になったもの.

こうして5度円を見ると,コルトレーンばかりでなく,パーカーも,ベートーベンも,お釈迦様ならぬピタゴラス様の掌の上でもがいているのだな,と感じられる.
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