【ＮＹ株】：急落、１４６４ドル安 過去２番目の下げ、相場転換点に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【ＮＹ株】：急落、１４６４ドル安 過去２番目の下げ、相場転換点に
【ニューヨーク共同】１１日のニューヨーク株式市場のダウ工業株３０種平均は新型コロナウイルス感染症の大流行を受け、前日比１４６４・９４ドル安の２万３５５３・２２ドルと急反落した。連日乱高下が続き、２月１２日の最高値から下落率は２割に達した。金融危機以来の「弱気相場」に入り、これまでの上昇基調から転換点を迎えた。
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ニューヨーク証券取引所のトレーダーたち＝１１日（ロイター＝共同） |
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１日の下げ幅としては３月９日に記録した２０００ドル超安に続き、過去２番目の大きさ。
欧州市場もつられて下げ、英国株は約４年ぶりの安値。ドイツやフランスも下落した。コロナウイルスを巡る動向に一喜一憂する形で、今後も世界的に波乱の展開が予想される。
元稿：北海道新聞社 主要ニュース 経済 【金融・財政・株式】 ２０２０年０３月１２日 ０９：４１：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【東証】：３７０円安 午前９時１５分現在
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【東証】：３７０円安 午前９時１５分現在
１２日の東京株式市場の日経平均株価（２２５種）は午前９時１５分現在、前日終値比３７０円３６銭安の１万９０４５円７０銭だった。（共同）
元稿：北海道新聞社 主要ニュース 経済 【金融・財政・株式】 ２０２０年０３月１２日 ０９：３７：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【為替】：ＮＹ円、１０４円半ば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【為替】：ＮＹ円、１０４円半ば
【ニューヨーク共同】１１日のニューヨーク外国為替市場の円相場は午後５時現在、前日比１円１４銭円高ドル安の１ドル＝１０４円４５～５５銭をつけた。ユーロは１ユーロ＝１・１２６４～７４ドル、１１７円８６～９６銭。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行で景気後退への懸念が強まり、相対的に投資リスクが低いとされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。
元稿：北海道新聞社 主要ニュース 経済 【金融・財政・為替】 ２０２０年０３月１２日 ０７：０３：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】：新型コロナ対策 経済支えるには程遠い
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【社説①】：新型コロナ対策 経済支えるには程遠い
暮らしを覆う不安を払拭（ふっしょく）するには力強さを欠く。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府が決めた緊急対策第２弾のことだ。
感染拡大防止や検査体制の強化のほか、一斉休校の影響を受ける保護者の休暇取得支援や企業の資金繰り支援などを盛り込んだ。
感染拡大を抑えつつ、国民生活や企業活動を支えるという方向性に異論はない。だが影響の深刻さを考えれば、規模、内容とも十分とは言えまい。
消費税増税による消費低迷に新型肺炎の打撃が重なり、景気悪化懸念が強まっている。世界同時株安など金融市場の動揺も大きい。
安倍晋三首相は大規模なイベントの自粛を１０日程度延長するよう要請した。先の見えない不安がこの先も続くことになる。
影響が長引けば、しわ寄せが及ぶのは低所得者など生活弱者や地域経済を支える中小零細企業だ。
政府は長期化も念頭に、補正予算を視野に入れた追加支援策を早急に打ち出す必要がある。
