【社説・09.21】:兵庫知事不信任 速やかに辞職すべきだ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・09.21】:兵庫知事不信任 速やかに辞職すべきだ
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などで内部告発された問題を巡り、県議会は知事不信任決議を全会一致で可決した。
斎藤知事は今月29日までに議会を解散するか、議会を解散せず辞職するか、30日午前0時をもって自動的に失職するかの選択を迫られている。
地方自治体は住民の直接選挙で選ばれた首長と議会が「車の両輪」となり行政を運営する。けん制し合う仕組みとして、議会には不信任決議が、首長には議会解散権がそれぞれある。
今回は予算や政策を巡る対立ではない。知事個人の資質や振る舞いが問われた。知事が議会を解散する大義名分はない。
全会一致の不信任は、ほとんど全ての県民が知事にノーを突き付けたに等しい。県職員労働組合も辞職を求めており、職務執行に不可欠な職員との信頼関係は崩れている。県政の停滞を早く解消するためにも、知事は速やかに辞職するべきだ。
告発文書には、知事の職員に対するパワハラをはじめ、企業からの贈答品受領、昨秋のプロ野球優勝パレードの寄付金集めで、金融機関に補助金を増額しキックバックさせたことなど、7項目の疑惑が記されていた。
県議会の調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問では多くの職員が知事による「叱責(しっせき)」の数々を証言したが、知事はパワハラだとは認めなかった。
最も問題なのは、知事が元局長の告発を公益通報者保護法の対象外と判断し、告発者にとって不利益となる懲戒処分を行ったことだ。知事は違法性を否定するが、知事の指示を受けた副知事(当時)が元局長に情報源を明かすよう迫っていた。
百条委員会で専門家は「知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考える」と指摘した。元局長は懲戒処分を受けた後に死亡した。自殺とみられる。知事は部下の人命が失われた事態を直視せねばならない。
もし議会解散なら、百条委員会もなくなる。中途半端に終わらせてはならない。事実関係を調べる県の第三者調査委員会も設置された。百条委員会と併せ、県の一連の対応が妥当だったのか厳しく検証してほしい。
今回、あらためて浮き彫りになったのは、知事の権限の大きさだ。周囲が追従者ばかりなら、独善に陥りかねない。
斎藤氏は2021年の知事選で県政刷新を掲げて当選した。改革のためなら、手段は正当化されるという「おごり」が生じていたのではないか。斎藤氏を推薦した日本維新の会と自民党の責任も問われよう。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム【社説】 2024年09月21日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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