路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・01.11】:芸能事務所の悪弊 不公正な慣習を改める時だ

2025-01-11 16:00:50 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌】

【社説①・01.11:芸能事務所の悪弊 不公正な慣習を改める時だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.11】:芸能事務所の悪弊 不公正な慣習を改める時だ 

 俳優やタレント、歌手などの移籍や独立を、芸能事務所が不当に妨げる。本名が仕事で使えない-。芸能界でまかり通ってきた不公正な慣習を改める契機にしなければならない。

 公正取引委員会が芸能人と芸能事務所の取引に関する初めての実態調査を行った。ブラックボックスだった問題の一端が当事者から明らかにされ、旧態依然の業界体質が浮き彫りになった。

 公取委は年内に改善への指針をまとめ、アニメや映画業界の実態も調査するという。コンテンツ制作に携わる人たちの権利と自由の侵害を許さぬようなルールの整備が求められる。

 きっかけは、2019年、独立した「SMAP」元メンバーを出演させないようテレビ局などに圧力をかけた疑いがあるとして、公取委がジャニーズ事務所(当時)を注意したことだ。

 NHKドラマ「あまちゃん」で人気者になった能年玲奈さんは15年の独立騒動後、テレビ出演が激減。契約問題から芸名を本名から「のん」に改め、物議を醸した。ほかにも芸能人が事務所を離れると、活躍の場を失うことが続いてきた。

 公取委の聞き取りでは、移籍や独立を巡り「もし辞めたらつぶすぞ」と事務所から脅されたり、高額な移籍金を要求されたりする事例があった。「女性関係にだらしない」などと悪評を流されるケースや、契約解消後に芸能活動を一定期間、禁じられる例なども報告された。

 こうした行為について公取委は、独禁法が禁じる優越的地位の乱用や取引妨害に当たる恐れがあると指摘。事業者に注意を促した上、悪質なケースは立件も含めて対処する姿勢を示す。

 芸能界は、事務所が芸能人と専属マネジメント契約を結ぶのが一般的で、業界内からは「若手育成への投資が回収できないまま辞められては会社が成り立たない」との反論も聞かれる。

 だが、力関係で圧倒的に弱い立場の芸能人は、さまざまな不利益を被りやすく、ハラスメント被害も相次ぐ。日本社会の意識も変わり、合理的な理由なく個人の自由を縛り付ける慣行は受け入れられる時代ではない。

 トラブル多発の背景には、不透明な契約慣行がある。調査では、所属芸能人との契約を全て口頭で行っている事務所が2割を超え、契約内容を明示していない例も約1割あった。

 望まない身体の露出など出演内容を巡るトラブルや、出演作品の利用許諾でも、事務所側の意向が過度に反映される場合が多いという。明確な内容の書面契約を浸透させるべきだ。

 芸能事務所と関係の深いテレビ局側の姿勢も問われている。旧ジャニーズの性加害問題では大手プロダクションに依存して出演者起用も言いなりになり、人権侵害を放置してきた。その後の反省姿勢が現場に生かされているのか検証が欠かせない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月11日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《憂楽帳・01.11》:「シュウ活」

2025-01-11 13:13:30 | 【超高齢化・過疎・孤立・終活・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅性自治体】

《憂楽帳・01.11》:「シュウ活」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・01.11》:「シュウ活」

 「終活」と聞いて何を思い浮かべるだろう。葬儀や相続といった死後の手続き、介護や延命治療に対する意思の整理。私にはまだ、「その時」を想像して考えをまとめる自信はない。

 そんな中、福岡市の一般財団法人「ウェルネスサポートLab」が企画する「シュウ活講座」に参加した。片仮名の「シュウ」を当てるのは「終わりの活動じゃない」との思いから。講座では「その時」より前に、日ごろ大事…、

 ■この記事は有料記事です。残り278文字(全文463文字)

 ■有料会員登録して続きを読む

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《論点・01.11》:一本のろうそくたれ…安倍政権に苦言の大島理森氏「民主主義の危機」

2025-01-11 13:00:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

《論点・01.11》:一本のろうそくたれ…安倍政権に苦言の大島理森氏「民主主義の危機」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《論点・01.11》:一本のろうそくたれ…安倍政権に苦言の大島理森氏「民主主義の危機」 

 政党への不信が強まっている。SNSが駆使された、東京都や兵庫県の知事選などがそれを現している。政界のご意見番として知られる大島理森・元衆院議長が、現在の政治情勢への危機感を語った。そして、過去の危機についても。【聞き手・岡崎大輔】