休校に伴い子供の世話で仕事を休む保護者の所得対策では、当初は対象外としていたフリーランスや自営業者についても日額４１００円を補償するという。
対象に含めたことは前進だが、外部から業務委託を受けているなど条件が課され、金額も会社員の上限額の約半分に抑えられた。
国は働き方の多様化を推進している。働き方の違いで格差が生じることには疑問を禁じ得ない。
そもそも全国一斉の休校要請は専門家の意見を踏まえたものではない。要請するにしても、休校に伴う不利益に対する補償とセットで示すべきだったのに、泥縄式の対応で不安や混乱を招いている。
病院など休校対応で人手不足に陥る職場への対策も不十分だ。
資金繰り支援では、売り上げが急減した中小企業向けに実質無利子、無担保の融資制度を設ける。
ただ無利子、無担保であっても企業にとっては借金だ。負債を抱えるより廃業を選ぶ経営者が増えかねない。借金に対する企業の慎重姿勢は、第１弾の融資制度の活用が低調なことでも分かる。
返還不要の給付金など、事業継続を促す手だても検討すべきだ。
対策が小出しとなったのは、新年度予算案の組み替えを要求されるのを嫌い、財源を本年度予算の予備費に求めたことが大きい。
経済活動は急速に縮小している。政府は広がる影響を詳細に把握し、実効性ある手厚い対策を講じるべきだ。
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 ２０２０年０３月１２日 ０５：００：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】：センバツ中止 選手の健康考えた判断
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【社説②】：センバツ中止 選手の健康考えた判断
日本高校野球連盟はきのう、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、甲子園球場で１９日から無観客で開催の予定だった選抜大会の中止を決めた。
選抜大会は太平洋戦争の影響で１９４２～４６年に中断したが、予定されていた大会が中止となるのは初めてだ。
道内から出場するはずだった白樺、帯農をはじめ、甲子園でプレーするのを楽しみにしていた球児の無念さは察するに余りある。
だが、感染拡大が終息するめどが立たない中、選手や観客の健康と安全を最優先に考えれば、中止はやむを得まい。
一人一人が感染予防を心がけることでウイルスを早く封じ込め、夏の大会へ夢をつなげたい。
高校スポーツでは、全国高等学校体育連盟に加盟する団体が３月に予定していた２４の全国大会を全て中止にした。
高体連に加盟していない高野連の選抜大会だけが開催を強行すれば、理解を得られない可能性があった。
無観客で開いても、宿舎などで選手に感染者が出れば、途中で中止せざるを得なかっただろう。
選抜大会は伝統があり、ファンも多い。甲子園がある兵庫県西宮市も甚大な被害を受けた１９９５年の阪神大震災や、開幕直前に発生した２０１１年の東日本大震災を乗り越えた。
球児の夢をかなえ、被災地を励ます役割も担ってきた。
それだけに、関係者は今回、一生に一度かもしれない夢の舞台を踏めなくなった選手たちの思いに寄り添う必要がある。
選手に中止に至った理由を丁寧に説明し、理解してもらう努力を惜しまないでほしい。
球児の希望を消さぬためにも、夏の大会の開催に向けた準備を着実に進めることが大事である。
大会関係者は状況を注視しながら、開催の方策を探ってほしい。
新型肺炎の拡大で安倍晋三首相がイベントの自粛を要請し、他のスポーツにも影響を与えている。
プロ野球は開幕を延期し、大相撲が春場所を無観客で開いている。サッカーＪリーグも試合の再開延期を決めた。
今年の夏にはスポーツの祭典である東京五輪・パラリンピックが予定されているが、予定通り開催できるか見通せなくなってきた。
スポーツは出場選手にとって活躍の舞台であり、見る人に感動を与える。大会がふつうに開かれる状態を一日も早く取り戻したい。
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 ２０２０年０３月１２日 ０５：００：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【卓上四季】：原子力ムラのうそ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【卓上四季】：原子力ムラのうそ
