路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・12.31】:能登半島地震1年 復旧道半ば 一層の支援を

2024-12-31 04:05:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説①・12.31】:能登半島地震1年 復旧道半ば 一層の支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.31】:能登半島地震1年 復旧道半ば 一層の支援を

 能登半島地震の発生からあすで1年となる。

 元日を襲った最大震度7の揺れは日本海に突き出た半島に甚大な被害をもたらした。道路の寸断で孤立地区が多発した。
 復興に向かおうとしていたさなかの9月、今度は未曽有の豪雨が追い打ちをかけた。
 住民は「さすがに心が折れそうだ」と打ちひしがれた。
 現地では今も崩れた家屋が随所に残り、河川の氾濫跡が痛々しい。断水も一部で続く。
 被災者は仮設住宅や避難所などで不自由な暮らしを続ける。
 地震では助かったのにその後の避難生活で亡くなり、災害関連死に認定される人が増え続けており、2016年熊本地震の222人を上回った。建物倒壊などによる直接死と合わせた犠牲者は500人を超した。
 能登の傷痕は深く、復旧はなお途上だ。復興は見通せない。
 住民の平穏な暮らしを一日も早く取り戻し、地域を再興させなければならない。国はさらに力強く支援すべきだ。

 ■関連死の防止全力で

 災害関連死は70代以上が9割を超える。被災後3カ月以内に死亡した人は8割に達する。
 当初、救援物資が不足し避難所環境が整わず、それが高齢者の負担になった可能性がある。
 石川県はホテルなどへの2次避難を促すなど関連死の防止に努めた。しかし、車で長時間搬送されたことで体調を崩し死亡したケースもあった。
 痛ましい結果が拡大した要因を詳しく分析する必要がある。
 被災地は厳寒期に入った。関連死をこれ以上増やさないため、行政、医療、福祉が連携して被災者をきめ細かくケアしていくことが欠かせない。
 能登の課題を検証してきた政府の有識者会議は11月に報告書をまとめた。被災者の命と尊厳を守るため、避難所の支援から「人の支援」へと考え方を転換するよう促した点が特徴だ。
 避難所環境の最低ラインを示す国際的な「スフィア基準」を踏まえ、食料や衛生的なトイレ、簡易ベッドなどを十分確保することも強く求めている。
 スフィア基準について、政府はこれまで自治体向けの避難所運営の指針で紹介するにとどめていたが、今回、基準を反映させた内容に指針を改定した。
 避難所の環境改善は関連死防止の一歩だ。国際水準に沿った避難所が災害時に即座に設置されるよう、国は自治体任せにせず準備を急いでもらいたい。

 ■住民の思いを大切に

 現地では被災した建物の解体や撤去が遅れている。自治体が所有者に代わって解体・撤去する公費解体を見込む石川県内の3万棟超の建物のうち、作業が完了したのは3分の1ほどだ。
 県内外の業者が従事しているが現地に宿舎が足りない。金沢などから数時間かけて通うケースも多いため作業時間が十分取れないことが影響している。
 半島という地理的特性は1年を経た今、もはや復旧の遅れの理由にはならない。国と県は工事が迅速かつ安全に進むよう、手だてを尽くさねばならない。
 復旧が進まないこともあって被災地では人口流出が進む。
 しかし能登の人たちの郷土愛は強い。厳しい風土の中、いたわり合いながら生きてきた。
 豪華な灯籠を大勢で担ぐ「キリコ祭り」は半島各地で行われる伝統行事で、住民が地元の良さを再認識する場でもある。
 長年祭りに携わる珠洲市三崎町の寺家下出(じけしもで)地区長、出村正広さん(77)は「今秋は縮小して行ったが、祭りはいつまでも住み続けたい故郷の誇り。来年は本格再開できれば」と話す。
 住宅の修繕、介護、会社の再建―と被災者はそれぞれ悩みを抱える。行政は、適切な支援を積極的に提供する親身な取り組みを民間の協力も得て拡充し、暮らしとなりわいの再生につなげてもらいたい。

 ■教訓を将来へ末永く

 能登半島地震は半島北側の海底の活断層が引き起こした。この断層の存在は十数年前に研究者が明らかにしていた。
 だが石川県は、政府の地震調査研究推進本部がその断層のリスク評価をしていなかったことを理由に、被害を低くみた従来想定を見直さなかった。
 科学の知見が生かされず、水道管や道路などの重要インフラが脆弱(ぜいじゃく)なままにされた可能性は否定できないのではないか。
 今回の地震では能登半島の北岸が大きく隆起した。同様の地震と隆起が、千年から数千年の間隔で繰り返されてきたことも分かってきた。
 大地が人間の時間感覚を超えた次元で動いていることを末永く語り継ぐ姿勢が大切になる。
 過疎と高齢化が進んだ山がちな半島で冬、元日に発生するという負の面が重なったのが今回の地震だった。そこに気候変動の影響か、豪雨が重なった。
 この被災のありようは今の日本のどこでも生じ得る。能登の教訓を防災・減災に生かすことが国と自治体の責務である。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月31日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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