 
<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2022/12/25/20221225k0000m010219000p/9.webp?2" type="image/webp" />大島理森前衆院議長=東京都千代田区で2022年9月29日、前田梨里子撮影</picture>
大島理森前衆院議長=東京都千代田区で2022年9月29日、前田梨里子撮影

 ◆連立で意見違っても責任共有すべきだ

――少数与党に転落しながらも、石破茂内閣は引き続き政権を担います。先の総選挙からどのようなことを感じましたか。

 衆院選は「政権選択選挙」です。しかし、2024年10月に実施された第50回衆院選で有権者は、自公両党に対して「政権を託す」という明確な意思を示したとは言えません。一方で、野党側にも、それを与えませんでした。国民は、自民の「政治とカネ」の問題も大事だが、物価高対策など日々の生活について政治は考えてくれていますか、というメッセージを込めたのではないでしょうか。「年収の壁」を訴えた国民民主党や、消費税の廃止を掲げたれいわ新選組が議席を伸ばしましたが、野党全体として政権を担う姿を示すまでは至らなかった故の判断ではないかと思います。

 民主主義に必要な政党政治に危機感を抱きました。国民が主権者の民主主義は、政党政治が基本です。政党が国民と政治を結ぶパイプ役として機能しなければなりません。しかし、国民は政治家と政党が自分たちの方を向いてくれていないのではないか? 本当に政党は必要なの? 言葉にこそ表していませんが、そういった政党の存在に対する希薄性が生まれているのではないかと感じました。政党の「リバイタライズ(再生)」が必要です。

 ◆「全身全霊をかけて話す言葉を待っている」

――兵庫県知事選などでSNS(ネット交流サービス)が駆使され、既成政党への不信感が強まっています。

 現職時代にSNSを実践してきた身でなく、最も不得手な分野なのですが、情報技術の進展を否定するつもりはありません。ただ、SNSを使いながらも、やはり、国民は政治家が全身全霊をかけて話す言葉を待っているのではないでしょうか。一人一人の議員、政党が主権者と語り合う場を作り、民主主義の分断を招かず、政治参加を促すためにも愚直に対話していくことが大事です。

 私の政治の師、河本敏夫氏は「…、

 ■この記事は有料記事です。残り2758文字(全文3671文字)

 ■有料会員登録して続きを読む

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日本維新の会】:「教育無償化」で少数与党にモーレツ揺さぶり…インチキ政策の全国化へ、セコすぎる皮算用

2025-01-11 11:02:30 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【日本維新の会】:「教育無償化」で少数与党にモーレツ揺さぶり…インチキ政策の全国化へ、セコすぎる皮算用

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日本維新の会】:「教育無償化」で少数与党にモーレツ揺さぶり…インチキ政策の全国化へ、セコすぎる皮算用

 党勢衰退に歯止めがかからず、悪目立ちが際立つ日本維新の会が24日召集予定の通常国会に向け、動き回っている。


 10日は、自公与党と教育無償化に関する3回目の実務者協議を開催。4月から所得制限のない高校授業料の無償化を実施するよう要求したが、与党側の柴山元文科相は「極めてハードルは高い」と難色を示し、持ち越しとなった。少子化対策を考えれば早期実現に越したことはないが、性急感は否めない。

 維新が示した教育無償化をめぐる工程表には、来年度入りする4月から所得制限なしの高校授業料の無償化▽0歳から2歳までの保育無償化▽学校給食費の無償化──が盛り込まれた。保育と給食費の実施は再来年度からで、来年4月に実施するというもの。

 必要な財源は高校無償化だけで約6000億円。いわゆる「103万円の壁」の178万円への引き上げをめぐり、「財源確保は政府が考えるべきだ」などの無責任発言でヒンシュクを買った国民民主党との違いを見せたいのか、行財政改革で捻出するとしている。

 国民民主に続き、維新が与党との政策協議にこぎ着けたのは、昨年の臨時国会でまとまった今年度補正予算への賛成が引き換え。その延長線上に来年度予算案への対応がある。前原共同代表は4月からの高校無償化を予算賛成への「必要条件」とし、保育と給食費無償化の道筋をつけなければ賛成できないと吹っ掛けている。少数与党へのモーレツな揺さぶりと、本拠地大阪府で「実現した」とホラ吹き続けている教育無償化は無関係ではなさそうだ。