９年前のきょう、東京電力福島第１原発の１号機建屋が爆発するテレビ映像を、多くの国民が固唾（かたず）をのんで見つめた。あの時、ＮＨＫに出ていた識者の「爆破弁を作動させたのではないか」という奇妙なコメントを今でも覚えている▼もちろんデタラメで、既に原子炉は制御できる状態ではなかった。いわゆる原子力ムラの一員だ。
事故直後の福島に乗り込み、「放射線の影響はにこにこ笑っている人には来ない」と言ってひんしゅくを買った専門家もいる。あの事故までは、こんな調子の楽観的なうそがまかり通っていた▼原子力ムラは、電気という便益と事故というリスクを丁寧に比較して、国民を納得させたのではなく、原発にリスクはないと説明してきた。「絶対安全」の安全神話がふりまかれていたところへ、降って湧いた過酷事故である▼だからこそ、約４万人の福島の人が避難生活を続けていることを忘れてはいけない。しかも事故は人災で、想定を甘くしていたのは東電と国だ▼避難者が損害賠償を求めた訴訟では、札幌地裁のように東電と国の責任を認めた場合でも賠償額は低い。そもそも、放射能汚染で故郷が失われる事態を、どう償えるのだろうか▼炉心溶融を起こした原子炉の内部は分からず、廃炉の見通しは立たない。汚染水も増え、「コントロールされている」などという言葉は「世まい言」だ。事故は終わっていない。２０２０・３・１２
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】 ２０２０年０３月１２日 ０５：００：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】：「福島第１」事故から９年 脱原発で出直すしかない
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【社説①】：「福島第１」事故から９年 脱原発で出直すしかない
東京電力福島第１原発で炉心溶融につながる過酷事故が起きてから、きょうで９年となった。
地元の帰還困難区域の一部で今月、初めて避難指示が解除されたものの、避難生活を送る福島の人たちは今も約４万人を数える。
９年の時を経てもなお、地元の人たちが以前の暮らしを取り戻す見通しは全く立っていない。
なのに政府は原発の再稼働を進める方針を改めようとせず、電力各社は反省を忘れたかのように原発絡みの不祥事を連発している。
あってはならぬ過酷事故を起こした以上、脱原発で出直す以外の道がないことを自覚すべきだ。
出典：Air Photo Service Co. Ltd
■復興いまだ見通せず
政府は昨年暮れ、福島第１原発の廃炉の工程表を２年ぶりに見直した。そこから読み取れるのは作業の遅延である。
例えば、原子炉建屋のプールに残る使用済み核燃料の取り出し開始は従来計画よりも１号機で最大５年、２号機で最大３年遅れる。
プールからの燃料取り出しは平時でも定期検査ごとに行われており、本来は難しい作業ではない。
思うように進まないのは、事故でがれきが散乱したり、建屋が汚染されたりして、安全に作業できる環境が整わないからだ。
溶け落ちた核燃料（デブリ）に至っては詳しい状態が分からず、除去のめどすら立っていない。
にもかかわらず、政府は２０４１～５１年に廃炉を完了する目標を維持した。「出口」を変えず、廃炉が全般的に進んでいるかのような誤解を与えるのは問題だ。
復興いまだ見通せず―。それが福島の被災地の現実である。
福島第１原発の敷地内には、現在も放射性物質トリチウムを含む汚染水がたまり続けている。
経済産業省の有識者委員会は先月、保管スペースをこれ以上確保できないとして、薄めて海に流す案を有力とする提言をまとめた。
土地が不足するのは早くから分かっていたのに、政府は具体的な対策を先送りし続けてきた。
地元の漁業者が強く反発するのは当然だろう。福島県沖の昨年の水揚げは約３６００トンと震災前の約１４％にとどまる。風評被害を恐れ、漁獲を増やしたくても増やせないのだ。
このまま海洋放出を強行すれば、風評被害が拡大し、地域の漁業は崩壊しかねない。政府には丁寧な対話を通じ、地元が納得する解決策を見いだす責務がある。
