【HUNTER・10.10】:三反園訓衆議院議員の「政治とカネ」、上脇教授が検審に申立て
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・10.10】:三反園訓衆議院議員の「政治とカネ」、上脇教授が検審に申立て
10月9日、石破茂首相が衆議院を解散し、総選挙の火ぶたが切られた。公示は15日、27日に投開票が行われる。石破新政権誕生から1週間ほどでの解散は、戦後の政治史で最短。最大の争点は「政治とカネ」だ。政治決戦に向けて走れ出した候補者たちの中には、裏金を追及される人物もいれば、火種を抱えたままマイクを握らざるを得ない現職もいる。
鹿児島2区から無所属での立候補が予定される三反園訓衆議院議員が、政治資金規正法違反容疑で刑事告発され、不起訴になったものの、告発した神戸学院大学の上脇博之教授が、鹿児島検察審査会に審査の申立てを行っていたことが分かった。
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石破首相は、安倍派をはじめとする裏金議員について、当初は「原則公認」としていたが、世論の反発を受け一転、12人を「非公認」とした。
調整力を見せつけたのは森山裕幹事長。ある自民党の幹部はその手腕を高く評価する。
「党は森山氏が掌握し、人気者の小泉氏を押し出しながら、石破首相の意向を最大限に尊重して裏金議員の非公認などを決めて行った。たいしたものだ」
そうした中、注目されていたのが森山氏の地元、鹿児島県の4つの小選挙区の行方だった。2021年の選挙で鹿児島1区は、宮路拓馬氏と保岡宏武氏が公認を争った。最後は宮路氏が公認となり、小選挙区で勝利。保岡氏は比例単独で出馬し、当選している。
その後、保岡氏は鹿児島2区の支部長として従来の選挙区である1区を譲る形になったが、2区の現職は元鹿児島県知事で、前回総選挙では無所属で出馬し初当選した三反園訓氏。同氏は、当選後に旧二階派に入会、衆議院では自民党会派に所属していた。
その三反園氏は解散総選挙を前にして自民党に公認申請。地元の地方議員を巻き込んで、公認争いに発展する事態となっていた。9日、2区の公認は保岡氏に決まったが、ある自民党の鹿児島県議は「現職の保岡氏はすでに2区の支部長でもあり、前回の経緯からも小選挙区の候補となって当然」と話す。
実は、三反園氏には、以前からくすぶっていた「政治とカネ」の問題があり、それも保岡氏有利にことが動いた理由の一つだったという。
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ハンターは昨年12月、三反園氏の「政治とカネ」について『二階派・三反園訓衆院議員、「迂回寄附」の実態』として報道。地元の南日本新聞もその問題を記事にしており、次のように報じている。
《衆院鹿児島2区選出で元鹿児島県知事の三反園訓氏(65)=1期、無所属=は23日、資金管理団体「みたぞのさとし後援会三訓会」への貸付金計1100万円が不記載だったとして、2022年に公開した資産報告書と同補充報告書の訂正を衆院事務局に届けた。三反園氏の事務所は「事務的なミス」と説明している。初当選した21年の三訓会の政治資金収支報告書によると、三反園氏は三訓会に個人として計1850万円を寄付。しかし、同報告書作成段階で、個人の寄付上限額(1千万円)を超えていると総務省側から指摘を受け、1100万円分を三反園氏からの「借り入れ」に変更した》(2023年3月24日)
政治資金規正法は、公職の候補者が資金管理団体への寄附の供与を「総枠制限」として1,000万円を超えてすることを禁止している。だが、三反園氏は自らの政治団体「みたぞのさとし後援会三訓会」に寄附をして、そのカネをさらに政治団体「みたぞのさとし後援会」に流しており、迂回献金とみられても仕方のない脱法的な手法で、上限を超える1,850万円を違法に寄附していたというのだ。また、2020年4月に「鹿児島県医師連盟」から「みたぞのさとし後援会三訓会」が受領した200万円の寄附金収入も不記載になっていた。
神戸学院大学の上脇博之教授は今年2月、4つもの不透明な資金の流れがあったとして、三反園氏を鹿児島地検に政治資金規正法違反容疑で刑事告発。不起訴になったことから、9月に検察審査会に審査を申し立てていた。
結論として、4つのカネの流れは不起訴。しかし、うち3つは「嫌疑不十分」というグレーなものだった。上脇教授が調査、告発した以下のカネの流れをみれば一目瞭然だ。
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三反園氏は、なぜ「みたぞのさとし後援会」と「みたぞのさとし後援会三訓会」という紛らわしい2つの政治団体を設立し、複雑なカネの動かし方をしているのか。その点について上脇教授は、告発状や検察審査会への申立書で《裏金として支出したのではないか》、《政治資金規正法第1条の「国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」ことを免れる》と指摘。それを証明するかのように、2021年の「みたぞのさとし後援会三訓会」の政治資金収支報告書には、9か所に訂正印が押されていた。
驚くのは収入の部の「寄附」の総額が約1,900万円だったものが、いきなり半分以下の約800万円に訂正されていることだ。まさに政治とカネの問題そのもの。報道によれば、三反園氏の事務所は「意図的なものではない」「事務的なミス」と説明しているという。しかし、法で作成と備え付けが義務付けられている会計帳簿にどのような記載がなされていたのか疑問だ。三反園氏は今回の総選挙にあたり、自身の「政治とカネ」について、どう説明するのだろうか。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・政局・政治とカネ・鹿児島2区から無所属での立候補が予定される三反園訓衆議院議員が、政治資金規正法違反容疑で刑事告発され、不起訴になった】 2024年10月10日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。