 ■大阪府は再来年から

 「維新幹部事あるごとに〈乳児から大学までの教育無償化大阪では実現した〉と喧伝してきましたが、実際所得制限のある全国一律国の支援制度をつけただけ。独自制度らしきものが昨年4月に滑り出しましたが、今年度の対象は高3のみ、来年度は高3と高2。いずれにしても、世帯年収800万円以上の家庭の場合、63万円を超えた分の授業料は要負担です。全学年対象の所得制限なしの完全無償化は再来年度に実施する計画になっています」(府政関係者)

 府は初年度にあたる24年度予算に約222億円を計上。対象を広げれば、黒字は吹き飛ぶこと必至だ。

 「まずは来年度スタートの高いボールを投げ、再来年度開始で着地する。そうすれば大阪府は腹を痛めることなく全面実施にこぎ着けられる上、全国の子育て世代に実行力をアピールできる。極めてセコイ皮算用です」(野党関係者)

 次回の3党協議は20日。進展があった方が驚く。

 元稿:日刊ゲンダイDIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・政局・日本維新の会・自公与党と教育無償化に関する3回目の実務者協議を開催する】  2025年01月11日  11:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【政界地獄耳・01.08】:与党に必要とされている「野党」 自前の政権に興味を持て

2025-01-11 07:40:20 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【政界地獄耳・01.08】:与党に必要とされている「野党」 自前の政権に興味を持て

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・01.08】:与党に必要とされている「野党」 自前の政権に興味を持て 

 ★野党の適当さにはうんざりする。与党が過半数を取れず少数与党で発足した石破内閣。今では“野党”国民民主党が与党を無駄に助けている。野党第1党の立憲民主党も野党が首相指名で野田佳彦と書けば野党政権が生まれ、野田は首相になって、立憲も維新も国民も党は違っても、少なからず各党の中核政策は実現の可能性が一段と高まる。各党ともそれを拒んでいて首相・石破茂や公明党代表・斉藤鉄夫が大連立をほのめかすとむきになって否定する。まったくおかしな野党の面々だ。

 ★4日、野田は「むしろ政権を交代させるため、野党の力を結集することに主眼を置いて取り組みたい」といい、6日には「大連立を組む環境ではない。自民党に下野させて政治の流れを変えていくことが我々の目指すべき本道だ」と否定。いやそれ去年の選挙後、実現できたはずですけど。日本維新の会共同代表・前原誠司は「政策実現のために与党との話し合いをしっかりやっていくが、野党の立場で参議院選挙に備える」。国民民主党代表代行・古川元久は「私どもは連立入りするつもりは全くございません」。役職停止中の方も同じ考えなのか。いずれにせよ秋波を送られれば否定するが、野党共闘もしたくない。つまり現状が一番野党には居心地がいいのだろう。

 ■このコンテンツは有料会員になると閲覧いただけます。 

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年01月08日  07:37:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【政界地獄耳・01.07】:韓国内政不安、ミサイル…不安定な政情の中、バイデン政権国務長官最後の来日

2025-01-11 07:40:10 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

【政界地獄耳・01.07】:韓国内政不安、ミサイル…不安定な政情の中、バイデン政権国務長官最後の来日

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・01.07】:韓国内政不安、ミサイル…不安定な政情の中、バイデン政権国務長官最後の来日 

 ★6日昼過ぎ、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられる北朝鮮の弾道ミサイル。韓国軍合同参謀本部は同日、北朝鮮が平壌付近から中距離級弾道ミサイルと推定される飛翔(ひしょう)体1発を日本海側へ発射したとした。北朝鮮の弾道ミサイル発射は昨年11月5日以来。ただ今回の発射は日本に向けてというより、韓国のクーデター未遂後の状況変化を比較分析するためだろう。日米韓の安全保障システムが機能しているか、韓国の内政不安が状況の変化を生んでいないか、韓国軍や米軍の反応に変化はないか見たものだろう。

 ★なにしろ韓国では大統領がネトウヨにあおられクーデターを仕掛け、今では検察・警察と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が角突き合わせている状態。北朝鮮には理解しがたいだろうが、日米の安全保障環境は韓国に引きずられるわけにはいかない。米アントニー・ブリンケン国務長官は6日、趙兌烈(チョ・テヨル)外相と会談。ミサイル発射はこの会談へのけん制もあろう。日米韓の安全保障のこれから、今後の大統領や韓悳洙(ハン・ドクス)首相に対する憲法裁判所の弾劾審判が長期化する場合の統治手法や責任能力などが大きな議題だろう。米バイデン政権としては安倍内閣以来悪化していた日韓関係をここまで戻したのは韓国の大統領を説得したバイデン政権の手柄の確認と、次期大統領ドナルド・トランプが何を言い出すかわからないことへの懸念だ。ブリンケンはその足で日本に向かい、6、7日で首相・石破茂、外相・岩屋毅と会談。最もこちらはジョー・バイデン大統領の日本製鉄によるUSスチール買収計画の中止命令が話題の中心か。