■不誠実な政権の姿勢
「未来を拓（ひら）く産業が、今、福島から次々と生まれようとしています」。安倍晋三首相は１月の施政方針演説で、福島の現状をこう語り、今年の東京五輪を「まさに『復興五輪』だ」と強調した。
現実とこれほど乖離（かいり）した国会演説も珍しいのではないか。
首相は１３年の五輪招致の際、福島第１原発の汚染水処理について「私が保証する。状況はコントロールされている」と世界に向けて断言した。
過去の軽々しい発言とのつじつま合わせのため、結果の出ていない「復興」をことさら強調するのは、被災者に対して不誠実だ。
首相がなすべきは、その場限りの聞こえの良い言葉を発することではない。福島の教訓を踏まえた政策を打ち出すことである。
核燃料サイクルはすでに破綻し、原発が動くほど高レベル放射性廃棄物が行き場もなく積み上がっていくのが日本の現状だ。
それでも安倍政権は、１８年に改定したエネルギー基本計画で原発を「重要なベースロード（基幹）電源」と位置付け、３０年度の電源に占める割合を２０～２２％とする目標も変えようとしなかった。
目標達成には約３０基の稼働が必要となり、非現実的である。来年の基本計画見直しに向け、脱原発の具体的道筋を示すべきだ。
■反省なき原子力ムラ
電力業界は最近、福島の被災者の痛みなど眼中にないかのように不祥事を繰り返している。
デタラメぶりが極まったのが日本原子力発電だ。原子力規制委員会に提出した敦賀原発２号機の審査用の地質データを無断で書き換えていたことが先月発覚した。
敦賀２号機は真下に活断層がある可能性が指摘されている。データ改ざんは、国民の生命や財産よりも自己保身を優先する企業体質を図らずも示したと言えよう。
四国電力は１月、伊方原発３号機の定期検査中に誤って原子炉から制御棒を引き抜いたり、一時的に外部電源を失ったりするトラブルを続発させた。関西電力の金品受領問題も解明が進んでいない。
泊原発でのトラブルが続く北海道電力を含め、これでは国民が信頼して原発を委ねるのは無理だ。
国策民営の原発政策を改め、再生可能エネルギーを軸にした新たな電力供給の仕組みを築かない限り、福島事故に終わりは来ない。
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 ２０２０年０３月１１日 １０：５５：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【卓上四季】：大震災から９年
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【卓上四季】：大震災から９年
「三月の君は何処（どこ）にもゐないがゐる」。俳人の照井翠さんが、岩手県釜石市の鵜住居（うのすまい）地区防災センターで起きた「釜石の悲劇」の犠牲者に思いを寄せて詠んだ▼東日本大震災の際、２階建て防災センターの屋上付近まで津波が襲来し、逃げ込んだ住民約１６０人が亡くなった。本来の避難場所ではなかったが、日ごろの避難訓練に使われていた▼照井さんは記す。「ここで娘さんを亡くしたある母親は、幾度もこのセンターを訪れた。鳥が鳴けば、『ああ、あの娘の声だ』と近寄り、『○○子だね、母さんにはわがるよ、ちゃんとわがるよ』と愛（いと）おしそうに声をかける」。こうしたエッセーをまとめた「釜石の風」の表紙には、既に解体されてしまった防災センターの写真を選んだ▼悲劇の一方、小中学生の犠牲者が極めて少ない「釜石の奇跡」も有名だ。同じ鵜住居でも、鵜住居小、釜石東中の児童生徒は、高台に逃れて全員無事だった。今は両校とも移転し、跡地にはラグビー・ワールドカップの会場となったスタジアムが立つ▼あの日から９年。復興事業で被災地の光景は一変した。姿を消す震災遺構はつらい体験と同時に、懐かしい記憶を伝えるよすがでもあったろう▼復興の名の下の急激な変化に戸惑う人もおられよう。災害公営住宅では孤独死も増えている。決して癒えぬ喪失感を抱く被災者に寄り添うことの意味をあらためて自問する。２０２０・３・１１
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】 ２０２０年０３月１１日 ０５：００：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】：東日本大震災９年 復興へ支援の手緩めずに
