【決別 金権政治】:被買収者を再聴取 東京地検、100人の処分判断へ 起訴猶予か 河井夫妻事件
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【決別 金権政治】:被買収者を再聴取 東京地検、100人の処分判断へ 起訴猶予か 河井夫妻事件
2019年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、元法相で元衆院議員の河井克行被告(58)=実刑判決を受けて控訴中=と妻の案里元参院議員(47)=有罪確定=から現金を受け取った地方議員や後援会員ら計100人について、東京地検が再聴取を始めたことが21日、分かった。再聴取をした上で公選法違反(被買収)の罪で起訴するかどうかを判断。起訴、不起訴処分のいずれかの刑事処分をするとみられる。
【関連記事】刑事告発で検察一転、被買収者を再聴取 市民団体「不起訴なら検審」
再聴取を受けた後援会員や地方議員らによると、21日までに東京地検の検察官から電話があり、河井夫妻側に返金したかどうかなどを聞かれたという。現金授受後の情状面を確認する狙いとみられる。起訴猶予による不起訴処分を念頭に置いているもようだ。
東京地裁が18日に克行被告に言い渡した判決によると、100人の内訳は、40人が広島県内の県議や市町議などの政治家で、残る60人が後援会員や陣営スタッフら。1人当たりの授受額は5万~300万円で、総額は2871万円に上る。
後援会員は5万円の受領者が多い一方、政治家の受領額は各10万~200万円と高額だった。30万~50万円を渡された議員が多く、150万円と200万円を受領した人も各1人いた。
公判では、100人が検察側の証人として証言するなどし、うち94人が河井夫妻から現金を渡された際に買収の意図を感じたと説明。自身にも被買収の認識があったなどと認めた。一方、残る6人は買収の意図を感じなかったなどと証言したが、判決は100人全員の現金授受について買収罪の成立を認めた。
被買収罪の法定刑は3年以下の懲役か禁錮または50万円以下の罰金。現職の政治家が起訴されて罰金刑以上が確定すると、公民権停止となって失職する。
東京地検は20年7月に河井夫妻を起訴した際、被買収者と位置付ける100人の刑事処分はしなかった。
これに対し、広島市の市民団体が同年9月、「河井夫妻だけの責任追及に終わると、被買収者らの悪習を絶つことはできず、同様な問題が再び生じる恐れが大きい。処罰の公平性に多大な疑問がある」として100人全員に対する告発状を提出。東京地検が今年3月までに受理していた。
克行被告は懲役3年の実刑判決を受けて控訴している。案里氏は懲役1年4月、執行猶予5年の有罪判決が確定している。
元稿:中國新聞社 主要ニュース コラム・連載・特集 【決別 金権政治】 2021年06月22日 01:46:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※:デジタルコースにお申し込みいただくと、全ての記事が読めます。
※宅配購読者は追加料金不要です。