【社説①・12.14】:政治改革論議 接点を探り法改正につなげよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.14】:政治改革論議 接点を探り法改正につなげよ
政治改革について、各党が全ての項目で合意するのは難しいとしても、対立点を強調するだけで改革が何ら進まない事態は避けねばならない。
少なくとも一致できる部分は今国会で法改正を実現すべきだ。
衆院で政治改革の議論が本格化している。与野党が提出した政治資金規正法改正案などの関連法案は、9本にも上る。政治資金の監視を行う第三者機関の設置など、共通点も少なくない。
だが、委員会審議では各党が自らの主張を述べ合うことに終始しており、このままでは収拾がつかなくなる恐れがある。来年の通常国会に、政治資金改革を進展のないまま持ち越したら、政策課題の議論が停滞しかねない。
焦点となっているのは、企業・団体献金の禁止の是非だ。
立憲民主党は禁止法案を提出し、自民党に受け入れを迫っているが、自民は「個人献金が善で企業・団体献金が悪、という立場はとらない」と反論している。
立民は、税金を原資とする政党交付金の創設を決めた30年前、自民も企業・団体献金の禁止を約束したはずだ、と主張している。当時野党の河野洋平自民党総裁が近年、衆院の聞き取り調査でそう述べていることなどが根拠だ。
しかし、当時の改革の根底には、健全な政治活動を支えるうえでは企業・団体献金と個人献金、政党交付金の三つの資金源をバランス良く組み合わせることが望ましい、という考え方があった。
実際、当時改正された規正法の付則には、施行後の状況を踏まえ「5年後に見直しを行う」とあり、企業・団体献金の上限額などの見直しを示唆しているだけだ。
立民は、企業・団体献金が政治を 歪 めているという。だが、それを禁じた場合、政党が大口の個人献金者に依存する事態もありうる。政党が過度に政党交付金に依存するのも適切とはいえまい。
政党が党幹部らに支給している政策活動費の廃止も、 概 ね一致している。自民は、廃止する代わりに、個人名を公表しなくても済む新たな支出の枠組みを設けるよう求めている。ただ、政策活動費との違いはわかりにくい。
自民内では、立民など野党の案をベースとして、自民の主張を付則に加える案も浮上している。
残り少ない会期内で決着を図ることができなければ、政策活動費の原則廃止や第三者機関の設置などに限って今国会で法制化し、その後、改めて与野党で協議を続ける方法もあるのではないか。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月14日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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