個人や組織が、致命的な失敗をした時、世論は何を求めるか!常識的に言えば、辞職です。解散です。例をあげれば、どうでしょうか?
連日マスコミが大騒ぎして、「大問題」となった事例をあげてみます。
1.麻薬騒動をバッシングされたノリピー
2.不正受給ではなかったものの生活保護バッシングされた芸人
3.大阪市立高校の体罰教師と教育委員会、刺青公務員、君が代斉唱・日の丸礼拝拒否教師
4.八百長と暴力・死亡事件を起こした相撲協会
5.イラク戦争時にイラク人救援中に人質となった家族が自衛隊の派兵を批判し自己責任と問われた事件
しかし、ぞれとは真逆のことが公然とまかりとおっています。
1.マスコミの「やらせ」事件と反省はどうか、検証しているか!
2.3.11後の東電の責任と反省と賠償責任
3.政治家の戦争責任に対する態度と憲法遵守擁護の義務違反
以上の事例を、今回の橋下市長発言について、全国紙の社説がどのような見解を表明しているか、そのことをとおしてマスコミ、特に全国紙とNHKはどのような責任を果たしているか、検証してみることにしました。以下テーマを一覧してみます
朝 日 橋下市長/これが政治家の発言か 2013/5/15 4:00
朝 日 高市氏発言 海外でも語れますか 2013/5/15 4:00
毎 日 橋下氏の発言/国際社会に通用しない 2013/5/15 4:00
読 売 橋下氏発言/女性の尊厳踏みにじる不見識 2013/5/16 2:00
日 経 橋下氏への内外の厳しい視線 2013/5/16 4:00
産 經 橋下市長発言 女性の尊厳損ね許されぬ 2013/5/15 6:00
中日・東京 橋下市長発言 あまりにも非常識だ 2013/5/16 8:00
N H K くらし☆解説 「参議院選挙と国民の視線」 2013年05月16日(木)
NHK
この後に及んで、橋下発言について、解説委員室として、一言も発していないのはどうしてでしょうか?しかも、この記事は戦争責任を曖昧にしながら憲法の改悪を狙う安倍政権に対して「世論調査」結果を「解説」する手法をとりながら「応援解説」となっているのです。以下をみてください。呆れます!世論誘導と言えます。「やらせ」の典型です。以下みてみます。
…最後に聞きます。国民は参議院選挙にどういう結果を望んでいるんでしょう?
◇一言では言いにくいのですが、去年の衆議院選挙で自民・公明が圧勝した後、参議院でも非改選を含めて自公が過半数を確保するのは望ましいと思うかと毎月聞いてきました。
◇御覧のように望ましいが一貫して多数で、若干ですが増えてきていまして、当面は政治の安定を求める国民が多いということです。
Q13)このままの傾向が参議院選挙で現れるということでしょうか?
◇そこはまだ分かりません。確かに今月の各政党の支持率を見ますと自民党が40%台で高止まりしていて、そこから大きく水が空いて各党が続いています。
第2党の民主党、第3党の日本維新の会も、一気の上昇の気配がありません。
◇しかし、政治は生き物です。政治家の歴史認識を巡る発言が外交に影響を及ぼしたり、円安が進んでいった結果、経済に副作用が現れることがあるかもしれません。
◇そういった見通せない変数が、特に無党派層の判断に影響することも考えられますので、2か月余り先の参議院選挙について、予断は禁物です。(引用ここまで)
「自公が過半数を確保するのは望ましいと思うか」「望ましいが一貫して多数で、若干ですが増えてきていまして、当面は政治の安定を求める国民が多い」と自公政権は「政治の安定」と評価しているのです。しかし、「第2党の民主党、第3党の日本維新の会も、一気の上昇の気配がありません」とし、他党のことは想定外にしているのです。そうして「政治家の歴史認識を巡る発言が外交に影響を及ぼ」すこともあるので「予断」は「禁物」とはどういうことでしょうか?