 ■このコンテンツは有料会員になると閲覧いただけます。

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年01月07日  07:48:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・01.11】:温室効果ガス削減目標 排出国の責任を果たさねば

2025-01-11 07:00:55 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・01.11】:温室効果ガス削減目標 排出国の責任を果たさねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.11】:温室効果ガス削減目標 排出国の責任を果たさねば 

 政府は、温室効果ガスの新たな排出削減目標を「2035年度に13年度比60%減」とする地球温暖化対策計画の改定案を了承した。

 60%減は、現在の目標「30年度に46%減」の延長線にある。いわば、上乗せのない数字だ。しかも産業革命以降の気温上昇を15度に抑えるパリ協定の目標達成のため、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が必要とする削減量に届いていない。

 先進国の中で米国に次ぐ世界5位の排出量を抱える国の責任を放棄しているとしか思えない。世界に胸を張れる数値にまで、削減幅を引き上げる必要がある。

 24年は世界各地で記録的猛暑や洪水などの気象災害が多発し、気候変動危機の深刻さを印象付けた。気温上昇が15度を上回った最初の年になりそうだという。

 11月にブラジルである気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に向け、各国に大幅な削減目標の打ち出しが求められるのは当然だ。

 IPCCは、15度目標の達成には35年に19年比で60%減が世界平均で必要と試算する。日本が基準とする13年度比にすると66%減に相当する。政府の目標値は6ポイントも足りないのに、「野心的」と自画自賛する姿勢にあきれる。

 欧州連合(EU)は40年までに1990年比90%減、英国は35年までに同81%減と、はるかに野心的だ。先進国が本気度を示せば、途上国の対策を促すことにもつながる。

 政府の目標値は、経済産業省と環境省の合同会合でまとめた。ベースにあるのは経産省所管の公益財団法人が示した「大幅削減ならコストが多大」とする試算だ。目先のコストにとらわれ目標を低く設定するのは、気候変動危機を軽視するのと同じだ。災害や熱中症に拍車がかかれば国内経済も影響を避けられない。

 60%減は、経団連が昨秋提言した数値から一歩も踏み込んでいない。再生可能エネルギー拡大や電力システム改革を怠れば「企業の競争力にも影響する」と75%削減を求めたリコーなど大手企業グループの意見や、科学者らの声は反映されなかった。

 官僚の筋書き通りの目標値を、政府が型通りの会議で認めるやり方も納得できない。本来は国民生活の実情に即した議論の積み上げが必要だろう。エネルギー確保と消費の在り方も根本から問い直されるべきだ。国民不在の決め方で実効性が伴うと思えない。

 トランプ次期米大統領はパリ協定離脱を準備し、米国に危機回避のリーダー役は期待できない。再エネ普及の鍵を握るペロブスカイト太陽電池などの分野で強みを持つ日本がけん引役を果たすべきだ。

 その観点からも石破茂首相は、この目標値でCOP30に臨めば国際社会や将来世代にどう受け止められるか、よく考えてもらいたい。

 国連への提出期限は2月。政府は今月26日まで意見公募をした後に閣議決定するという。意見募集を形式だけのものとせず、提出を引き延ばしてでも日本のこれからの行動を見直す決断を求める。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月11日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【天風録・01.11】:「偽情報」退治

2025-01-11 07:00:50 | 【ソーシャルネットワーク(SNS)の功罪・社会的影響・子供・有害情報追放・事件

【天風録・01.11】:「偽情報」退治

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・01.11】:「偽情報」退治

 読者からの信頼が何より大事―。だから、記事を幾重にもチェックしてミス防止に努める。万一間違いと分かれば、すぐ訂正する。かつてミスを紙面に載せた際の情けなく申し訳ない胸の染みは今も消えない

 ▲ネット情報はどうだろう。北九州市で起きた中学3年男女殺傷事件では、さまざまなデマがネット上に飛び交った。被害者は警察幹部の子どもで反社会的勢力に狙われたとか、防犯カメラの映像が公開されないのは犯人が「上級国民」だからとか…

