【主張①・11.27】:能登地震の検証 被災者の命と尊厳を守れ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.27】:能登地震の検証 被災者の命と尊厳を守れ
震災を生き延びた多くの人が避難生活中に体調悪化などで命を落とす現状を変えなくてはならない。1月の能登半島地震の課題を検証してきた政府の作業部会は26日、災害関連死を防ぐ支援策の強化を柱とする報告書をまとめた。
能登半島地震の災害関連死は家屋倒壊などによる直接の死者・行方不明者を上回り、230人を超えた。これを踏まえ報告書は、関連死を防ぐため避難所などの生活環境を抜本的に改善するよう行政側に求めた。
具体的には簡易ベッドや空調設備、温かい食事を提供するキッチンカー、トイレトレーラー、入浴設備を整備すべきだとした。特に避難所の雑魚寝は心身への負担が大きく、解決すべき課題である。
避難所の環境改善は被災者の命だけでなく、尊厳を守るためにも欠かせない。政府は必要な予算措置を講じたうえで自治体や民間と連携し、早急に改善に取り組むべきだ。
自宅で避難生活を送る人や、車中泊を余儀なくされた人に物資が渡されなかったケースがあることも考慮し、報告書は避難所以外の場所も含め、全ての被災者に十分な支援が行き届く体制が必要だと指摘した。
能登半島地震の災害関連死は過去の災害と比べ高齢者が多い。年齢が公表されている人の内訳は80代以上が全体の8割超を占める。高齢化が進む地方のリスクを浮き彫りにした。
関連死で亡くなった人の死因はまだ一部しか分かっていない。詳しく分析すれば、どのような支援が必要だったのかが分かるのではないか。
家屋倒壊や津波、火災、交通網の寸断、集落の孤立など多様な被害が生じた。報告書は住宅の耐震化、道路などインフラの強化、備蓄や物資輸送などの課題も指摘した。山がちな半島という特殊な地理条件で起きた震災だったが、必要な対策は全国各地の地方都市と共通するものが多い。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年11月27日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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