【主張①・11.19】:国際男性デー 心身の健康考える機会に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.19】:国際男性デー 心身の健康考える機会に
11月19日は「国際男性デー」だ。
男性の心と体の健康や幸福に目を向ける日として、1999年にカリブ海の島国、トリニダード・トバゴで始まったとされる。
男性の健康や働き方などを巡る課題に向き合い、どうすれば豊かな人生を送ることができるかについて考える機会にしたい。
健康面で近年、関心が高まっているのは男性の更年期障害に関してである。不安になったり、いらいらしたり、大汗をかいたりするなどの更年期障害は女性特有の症状ではない。
男性ホルモンである「テストステロン」の分泌が減ることで男性も発症しやすくなる。中高年男性の6人に1人がかかっているという。
女性の更年期障害は、女性ホルモンが減少する閉経前後の約10年間に起こる。男性はストレスの影響でテストステロンが急減することもあり、若くても起こり得る点で女性と異なる。
閉経といった女性にみられるようなはっきりとした現象が男性にはないため、症状が更年期によるものという自覚がない人は多い。心身の不調を感じたときは、治療を受けたり、運動、睡眠、食事などの生活習慣を見直したりすることが重要だ。
経済産業省は、男性の更年期障害による欠勤や業務効率の低下などの経済損失が年間1兆2千億円に上ると試算している。企業側は労働生産性に関わる問題でもあると認識し、性別にかかわらず、この症状に悩む人が働きやすい環境の整備に努めることが求められよう。
男性を巡る課題はほかにもある。育児はその一つだ。子育ての負担が女性に集中する「ワンオペ育児」は母親の孤立や産後うつを招き、少子化の要因にもなっているとの指摘がある。
厚生労働省の令和5年度調査で男性の育児休業取得率は30・1%と初めて3割を超えた。ただ、女性は84・1%で開きがある。国際男性デーを機に、夫婦で父親の育児について考えてもよいのではないか。
2人に1人ががんになる時代だ。必ずしも不治の病ではなくなってきたとはいえ、罹患(りかん)すれば落ち込んだり、将来への不安を抱いたりする。働き盛りの男性ががんになったとき、生きがいを見失わず、仕事と治療を両立させる社会の在り方についても思いを巡らせたい。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年11月19日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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