 ▲ネットを利用する人が増えた今、偽情報が広がらないようにしなければならない。なのに、これでは逆行だろう。フェイスブックなどを運営する米IT大手のメタが、第三者機関によるファクトチェック(事実確認)制度を米国では廃止するという

 ▲ルールの適用に「行き過ぎ」があったと説明するが、大統領に返り咲くトランプ氏に取り入るのが狙いのようだ。メタに限らない。巨大IT企業がこぞって巨額の寄付で擦り寄っている

 ▲選挙をゆがめて、社会の分断を加速させる偽情報の危うさは近年、知れ渡っている。黙認は責任放棄にほかならない。業界をけん引する企業としてのプライドはどこに行ったのか。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2025年01月11日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・01.10】:多様化する家族観 法整備の遅れ 直視する年に

2025-01-11 07:00:45 | 【LGBTQ+=ジェンダー・アイデンティティ、レズ、ゲイ、バイセクシャル、

【社説・01.10】:多様化する家族観 法整備の遅れ 直視する年に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.10】:多様化する家族観 法整備の遅れ 直視する年に 

 衆院で野党優勢となった国会が進めるべきは、多様化する家族観を踏まえた法整備の審議である。

 従来の自民党政権が党内事情を優先するあまり後ろ向きだった政策分野だ。加えて国会議員に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一つでもあるジェンダー平等を学んだ若い世代や、女性の割合が著しく低いことも対応の遅れを招いてきたといえる。

 家族の在り方は人それぞれに価値観があり、時代とともに変化した。少数者や社会で不利益を受けている人の声を聞き、分断の溝を埋める議論ができる機会と捉えたい。国会に求められる務めを直視し、実行の年にすべきだ。

 選択的夫婦別姓は現行で義務付けられている同姓だけでなく、夫婦がそれぞれの姓を名乗れる制度で、30年近く法案審議が棚上げされてきた。昨年の衆院選で導入に前向きな政党が議席を伸ばし、立憲民主党は今月下旬からの通常国会に法案を提出する方針を示した。慎重だった日本維新の会でも、新執行部の幹部から別姓に肯定的な意見が出てきた。公明党は自民党に与党協議を強く呼びかける。

 世論は昨年5月の共同通信調査で賛成が76%に上ったように、変化している。経団連もビジネス上での障壁が看過できなくなったとして早期導入を求める。自民党内で賛成を明言する議員も増えた。党は議論に臨むべきだろう。

 当事者は生活や仕事での旧姓の通称使用では限界があると訴える。それ以上に「アイデンティティーの問題だ」という主張にはうなずける。生き方や家族の在り方の選択肢が狭められ、改姓するのは女性が95%と偏っている。

 反対する自民党の保守派は「家族の一体感を損ねる」と言う。廃止されたはずの民法の家制度に基づく意識を、異なる価値観の家族に押し付けかねない危うさがある。

 法案を基に賛否の意見をオープンに掘り下げる段階に来ている。子どもの姓をどう決めるのか、影響が大きい論点もある。国会での熟議と、国民との対話によって導入への機運醸成に努めるべきだ。

 折しも今年、女性差別撤廃条約の批准から40年になる。昨年10月、国連の委員会から別姓導入について4度目の勧告を受けた。政府としてもこれ以上の放置は許されない。

 同性同士の結婚を認める法整備も急がれよう。昨年、民法などの違法性を争った控訴審で三つの高裁が憲法違反と断じた。しかも婚姻の自由を保障した憲法24条、法の下の平等の14条、幸福追求権の13条と、各地の訴訟で争点となった条項全てを巡って違憲判断が出たことは重い。立法措置を強く求められている。

 自治体で関係性を公的に証明するパートナーシップ制度が広がるものの、税の優遇や相続など法的な保護を受けられない事態は切実だ。石破茂首相は先の臨時国会の参院予算委員会で、同性婚が実現すれば「日本全体の幸福度にとってプラス」と答弁した。求められているのは論評ではなく、政権与党の政治的なリーダーシップである。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月10日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【天風録・01.10】:令和の冬将軍

2025-01-11 07:00:40 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【天風録・01.10】:令和の冬将軍

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・01.10】:令和の冬将軍

 きょうが生誕190年の福沢諭吉は、お天気の歴史にも足跡を残している。明治期に創刊した時事新報にいち早く天気予報を載せ、他紙も追随した。その日暮らしだった日本人に、もっと先を見据えよと願ってのことらしい

