【主張①・12.24】:日本学術会議 抜本改革になっていない
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.24】:日本学術会議 抜本改革になっていない
日本学術会議の改革を検討してきた政府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。
学術会議は現在、法律に基づく「国の特別機関」という位置付けで、運営は税金で賄われている。
日本学術会議=東京都港区六本木
令和2年に菅義偉首相(当時)が、学術会議が推薦した会員候補のうち6人を任命しなかったことで会議側が反発した。これを契機に、政府は会員選考の方法などの見直しを検討してきた。
だが、報告書の内容で国民の役に立ち、国益にかなう組織に生まれ変わるとは思えない。
報告書は、学術会議を国から切り離して法人化するとした。一方で「ナショナルアカデミー」としての役割を踏まえ、政府が財政支援を行うという。これまで通りの税金投入が見込まれている。
政府は会員選考に関わらず、任命権を首相から法人側に移す。外部有識者による「選考助言委員会」を新設し、選考方針などに意見を述べさせるが個別の選考には介入しないとした。意見に法的拘束力はない。しかも委員は学術会議の会長に任命させるという。
活動状況に関する「評価委員会」を設ける。業務執行の適正さを監事が監査する。この委員や監事は首相が任命するが、予算付けのための役割しか果たさないだろう。学術会議がおかしな行動をとったり、成果をあげなかったりしても、是正させることは期待できない。
これらを改革というのは噴飯ものだ。学術会議が好き勝手に税金を費消するだけに終わるのではないか。
学術会議の最大の弊害は、日本と国民を守るための軍事研究を強く忌避し、研究を停滞させてきたことだ。昭和25年と42年に軍事目的の科学研究を拒否する声明を出し、その継承を平成29年の「軍事的安全保障研究に関する声明」で宣言した。学術会議はこのような反国民的な言動を反省し、一連の声明を撤回しなければならない。
令和4年7月に軍事、民生の両方で使える「デュアルユース(軍民両用)」の研究を事実上容認した。だが、国家と国民を守るためには、純然たる軍事研究も推進すべきだ。
新型コロナ禍でも学術会議がろくな役割を果たさなかったのは記憶に新しい。小手先の組織いじりは無意味である。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年12月24日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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