【兵庫県百条委】:「告発者潰しと捉えられかねない」、知事ら県の対応批判
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県百条委】:「告発者潰しと捉えられかねない」、知事ら県の対応批判
兵庫県の斎藤元彦知事らがパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委)は4日、最終報告書をまとめた。告発者を特定・公表し、懲戒処分とした斎藤氏ら県の対応は「告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応だった。客観性や公平性を欠いており、大きな問題があった」と厳しく批判した。5日の県議会本会議で採決される見通しだが、法的拘束力はない。問題を認定した項目については改善策も提言しており、県側は対応を迫られる。

告発文は、元県西播磨県民局長の男性が2024年3月、匿名で一部の報道機関や県議に配布。斎藤氏によるパワハラなど七つの疑惑を訴える内容だった。斎藤氏は同27日の定例記者会見で、告発者が元局長であると明らかにして解任。元局長は4月に県の公益通報窓口にも通報したが、5月に停職3カ月の懲戒処分を受け、7月に死亡した。
■「現在も違法状態が継続の可能性」
公益通報者保護法によると、事業者には公益通報者の特定を防ぐための措置などを講じる体制整備義務が課せられている。
告発文の存在を把握した県の初動対応について、百条委は、告発が公益通報でないと判断する前に、内容を調査すべきだったと指摘。公益通報者の保護の認識がないまま、元局長の公用パソコンを調べ、その情報によって元局長を懲戒処分としたことは「告発者潰し」にあたり「非常に不適切である」と批判した。
告発文についても、元局長が後輩職員のためと主張したことなどから、不正な目的があったとは断言できず、公益通報に当たる可能性が高いと結論づけた。
斎藤氏が会見で告発文の作成者を公表したことや、元局長の私的な情報が外部に漏えいしたことは、公益通報者保護法に反し「現在も違法状態が継続している可能性がある」と指摘した。
■パワハラ疑惑、7件を事実認定

また、パワハラ疑惑に関連する内容のうち7件を事実として認定し「パワハラと言っても過言ではない不適切なものだった」と評価した。斎藤氏が23年11月、出張先の施設の車止め手前で公用車を降りた時に「なんでこんなところに車止めを置いたままにしているんや」と怒鳴った▽24年3月、執務室で付箋を投げた▽23年度に幹部職員に夜間や休日にチャットを送り、やり取りは計2165件に及ぶ――などを挙げた。
職員から「パワハラを受けた」という直接的な訴えはなかったものの「頭が真っ白になった」などの証言を踏まえ、斎藤氏による行為は、厚生労働省によるパワハラの定義に該当する可能性があると判断した。
斎藤氏が、贈答品を受け取ったとの疑惑については、特産品のカニやカキ、日本酒などを受け取り、多くを持ち帰ったと認め「PRなどではなく、個人として消費したと捉えられても仕方ない行為があった」とした。
23年11月のプロ野球阪神・オリックスの優勝パレードの協賛金集めを巡り、信用金庫への県補助金を増額し、キックバックを受けたとする疑惑については、背任容疑での告発が県警に受理されたことから、捜査当局の対応を待つとした。
21年の県知事選で県職員が事前活動したり、次期知事選に向けて投票依頼したりした疑惑などは、事実確認に至らなかった。
百条委は24年6月から18回にわたって実施。斎藤氏を含む関係者の証人尋問などで事実の確認を進めてきた。だが、一部の疑惑は事実確認に至らなかった。
報告書は、元局長の私的情報の漏えいについて刑事告発を含む厳正な対応を求めた。文書告発問題を巡っては、県が設置した第三者委員会も3月中に報告書をとりまとめる予定。【栗田亨、中尾卓英】
元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治体・兵庫県・斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委)】 2025年03月04日 20:13:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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