 ▲予報が一目で分かるよう晴れや雨など五つの挿絵を使い分けた。編みがさ、みので体を覆い、とっくりを持つ男性が描かれたのが「雪」。酒好きで知られた諭吉ならではの絵柄といえる

 ▲気象台職員も新聞を引き合いに、大雪の時は酒で防寒すべしと冗談を交わしたと伝わる。一杯引っかけたかはともかく、きのうは防寒に努めた人が多かろう。中国山地は白く染まり、街も小雪が舞い散った。暖冬続きですっかり弱まった令和の冬将軍の印象を、改めねばなるまい

 ▲混乱を避けようと、雪深いローカル線は計画運休した。高速道路も同様だ。過去の災害を教訓に、世間の理解や準備が進んだ証しだろう。日本に先見の明を。諭吉の願いは実りつつある

 ▲将軍はしばらく居座る予報だ。先ばかり見ると、足元や手元がおろそかになるのも世の常。防寒具で身を固めたら、気持ちも引き締め直そう。凍る路面で転ばぬように、ハンドルを取られぬように。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2025年01月10日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・01.09】:年金制度改革 与野党が熟議尽くす時だ

2025-01-11 07:00:35 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説・01.09】:年金制度改革 与野党が熟議尽くす時だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.09】:年金制度改革 与野党が熟議尽くす時だ 

 厚生労働省が年金制度改革に関する報告書をまとめた。5年に1度の「財政検証」の議論に基づき、働く高齢者の在職老齢年金や、厚生年金保険料の労使折半ルールの見直しなどが盛り込まれた。

 時代の変化に合わせて制度を手直しすることは必要だ。ところが、今回の焦点だった国民年金(基礎年金)の給付水準底上げは「さらに検討を深めるべきだ」という表現にとどまった。報告書を基に、国会へ法案提出を目指す政府の方針にも不透明感が漂う。

 国民生活に関わる年金問題に後ろ向きでは困る。与野党ともに責任ある制度設計を示し、熟議を尽くす時だ。

 国民年金加入者には低所得者や学生も多く、保険料免除や猶予で実際に納付している人は約半数にとどまる。さらに、年金制度を維持するために給付水準を調整する「マクロ経済スライド」という仕組みもあって、給付額は現行よりも約3割も目減りすると危ぶまれている。

 保険料を満額納めても給付額は月約65千円と、生活保護費より少ない。保険料未納者が生活保護費を受給し、納付者の年金がそれより少ないようでは制度への信頼自体が失われかねない。年金の水準が下がれば、とりわけ就職氷河期に直面し、非正規労働者の多い世代が貧困にあえぐことも懸念される。

 今回の報告書で、厚労省は会社員の厚生年金財政からお金を回し、国民年金を穴埋めすることをもくろんだ。会社員は厚生年金は減っても基礎年金部分は増えるので、厚労省はほぼ全員が損はしないと説明してきた。しかし、実際にはここ10年ほどの間に受給が始まる世代は受取額が減る。世代間に不公平をもたらす案には、専門家の評価も割れた。今回の報告書で表現が「さらに検討」とされたのもそれが理由だろう。

 厚生年金の果実を国民年金に回すことは「取りやすいところから取る」場当たり的な対応と言わざるを得ない。国民の手取り増が求められているのに、逆に手取り減となる「年収106万円の壁」の撤廃で厚生年金への加入を促したのもそういうことなのか。

 福田康夫政権では基礎年金の全額を税方式に改める検討がされた。税方式ならば未納者はいなくなる。消費税34%分の負担増が見込まれるが、その代わりに基礎年金分の保険料もなくなる。

 自民党の河野太郎氏は総裁選で、保険料方式から税方式への転換を訴えた。将来世代への仕送りである賦課方式から積み立て方式への見直しも提案した。こうした抜本的な見直し議論を求めたい。

 欧米では年金の支給開始を67~68歳に徐々に引き上げている。高齢化が顕著な日本が65歳にこだわる理由はない。年金改革を進め、高齢者でも働きやすい環境を同時に整えていくことが不可欠だ。

 厚労省の示す案を少数与党の石破茂政権がそのまま政府案としても国民の安心にはつながるまい。与野党が抜本的な案を出しあって議論を重ね、年金制度を再構築することこそ熟議の国会と言える。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【天風録・01.09】:受験生の災難

2025-01-11 07:00:30 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【天風録・01.09】:受験生の災難