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【社説①】：東日本大震災９年 復興へ支援の手緩めずに
２０１１年の東日本大震災の発生から、あすで９年になる。
今月１日時点で、死者１万５８９９人、行方不明者２５２９人に上り、震災関連死は３７００人を超える。避難生活をする人も約４万８千人とまだ多い。
東京電力福島第１原発事故が起きた福島県は、放射線量が高く原則立ち入り禁止の帰還困難区域があり、廃炉や汚染水対策、まちの再生など課題山積だ。
津波被害の大きい宮城県や岩手県は、堤防や住宅整備などハード事業を終えつつあるが、被災者の孤立化で心のケアなどソフト事業が重要になっている。
復興庁は復興期間１０年の前半を集中復興期間、後半を復興・創生期間とし手厚く支援してきた。だが、巨大災害からの復興は容易ではない。地域間でばらつきがあり、人口流出は深刻だ。
政府は、復興庁の設置期限を３１年３月末まで１０年間延長した。被災地の声を丁寧にくみ取り、財政的、人的支援に全力を挙げなければならない。
■帰還なお難しい福島
不通だった福島県のＪＲ常磐線富岡―浪江間約２０キロが今月１４日に運転を再開する。これに伴い、１０日までにこの区間の３駅とその周辺などの避難指示が解除される。
避難指示が出た１１市町村で唯一全域避難中だった双葉町は４日に一部解除となった。ただ、帰還を希望する人は１割にとどまる。
すでに一部地域が解除された浪江、富岡両町に帰還した人も同様の状況だ。
常磐線と並行する国道６号は帰還困難区域を走るが、朽ちた店舗や家屋などが今も残る。復興に向けた道のりの厳しさを物語る。
双葉町は、２２年春ごろの居住再開を目指している。帰還を望む人が安心して戻れるよう、医療や介護、買い物など生活環境の整備が急務だ。近隣の自治体との連携も検討すべきだろう。
一方で、政府の姿勢が帰還ありきと感じる避難者も少なくない。
仕事や学校の事情で避難先に定着した人が多く、放射性物質を危惧する人もいる。必要な支援に加え、帰還した人との分断を防ぐための交流事業も求められよう。
■見守りで孤独死防ぐ
津波被災地では、まちのかさ上げ事業の進捗（しんちょく）度により復興に地域差が出ている。岩手県陸前高田市は計１３８ヘクタールの土地造成を計画し、約６割が完成したが、利用率は４割で空き地が目立つ。
他に例のない巨大事業で時間がかかり、住民は高台に家を建てたり、他地域へ流出したりした。
まちを再建するため、移住や定住政策を進め、産業を再生し、交流人口の拡大を図る必要がある。
災害公営住宅には高齢や資金不足で自宅再建を断念した人も少なくない。震災や病気で職を失い家賃を滞納したり、値上げで生活再建が進まぬ人もいる。被災者を後押しできる制度に改善すべきだ。
住み慣れた土地を離れ、近所づきあいが減り、孤独死も相次いでいる。見守り態勢やコミュニティーづくりに一層力を入れ、孤立化を防ぎたい。
被災地では風化で震災が忘れ去られることへの危機感が強い。賛否両論ありつつも震災遺構を残したり、伝承活動が行われている。
児童７４人、教職員１０人が津波の犠牲になった宮城県大川小の遺族らは、校舎を震災遺構として残すことに決めた。「遠くの人、未来の人」に同じ過ちを繰り返してほしくないと願うからだ。
大川伝承の会で語り部活動に取り組む佐藤敏郎さんは、裏山に登れば「救えた命」だったと伝える。修学旅行などで遺構を目に焼き付け、語り部の話に耳を傾け、防災意識を高めたい。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府は１１日に予定していた政府主催の追悼式の中止を決めた。ただ、１０年となる来年を最後に打ち切る方針だという。
震災を風化させぬよう、式を継続すべきではなかろうか。
■防災専門省庁検討を
「ここが３４・４ｍ（メートル）」。神戸市の「人と防災未来センター」の外壁には警鐘を鳴らす目印がある。
南海トラフ巨大地震の最大津波高で、１０階建ての建物に相当する。道東沖でも釧路管内浜中町で同程度の津波が想定されている。
平地の多い道内は自治体庁舎や病院、福祉施設、学校などの高台移転や高層化、津波避難タワーなどの整備を急がねばならない。
