Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

解錠師

2012-12-27 09:20:38 | 読書
スティーヴ・ハミルトン,越前敏弥 訳.ハヤカワ文庫 (2012/12)

宝島と文春で今年のミステリのベスト.MWA賞最優秀長篇賞,CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞も総ナメとのこと.海外の賞のことは知らないが,読んで損はなかった,というより,得をした.
ミステリと称して読者を限定するよりも,訳者があとがきに書いているように,ヤングアダルトにも読ませたい一般書と言うほうが賢明かも.

8 歳のときの出来事で失語症になった主人公マイクは,それと関係するかどうかしらないが,絵を描くことと,鍵を開けることの才能に目覚める.1991年から始まるストーリーと,1999年から始まるストーリーが,マイクによって交互に語られる構成がおもしろい.彼女のために,空き家の壁に絵で過去を説明する場面が印象的.
解錠手順の描写も真に迫っている.そのほか,この小説のよいところは全部あとがきに書いてあるようだ.

原題の The Lock Artist を「解錠師」と訳すのはいかがなものか.しかし,結末近くに電子錠が出現し,artists の時代の終を予感させる.最後にとつぜん警察が出てきて,解決 ? してしまうのがちょっと不本意だが,これで良いのかも.
コメント (2)
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