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【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか

2024-12-27 06:10:40 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか 

 学問の自由と独立は絶対に守られなければならない。新たな組織でそれが担保できるのかどうか。なお残る疑問を解消し、誰もが納得できる組織、運営体制を構築する必要がある。

 日本学術会議の在り方を議論している内閣府の有識者懇談会が、新法人への移行に向けた報告書を大筋で取りまとめた。

 学術会議の会員の選考については、首相による任命をなくす。一方で客観性を高める重要性を指摘し、会長任命の外部有識者からなる「選考助言委員会」を新設して意見を聞くとした。投票制も組み合わせる。

 学術会議の組織見直し議論は、2020年に当時の菅義偉首相が会員候補6人の任命を拒否したことが発端だ。

 その後、政府は学術会議を現行の「国の特別機関」から、国とは切り離した新法人に移行させた上で、会員選考や運営などに外部有識者が関わる仕組みの導入を提案していた。

 今回の報告書は会員の選考に政府は関与しないとしたが、そもそも菅氏より前の歴代政権は学術会議側の推薦通りに受け入れていた。助言委の設置に学術会議側が「わざわざ設ける必要はない」と反発するのも理解できる。

 さらに疑問なのは、活動状況を確認する「評価委員会」の委員や監事を首相が任命することだ。

 報告書は学術会議に対する国の財政支援を保障する一方で、「目的に沿った活動・運営が行われていることを国民に説明する仕組みを担保する必要がある」と指摘しており、それに沿った対応だ。

 ただこれでは、政府の介入を許す余地が否定できない。学術会議側はかねてこの項目に懸念を示していたが、報告書にほぼそのまま残ったのは残念だ。

 戦後設立された学術会議は1950年、戦前の組織が政府と一体となって戦争に協力した反省を踏まえ、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」との声明を出し、中立的な立場で政府への政策提言などに取り組んできた。

 菅氏が任命を拒否した6人はかつて安全保障法制など政府の方針に異論を述べていた。政府は任命拒否の理由を明らかにせず、「学問の自由の侵害だ」との批判から論点をずらすように持ち出したのが組織見直し論だった。

 政治状況は当時と様変わりした。10月の衆院選で自民党は大敗し、少数与党に転落した。任命拒否問題でも見られた強権的な政治はできなくなっている。

 政府は法人化のための法案を来年の通常国会に提出する構えだ。与野党で熟議をしてほしい。

 学術会議は6人の任命を求め続けている。石破茂首相はしっかり対応してもらいたい。いまだ明らかにしていない任命拒否の理由の説明も求められる。 

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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