河田惠昭センター長によると、国内で過去１５００年に千人以上犠牲になった災害は少なくとも９９回ある。１５年に１回の割合だ。いつ起きてもおかしくないという心構えが必要である。
政府には国民の命を守る防災専門の省庁がない。平時から備えや啓発を担い、司令塔の役割を果たす省庁の創設も検討課題だ。
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 ２０２０年０３月１０日 ０５：００：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【卓上四季】：東京大空襲
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【卓上四季】：東京大空襲
米国のケネディ、ジョンソン両政権で国防長官を務めたマクナマラはベトナム戦争に本格介入し、後に回顧録で「大きな誤りだった」と告白した。この悔恨の書には、ベトナム以外のことがほとんど触れられていない▼記録映画「フォッグ・オブ・ウォー」で、マクナマラは１９４５年３月、日本空爆作戦を指揮した司令官ルメイの下で働いたことを振り返っている。統計の専門家として、Ｂ２９が防空網のはるか上空を飛ぶため損失は少ないが、爆撃の精度も落ちるとの報告書をまとめたという▼７５年前の３月１０日未明、東京上空に侵入したＢ２９の大編隊は超低空で焼夷（しょうい）弾をばらまき、下町を焼き払った。マクナマラは「戦争に勝つためには一晩で１０万人を焼き殺していいのか」と述べている▼率直な反省の弁ともとれるが、うつろに響く。１０万人の大量殺りくは統計の数字ではない。それぞれ名前も顔も声も持つ誰かの死だ▼たとえば、ある母親は赤ちゃんを背に、髪や着物が燃えあがる地獄の中を逃げ惑った。「背中の子どもが、そのとき、ギャーッと、異様な声をあげましてね」「口の中が真っ赤。いえ、血じゃないの。泣いている口の中に火の粉が入っているんですよ」（早乙女勝元著、「東京大空襲」）▼ルメイは当時、マクナマラに「負けたら、われわれは戦争犯罪人だ」と言ったそうだ。だが、勝てば許されるのか。そんなわけがない。２０２０・３・１０
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】 ２０２０年０３月１０日 ０５：００：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】：楽天の携帯参入 競争促進につながるか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【社説①】：楽天の携帯参入 競争促進につながるか
楽天が４月に本格参入する携帯電話サービスの料金を月額税抜き２９８０円にする。大手３社の大容量プランの半額以下となる。
だがデータ通信が無制限の使い放題となるのは東京２３区、大阪市、名古屋市など自社回線のある地域に限られる。
道内などでは一定の制限を超えると通信スピードが落ちる。引き続き高速データ通信を使用するには別に支払いが必要になる。
楽天の参入は、ＮＴＴドコモ、ＫＤＤＩ（ａｕ）、ソフトバンクの大手３社の寡占状態が続く携帯電話市場に競争を促すと期待されてきた。しかし現時点では大都市以外では恩恵が薄そうだ。
携帯電話はいまや生活になくてはならない社会インフラである。公正な競争を通じて、全国どこにいても安くて利用しやすい料金体系となるよう努力してほしい。
楽天は当初、昨年１０月の改正電気通信事業法施行に合わせて参入する予定だったが、自前の基地局整備が遅れて延期していた。
携帯料金下げの旗振り役を務めてきた菅義偉官房長官は「事業者間の競争が本格化していく」と楽天の参入を評価した。
だが道内など楽天の自社回線がない地域ではＫＤＤＩの回線を有償で借りてサービスを提供する。
そのデータ量が上限の月２ギガバイトを超えると、１ギガバイト当たり５００円を払わなければ、高速データ通信を利用できない。
自前の基地局数は３月末で４４００となる見込みで、来年３月末までに各都道府県にエリアを広げるという。十数万局以上を持つ大手３社との差は大きい。
楽天の参入が価格競争につながるかどうかは不透明だ。
楽天が実施した無料試験サービスでは機器の不具合による通信障害などが発生した。技術面で超えるべきハードルもありそうだ。