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・01.09】:受験生の災難

 脱皮する蛇は「成長」の象徴とされる。巳(み)年はその御利益にあずかりたい人が多いのだろう。近所の神社に多くの絵馬がかかっている。知恵の象徴でもあるから合格祈願が目立った。神頼みを済ませ、猛勉強のさなかに違いない

 ▲いよいよ受験シーズン。ラストスパートの時期、不幸にも目の前が真っ暗になった生徒たちがいる。東京・新宿の大学受験予備校が突然、閉鎖した。資金難に陥り、近く破産を申し立てるという。何と無責任な業者か

 ▲扉を閉じた教室前で泣き出す子もいたという。無理もない。大学入学共通テストまで2週間もない。不安を打ち消し、背中を押してくれるはずの存在が姿を消した。さらに新年度分を含め、数百万円を前払いした生徒も少なくない

 ▲40年の歴史ある指導―をうたった予備校。しかし受講生が減るなどして年々、経営が傾いたようだ。少子化の上、オンライン指導の予備校参入もあって生徒の奪い合いが激化。昨年、倒産した学習塾は過去最多に上る

 ▲受験生は動揺しているはずだ。だが救いの神も現れた。別の予備校が自習室の開放などを申し出た。災い転じて福となすことができるように。学業の神様も力の見せどころだろう。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2025年01月09日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか

2025-01-11 07:00:25 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか 

 日本学術会議の在り方を議論していた政府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。現行の「国の特別機関」から法人に移行させるという。

 会員の首相任命をなくし、国に助言する権限や国からの財政支援を保障するなど、学術会議側の要望を受け入れた部分もある。とはいえ、活動状況を確認する「評価委員会」に加え、予算や業務の執行をチェックする監事も首相が任命するとした点は疑問だ。政治介入の余地が残り、独立性が損なわれかねない。

 政府は、法改正案をまとめる構えだが、懸念の残る改革を急ぐ必要はない。

 問題の発端は、2020年に当時の菅義偉首相が学術会議の推薦した会員候補105人のうち6人だけ任命を拒否したことだった。6人は政府方針に異を唱えたことがあったが、政府は「総合的、俯瞰(ふかん)的な活動を求める観点から判断した」と説明するだけ。具体的な理由は今なお明らかにしていない。

 任命拒否に対し、学術会議側は「学問の自由の侵害」だと強く抗議した。ところが、政府は「組織の在り方に問題がある」と論点をすり替え、4年余り議論を重ねてきた。

 政府の真の狙いは何か―。これまでの議論から透けて見える。コントロールの利く組織にしたいのだろう。学術会議が1949年の発足以来、一貫して軍事目的のための科学研究に明確に反対してきたことが背景にある。過去の戦争協力に対する反省から生まれた軍事研究反対の姿勢が気に入らないようだ。

 政府は近年、防衛力強化を目指し、大学や研究機関を軍事関連分野の研究に引き込もうと努めている。15年度に始めた、軍事応用も可能な基礎研究に助成する防衛省の公募制度などだ。これに対し、学術会議は17年、「研究の進捗(しんちょく)管理などで政府による介入が著しく、問題が多い」と批判した。政府にとっては厄介な組織なのだろう。

 それだけに、政治介入の余地を残す法人化は問題だ。政府は年10億円に上る税金投入を理由として挙げているが、任命を拒否する前は特段、問題視していなかった上、運営に口も出してこなかった。今になって、税金投入を理由に関与を強めようとするのは理解し難い。

 その前に政府には、やるべきことがあるのではないか。「自民党1強」態勢で強行した6人の任命拒否について理由や経緯を、きちんと説明する必要がある。

 感染症や気候変動など、科学と社会の関わりは、かつてなく深まっている。例えば生成人工知能(AI)は私たちの暮らしを便利にし、経済発展の礎ともなりそうだ。ただ、悪用されれば、人殺しの武器をさらに強力なものに変えてしまいかねない。

 AIをはじめ、新たな分野の研究を進めるのは科学者の務めだろう。それでも、軍事目的に陥ることのないよう、歯止めを設けることが不可欠だ。学術会議にこそ期待される役割である。軍事研究をしないという戦後の原点を改めて誓うことにもなる。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月08日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【天風録・01.08】:日鉄とUSスチール

2025-01-11 07:00:20 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【天風録・01.08】:日鉄とUSスチール

