路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・12.31】:能登半島地震1年 未来の自分ごとと捉えよう

2024-12-31 07:00:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説・12.31】:能登半島地震1年 未来の自分ごとと捉えよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.31】:能登半島地震1年 未来の自分ごとと捉えよう 

 元日のだんらんを襲った能登半島地震からあすで1年になる。多くの難題が突き付けられ、過去の災害で得た教訓を生かせているのか、疑問が山積みのまま年を越す。

 発災直後には30年前の阪神大震災と同じように、民家の1階が押しつぶされた光景が広がった。耐震化率は低く、避難者は石川県内で最大3万人を超え、住宅の被害は10万4千棟近くに上った。

 主な道路が寸断し、半島のあちこちで孤立した集落への救援は遅れに遅れた。漁港のある海岸が隆起し、9月には豪雨が襲った。自治体が復興まちづくり計画を事前に作成していなかったことも響き、住宅やなりわいの再建に向けたスピードは遅い。

 過疎高齢化の地である。深刻なのは500人を超えた死者のうち、半数以上が災害関連死だった点だ。多くは高齢者で、さらに200人超の認定申請が出ているという。人口流出も加速した。どれほどの想像力で国として備えてきたのかが問われている。

 今、何より急がれるのは被災者の住まいの確保だ。県が地震の被災者向けに整備した仮設住宅は今月、10市町で計6882戸が完成した。ただ入居してほっとできたのもつかの間、原則2年間と期限がある。不安がる声が聞かれるのは当然ではないか。

 自宅再建にしても現状は倒壊した建物が多く残り、がれきの撤去もままならない。とりわけ高齢者は「ついのすみか」として災害公営住宅を考える人が多いだろう。6市町は2025年度に整備を本格化させる。被災者の気持ちのよりどころになるよう、より明確に計画を示し、国は柔軟にサポートを続けるべきだ。

 中国地方に住む私たちも、各自治体も、能登の1年は未来の自分ごとであるとの自覚が必要だろう。復旧復興に心を寄せつつ、課題を直視して備えなければならない。

 命を守るという防災の原点にいま一度、立ち返りたい。能登の災害対応を検証した有識者会議は11月にまとめた報告書で、これまでの知見を生かした被災者支援の強化を提言した。

 関連死を防ぐ対策は、東日本大震災をはじめとして被災地や支援者が繰り返し発信してきた。避難所でのトイレや食事、就寝場所といった環境の改善に、ようやく国が動き始める。併せて避難そのものの在り方も、生活環境を十分に整えられないケースでは被災地を一時離れる広域避難の仕組みを整えるなど、突っ込んで検討すべきだ。

 人口減少社会での防災へと、発想を転換させる時である。能登での断水を受けた対策は、地域によっては効率を優先した上水道施設の耐震補強よりも、集落などの単位で運営する自律分散型の水道システムに切り替えた方が持続可能になる。災害対応のマンパワーは被災自治体だけでは限界がある。自治体の広域連携や、民間やボランティアとの協働を軸に据えるべきだ。

 国は防災庁の設置を急ぐ前に、災害対策を抜本的に組み立て直すことこそ必要だ。巨大地震まで、そう遠くない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月31日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。


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