本来、政府が民間の料金に口出しする「官製値下げ」は好ましくない。公共の電波を利用する通信会社の競争を促すためにどのような環境を整えるべきか、知恵を絞らなければならない。
楽天は主力の通販サイトの商品送料を無料にする新制度の導入について事実上延期を決めた。送料を負担する出店者が反発し、公正取引委員会が緊急停止命令を出すよう東京地裁に申し立てていた。
寡占状態に風穴をあけ、携帯電話料金を下げてほしいとの消費者の期待に応えるためには、目の前の課題を一つ一つ解決し、信頼を得ていくしかないだろう。
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 ２０２０年０３月０９日 ０５：０１：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】：高評価の道産米 変化対応力が問われる
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【社説②】：高評価の道産米 変化対応力が問われる
日本穀物検定協会が発表した２０１９年産米の食味ランキングで、道産米３銘柄が最高評価の特Ａに格付けされた。
９年連続のゆめぴりか、１０年連続のななつぼしに加え、ふっくりんこが３年ぶりに復帰した。
主食米の生産調整（減反）が廃止され、産地間の競争は激しさを増している。道産米の食味の良さが高評価を得たことを喜びたい。
近年は気候変動や農家の労働力不足が深刻化し、変化に即応して品質を維持するのは簡単なことではない。農家と生産者団体、道が結束し、産地としてのブランド力を高める努力を続けてほしい。
道南が主産地のふっくりんこは参考出品の１４年産を含め３年連続で特Ａを獲得したが、その後は次点のＡ評価が続いていた。
新函館農協（北斗市）は昨年、品種開発時に定めた肥料の与え方や育苗など１０の栽培基準を守るよう農家に呼びかけ、取り組み状況を調査するなど徹底した生産管理を実行し、特Ａ復帰につなげた。
開発の原点に立ち戻り、栽培の基本に徹することがいかに大事であるかを示したと言えよう。
１９年産米で特Ａを獲得した全国の産地品種銘柄数は５４に及んだ。夏場の高温の影響が懸念された中で、宮城など４地区で特Ａになった「つや姫」など高温耐性品種への高い評価が目立った。
最高級ブランドの新潟県魚沼産コシヒカリでさえ、１７年産ではＡ評価に転落したように、気候変動が生育環境にもたらす変化は大きい。農家には今まで以上にきめ細やかなコメづくりが求められる。
道産米のエース、ゆめぴりかも、品質基準を満たした認定品の割合は、不作だった１８年産が４０％未満、１９年産も７５％を下回り、消費者の期待に応えきれていない。
それだけにホクレンが最近、毎年高い割合で認定品を出荷している農家の栽培手法を冊子にまとめ、道内のコメ農家に活用を促したのは、うなずける取り組みだ。
今後懸念されるのは、農家の大規模化や高齢化に伴う労働力不足にどう対応していくかである。
ホクレンは農家への助成金制度を設け、直播（ちょくはん）などの省力化技術を普及させる考えだという。
直播用のコメの品種開発も進んでおり、昨年から本格栽培が始まった「えみまる」は、収量が多く、食味も良いと評判だ。
ゆめぴりかをブランド米に育てた道立総合研究機構を中心に、時代の変化に適応した品種と栽培方法を確立することに期待したい。
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 ２０２０年０３月０９日 ０５：００：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【卓上四季】：アメリカの兵士
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【卓上四季】：アメリカの兵士
