《ミニ論点・01.08》:日鉄、米大統領提訴 細川昌彦・明星大教授/小谷哲男・明海大教授
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《ミニ論点・01.08》:日鉄、米大統領提訴 細川昌彦・明星大教授/小谷哲男・明海大教授
◆日本政府、毅然と対応を 明星大教授・細川昌彦
日本製鉄による提訴は、自社の立場を明確にする点で意義はある。買収ができなければ、日鉄はUSスチールに違約金を支払う義務が生じる可能性があり、その原因が米政府の介入であることは主張しておく必要があるからだ。
日鉄が勝訴できる可能性は高くない。日鉄側はバイデン大統領が労働組合の支持を得るために、不適切な影響力を行使したと主張しているが、その立証責任は日鉄側にある。証拠を集めるのは困難で厳しい裁判になるだろう。このため日鉄はUSスチールに対し買収以外のオプションも考えていかなければならないのではないか。資本参加などが考えられるが、その場合の技術提携は限定的となる。
今後は、石破茂首相がトランプ次期大統領とどう向き合っていくかも問われる。日本企業が対米投資を行うにあたって、米国の政治リスクが高まれば投資しにくくなるわけで、そのことを首相はしっかり伝えなければならない。根本的な問題として、日米関係そのものも問われており、日鉄という個別企業の問題にせず、日本政府は「同盟国とは何なのか」を問いかける毅然(きぜん)とした態度を示すことが大事だ。【聞き手・古川宗】
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元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【ミニ論点】 2025年01月08日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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