《余録・12.27》:「飛べるかどうかを疑った瞬間に…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・12.27》:「飛べるかどうかを疑った瞬間に…
「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」。9年前の講演でピーターパンの名文句を引用したのは黒田東彦前日銀総裁。「大切なことは前向きな姿勢と確信」と異次元の金融緩和への疑念を払(ふっ)拭(しょく)しようとした
▲だが空を飛びネバーランドに行けるのは子どもだけ。著者の英劇作家、J・M・バリーは子どもへの影響を心配して戯曲に「妖精の粉を吹きかけてもらわなければ誰も飛ぶことはできません」と書き足した。引用自体に無理があった感がある
▲「トランプ2・0が日本のピーターパン的行為を終わらせる」。米経済誌フォーブス(電子版)の見出しだ。金利復活に動く植田和男現総裁も希望的観測に頼るのでは前任者と五十歩百歩と言いたいらしい
▲ガソリン代が上がり、野菜も高値が続く。年末年始も家で過ごす人が多いそうだ。一方で高関税を振りかざすトランプ次期米大統領が就任すれば、世界経済が混乱し、日本も打撃を受けるかもしれない
▲今日は「ピーターパンの日」。120年前の1904年12月27日に戯曲がロンドンで初演された。バリーは小児病院に人気作の著作権を譲った。世界的に権利が切れた後も英国では保護され病院経営を助けている。ディズニーアニメで世界的人気者になった「大人にならない少年」は多くの子どもたちの命を救うことにも貢献した
▲初演の2年後に始まった歳末助け合い運動がたけなわである。なお生活に苦しむ人たちは少なくない。多くの浄財が寄せられることを。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2024年12月27日 02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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