米国の大統領の就任式では、有名なミュージシャンらがコンサートを開く。３年前のトランプ氏の時には「アメリカン・ソルジャー」という曲が演奏された▼「金や名誉のためではなく、未来を開くのが私の責任だ」「命を投げ出せと言われれば誇りを持ってそうする。なぜなら自由はタダじゃないから」と、なんとも勇ましい。歌ったのはトビー・キースという保守派のカントリー歌手だ▼アフガニスタンやイラクでのテロとの戦い最盛期、米軍を鼓舞して人気を博した。「米国の爆撃でウサギのように逃げ回る」と、アフガンの反政府勢力をあざ笑った「タリバン・ソング」に兵士たちは沸いた▼そこまで敵視したタリバンと、トランプ政権は仲直りするらしい。米国は１４カ月以内に駐留米軍を撤退させ、タリバンはアフガン政府との和解協議を始めることで合意した。キース氏も驚いただろう。兵士を家族の元に返して支持を増やし、大統領再選を図る計算は明らかだ▼歴代大統領が終止符を打とうとして失敗した「米国史上最長の戦争」。目指すはテロリストの攻撃を未然に防ぎ、自国の重要施設を攻撃から守り、もし攻撃されてもすぐに反撃できる体制をつくることだった▼それらは達成できたのか。未達成のままでは、命がけで戦った米兵たちが惨めだ。加えてこの大統領は時に合意や協定を覆す。長い戦争が終わったようには見えない。２０２０・３・９
元稿：北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】 ２０２０年０３月０９日 ０５：００：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案】：１２日に衆院通過 新型コロナ、緊急事態宣言可能に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案】：１２日に衆院通過 新型コロナ、緊急事態宣言可能に
衆院内閣委員会は１１日、新型コロナウイルス感染症を新型インフルエンザ等対策特別措置法に加える改正案を可決した。１２日の衆院本会議で可決し、１３日の参院本会議で成立する見通し。１４日にも施行され、私権制限を伴う緊急事態宣言が可能になる。宣言の発令に際し、国会への事前報告を求める付帯決議も賛成多数で採択した。
新型コロナの同法への追加は施行から２年以内の時限措置で、改正案を担当する西村康稔経済再生担当相は、対象とする期間について「１年を考えている」と説明した。
緊急事態宣言は、国民の生命や健康に著しく重大な被害を与え、全国的かつ急速なまん延により国民生活や経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある場合に、首相が発令できる。都道府県知事は、外出自粛や多くの人が集まる施設の利用制限などを要請できる。
宣言に伴う私権制限には懸念が強いが、西村氏は「専門家の意見を聞いて判断しなければならない」と強調した。付帯決議は宣言に当たり「国会へ必要な事項を事前に報告する」「あらかじめ感染症に関する学識経験者の意見を聴取する」ことなどを求めた。付帯決議に法的拘束力はない。
改正案には自民党、公明党のほか、付帯決議を求めた立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などが賛成。共産党は反対した。
与野党は１１日の参院予算委理事会で、安倍晋三首相が出席する集中審議を１６日に行うことで合意した。（広田孝明、吉田隆久）
元稿：北海道新聞社 主要ニュース 社会 【災害・地震・津波・東日本大震災】 ２０２０年０３月１２日 ０２：２４：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【新型コロナ】：「パンデミック」 ＷＨＯが表明、早期終息困難か
『漂流する日本の羅針盤を目指して』：【新型コロナ】：「パンデミック」 ＷＨＯが表明、早期終息困難か
【ジュネーブ共同】世界保健機関（ＷＨＯ）のテドロス事務局長は１１日、新型コロナウイルス感染症について「パンデミック（世界的大流行）と表現できるとの判断に至った」と述べた。ＷＨＯとしてこれまで、ウイルス封じ込めへの取り組みを諦めず行うよう各国に呼び掛けてきたが、早期の終息は困難と判断したとみられる。
ウイルスの大規模感染が中国にとどまらずイタリアや韓国、イラン、日本など世界の広範囲に拡大し、これらの国からさらに他国に感染が広がる例も多く発生。全世界で感染者数が約１２万人、死者は約４３８０人に上っている。
元稿：北海道新聞社 主要ニュース 社会 【医療・健康・新型コロナウイルスの感染拡大に不安の拡大】 ２０２０年０３月１２日 ０２：０４：００ これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