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・01.08】:日鉄とUSスチール

 企業の経営統合はしばしば結婚に例えられる。とすれば、相思相愛の仲が認められず、引き裂かれそうな局面か。日本製鉄による米USスチール買収計画である

 ▲一緒になるのを「完全かつ永久に」放棄せよというバイデン大統領の禁止命令に対し、両社は無効を求めて提訴した。連名の声明には「唯一のパートナー」「変わらぬ決意」と熱い言葉が並ぶ。鉄の絆が見えるようだ

 ▲大統領が命令の理由とした「安全保障上の懸念」が波紋を広げる。同盟国である日本の企業なのに。なぜ懸念があるのか説明もない。鉄鋼業界の労組の支持をつなぎ留めたいだけではないのか。はっきりそう言わないところにも、もやもやが募る

 ▲かつて世界最大だった歴史ある鉄鋼メーカーである。外資になってほしくない米国民の感情は分からぬでもない。複雑な思いを持つ従業員もいるだろう。だが、自由を尊ぶ超大国の振る舞いとして、少し寂しくないか

 ▲間もなく大統領に就くトランプ氏も買収には批判的だ。両社が添い遂げるためのハードルは高い。障害があるほど愛は燃え上がるらしいが、炎は思いがけず広がることがある。始末に困る大火事にならぬよう、目配りも欠かせない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2025年01月08日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・01.07】:首相の年頭会見 国民と向き合う政治に変えよ

2025-01-11 07:00:15 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・01.07】:首相の年頭会見 国民と向き合う政治に変えよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.07】:首相の年頭会見 国民と向き合う政治に変えよ 

 石破茂首相はきのうの年頭会見の冒頭で「民主主義を改めて考える年にしたい」と切り出し、民主主義という言葉を繰り返した。主権者である国民の声を聴き、野党とも合意形成を図る政治の原点をかみしめているに違いない。

 少数与党での政権運営に絡んで、首相は合意形成のため「野党にもこれまで以上に責任を共有してもらうことが求められる」と強調した。自らには「次の世代の国民に対して責任を持つ責任与党でなければならない」と課した。

 衆院選で大敗して2カ月余りが過ぎた。野党の賛成がなければ法案が通らない現実を前に、丁寧な説明や審議を心がける姿勢は見える。だが、臨時国会で規模ありきの政府補正予算案をほぼ変えず、国民民主党が提起した「年収103万円の壁」の引き上げで税や社会保障の抜本的な議論に持ち込むわけでもない。また日本維新の会とは教育無償化の政策協議を始めた。

 野党と個別協議に持ち込み、数合わせに躍起になっているように見える。将来世代に負担を先送りする、やみくもな財政出動にもつながりかねない。自民党の政権維持を最大の優先事項にする旧来の政治そのものではないか。1強時代に与党の事前調整で予算も法案も決め、数でごり押しして国会審議をないがしろにしてきたやり方を省みるべきだろう。

 長年のそうした政治が、経済力低下や低賃金、時代や家族の在り方とずれた社会保障と税、格差拡大を変えられずにきたのではないか。国政選挙の投票率低迷や既存政党への不信を招いた面もあろう。いわば民主主義の危機を招いたわけで、脱却すべきだ。

 最たる国民とのずれは「政治とカネ」の問題である。臨時国会でようやく使途の公開が要らない政策活動費の廃止など一定に政治資金改革を進めたが、企業・団体献金の禁止に踏み込んでいない。会見で首相は「真摯(しんし)に議論する」とし、本年度末までに結論を目指す考えを示した。

 これは30年前の政治改革で積み残した議題であり、なお生ぬるい。派閥裏金事件を巡っても、昨年末に開いた衆参両院の政治倫理審査会で当該議員が弁明に立ったが、真相解明どころか疑問は強まった。政治不信の払拭にはリーダーシップが欠かせないが、熱意が伝わってこない。

 通常国会で示すべきは、民主主義に資する国会への変革と、政策の熟議である。その点、会見で政府提出を目指す年金制度改革の法案について与野党協議を呼びかけたのは大事な一歩だ。103万円の壁の議論とも関わり、超高齢社会での社会保障の在り方で知恵を出し合う機会になる。

 昨年末から年頭にかけ、首相からは少数与党を巡る政局の発言が目立った。夏の参院選に合わせた衆参同一選の可能性に言及し、野党との大連立を「選択肢としてあるだろう」とも語った。会見で否定はしたが政権維持への執着ばかりが先立つように見える。

 少数与党として、国民と向き合う政治に変える務めこそ最優先で果たすべきだ。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月07日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする