【天風録・01.09】:受験生の災難
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・01.09】:受験生の災難
脱皮する蛇は「成長」の象徴とされる。巳(み)年はその御利益にあずかりたい人が多いのだろう。近所の神社に多くの絵馬がかかっている。知恵の象徴でもあるから合格祈願が目立った。神頼みを済ませ、猛勉強のさなかに違いない
▲いよいよ受験シーズン。ラストスパートの時期、不幸にも目の前が真っ暗になった生徒たちがいる。東京・新宿の大学受験予備校が突然、閉鎖した。資金難に陥り、近く破産を申し立てるという。何と無責任な業者か
▲扉を閉じた教室前で泣き出す子もいたという。無理もない。大学入学共通テストまで2週間もない。不安を打ち消し、背中を押してくれるはずの存在が姿を消した。さらに新年度分を含め、数百万円を前払いした生徒も少なくない
▲40年の歴史ある指導―をうたった予備校。しかし受講生が減るなどして年々、経営が傾いたようだ。少子化の上、オンライン指導の予備校参入もあって生徒の奪い合いが激化。昨年、倒産した学習塾は過去最多に上る
▲受験生は動揺しているはずだ。だが救いの神も現れた。別の予備校が自習室の開放などを申し出た。災い転じて福となすことができるように。学業の神様も力の見せどころだろう。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2025年01月09日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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