この時点で、橋下氏の発言は承知しているのですが、一言もないまま、このような解説をしているのです!この解説の最大の問題(他にもありますが)は以下の点にあります。
一つは、安倍自公政権の「政治の安定を求める国民」世論は「変数」によって「無党派層の判断」で変わる、安部政権は不安定になるという「副作用が現れることがあるかもしれません」ので、「予断は禁物」ですということでしょうか?
二つ目は、ありません。NHKの立ち居地が如実に出た解説委員室です。ふざけんな!ということでしょうか?!
次は、産経・読売を含めて、一応各紙は橋下氏を批判しています。しかし、本当に批判しているのでしょうか?ウソです。ではみてみます。
最大のポイントは、このような橋下氏を育ててきたマスコミの責任、戦争責任問題に係わる暴言・国益を損ねる議員の発言を放置してきたマスコミの責任は、いっさい不問にしておいて、自分は間違っていないという社説を展開しているのです。
1.橋下氏の発言を批判する言葉は、以下のとおりです。朝日の場合は「高市氏」を含めて考えてみました。
朝日 いまを生きる女性たち、さらには米兵をも侮辱する…(侵略を否定するかの発言)は、多くの日本人の思いや利益に反する…政治家として無責任もはなはだしい…(引用はここまで)
毎日 野党実力者の不適切発言は対外的に日本政治への不信を招き、国そのもののイメージすら損ないかねない…女性の人権への配慮を欠いている…こんな言動が続くようでは政治家としての資質すら問われよう…(引用ここまで)
読売 公人としての見識と品位が問われる発言…軍に慰安婦が必要だったと声高に主張することが、女性の尊厳を軽んじるものと受け止められても仕方あるまい…(引用ここまで)
日経 判断力は政治家の重要な資質の一つである。何をいつどこで語るかが日々問われる存在だ。日本維新の会の共同代表である橋下徹大阪市長はその自覚に欠けていないか。自身の言葉が国内どころか海外でも波紋を広げているのはなぜかをよく考えてもらいたい…性倫理は時代や国で異なるが、「精神的に高ぶっている集団を休息させる」ために女性を慰みものにしてよいはずがない。…このままでは日本の国益を損なうおそれがある…(引用ここまで)
産經 今の時代に政治家がこうしたことを公言するのは女性の尊厳を損なうものと言わざるを得ない。許されない発言である…「風俗業活用」発言など、もってのほかだ。人権を含む普遍的価値を拡大する「価値観外交」を進める日本で、およそ有力政治家が口にする言葉ではなかろう。(引用ここまで)
中日・東京 「女性の人権を否定する暴言だ…橋下氏の発言は過去の戦争を反省して平和を構築する、被害者の苦しみを受け止め語り継ぐという普遍的な価値観に完全に逆行するものだ。沖縄が置かれた現実に無神経であり、軍隊の暴力性にも関心がないようにみえる。(引用ここまで)
2.全国紙自らが、上記のようなとんでもない発言をする橋下氏を持ち上げ育成してきたことを、自らの社説で書いているのに、このことはいっさい不問です。以下、その言葉をみてみます。
朝日 河野談話を何とか見直したいという国会議員の言動がいつまでも続くからだ。…だがそれ以前に、政治家からのこうした発言(「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない」安倍首相)があとを絶たないのは…侵略を否定するかの発言をする。こんなことが繰り返されれば…、(引用ここまで)
毎日 橋下氏はかねて慰安婦問題で旧日本軍の強制性を認めた1993年の河野洋平官房長官の談話を批判しており、今回もその延長線上にあるようだ。安倍晋三首相の歴史認識をめぐる疑念が米国で強まっている。…橋下氏の「慰安婦」発言を維新の会の石原慎太郎共同代表も擁護…歴史認識をめぐっては自民党の高市早苗政調会長の発言も波紋を広げている(引用ここまで)
読売 今回の発言は、歴史認識をめぐる安倍内閣の姿勢に関連して、記者団の質問に答えたもの…橋下氏は河野談話の見直しが持論である。(引用ここまで)
日経 騒ぎがさらに大きくなれば安倍晋三首相の「侵略の定義は定まっていない」などの発言も一体として扱われかねない。地盤や資金力のなさを言葉の力で補って野党第2党の党首になった橋下氏に「自分ならば誰でも説得できる」との過信はなかったか。謙虚さも政治家の大事な資質である。(引用ここまで)
産経 根拠もないまま強制連行を認める河野洋平官房長官談話が発表され、公権力による強制があったとの偽りが国内外で独り歩きする原因となった。 安倍晋三首相は有識者ヒアリングを通じて談話を再検討する考えを示してきた。(引用ここまで)
中日・東京 政府、自民党からは橋下発言への批判が相次いだが、党内では慰安婦制度への旧軍の関与を否定する声がある。…安倍晋三首相は閣僚や党幹部に対し、歴史認識も含めて慎重な発言を徹底させるべきだ。(引用ここまで)
3.今回の橋下発言を「国益を損なう」発言とスリカエていることです。これでは「黙っていれば良い」「発言の機会が悪い」などということになります。
朝日 こんなことが繰り返されれば、あとでどんなに釈明しても日本の政治家の本音はこちらにあると各国から受け止められても仕方がない。それは、多くの日本人の思いや利益に反する。(引用ここまで)
毎日 不用意な対応が日本の外交力を損ないかねないとの警戒からだろう…発言が結果的に外交力を低下させ、国益を損なう悪循環を生みかねない…ことを与野党の政治家は強く心得るべきだ。(引用ここまで)
読売 戦時中の慰安婦の存在を「必要だった」と認めることは、逆に国際的にも誤解を広げることになるのではないか。(引用ここまで)
日経 自身の言葉が国内どころか海外でも波紋を広げているのはなぜかをよく考えてもらいたい。…日韓が相次ぎ政権交代したのにいまだ開けない首脳会談をさらに遠のかせた。東アジアの安定に逆効果でしかない。 周辺国以外の目も厳しい。…このままでは日本の国益を損なうおそれがある。 上手の手から水が漏れるということわざがある。(引用ここまで)
産経 橋下氏が「必要な制度」などと唱えるのは事実に基づく再検討とは無関係だ。国際社会にも誤解を与えかねない。…下村博文文部科学相も「あえて発言する意味があるのか」と指摘…人権を含む普遍的価値を拡大する「価値観外交」を進める日本で、およそ有力政治家が口にする言葉ではなかろう。(引用ここまで)
中日・東京 国連の諸会議では女性に対する性暴力の根絶を目指す動きが活発で、国際社会から強い反発を招くだろう。(引用ここまで)
4.橋下氏の発言を口では批判していながら、弁解の機会を与えるか、学問的にも、国際的にも決着のついている植民地支配と侵略戦争責任問題を曖昧にする言葉を使うことで、事実上、橋下発言、安倍政権を擁護しているのです。
朝日 戦場での「性」には、きれいごとで割り切れない部分があるのも確かだ。だからこそ当時の状況は詳しくわからないし、文書の証拠も残されていない。…この党には、橋下氏をいさめる政治家はいないのか。百歩譲って本音で解決するためというのなら、何をどう解決するのか示してほしい。…もし高市氏が政治家としての信念で、反省の必要はない、「侵略」という言葉がしっくりこないというなら、近隣諸国や米国を訪れ、その考えを主張してはどうか。 その覚悟もないまま語っているのだとしたら、政治家として無責任もはなはだしい。 どうですか、高市さん。(引用ここまで)
毎日 慰安婦についてさまざまな議論があることは事実だ。…「河野談話」見直しに菅義偉官房長官が慎重姿勢を示すのも不用意な対応が日本の外交力を損ないかねないとの警戒からだろう。橋下氏の「慰安婦」発言を維新の会の石原慎太郎共同代表も擁護した。両氏の発言はこうした配慮を台無しにしかねない。…国益を損なう悪循環を生みかねないことを与野党の政治家は強く心得るべきだ。(引用ここまで)
読売 河野官房長官談話には、資料的な根拠もないまま、日本の官憲が組織的、強制的に女性を慰安婦にしたかのような記述がある。そうした誤解を招くような記述は、事実を踏まえた見直しが必要だ。 橋下氏は河野談話の見直しが持論…だが、戦時中の慰安婦の存在を「必要だった」と認めることは、逆に国際的にも誤解を広げることになるのではないか。橋下氏は、日本政府が1965年の日韓基本条約で慰安婦問題は法的に解決済みだとしていることを批判し、元慰安婦に「配慮すべきだ」とも語っている。だが、何ら具体策もないのに、こうした主張をするのは無責任である。なぜ、橋下氏がこうした提案(「風俗業活用」発言)をし、それを表明する必要があったのか。首を傾(かし)げざるを得ない。(引用ここまで)
日経 騒ぎがさらに大きくなれば安倍晋三首相の「侵略の定義は定まっていない」などの発言も一体として扱われかねない。(引用ここまで)
産経 根拠もないまま強制連行を認める河野洋平官房長官談話が発表され、公権力による強制があったとの偽りが国内外で独り歩きする原因となった。 安倍晋三首相は有識者ヒアリングを通じて談話を再検討する考えを示してきた。橋下氏が「必要な制度」などと唱えるのは事実に基づく再検討とは無関係だ。…稲田朋美行政改革担当相は「慰安婦制度は女性の人権に対する大変な侵害だ」と批判し、下村博文文部科学相も「あえて発言する意味があるのか」と指摘した。稲田、下村両氏は自民党内の保守派として河野談話の問題点を厳しく指摘したこともあるが、橋下氏の考えとは相いれないことを示すものといえる。 安倍首相も「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む」との認識を表明している。 河野談話の発表にあたっては、二百数十点に及ぶ公式文書には旧日本軍や官憲が慰安婦を強制連行したことを裏付ける資料は一点もなかった。だが、発表直前に韓国のソウルで行った韓国人元慰安婦からの聞き取り調査だけで、強制連行があったと決めつけた。 裏付けなく発表された談話が、韓国などの反日宣伝を許す要因となっている状況を安倍政権は見直そうとしている。いわれなき批判を払拭すべきだという点は妥当としても、橋下氏の発言が見直しの努力を否定しかねない(引用ここまで)
中日・東京 韓国、中国との関係修復のためにも、安倍晋三首相は閣僚や党幹部に対し、歴史認識も含めて慎重な発言を徹底させるべきだ。(引用ここまで)
5.今回の橋下発言は安倍自公政権のスタンス、すなわち侵略戦争の責任を曖昧にし、その戦争の惨禍の反省の上に制定された日本国憲法を占領軍の押し付けによってつくられたので自主憲法として、国民の手によって新しい憲法をつくるとすると安倍政権と橋下・石原日本維新の会の思想とは同根であることをゴマカシ、スリカエていることです。このことの意味は、憲法改悪の応援団と化しているマスコミの立ち居地を如実に示しているのです。
以下、そのポイントをまとめてみます。
(1)今回の問題を女性の人権問題に矮小化しているのは誤りです。
①女性だけではなく、男性を含めなければ、それこそ不公平です。
②しかも、こうした男女の人権侵害をつくり出した「戦争」行為の本質を曖昧にしているのです。
③このことは「国際紛争を解決する手段」として「戦争」「威嚇」「武力行使」を放棄し、そのためにも「国家の交戦権を否認する」とした憲法第9条の理念を曖昧にすることを意味しています。
④何故曖昧にするか、それは憲法改悪を参議院選挙の争点として企む安倍自公政権や日本維新の会など「反動勢力」=大東亜戦争正当化勢力を応援するものです。
(2)日本国憲法との関係で論じない社説の犯罪的意味です。
①日本国民が「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」して、国際公約として制定したはずの日本国憲法をないがしろにする輩の主張を日本国中に跋扈させ、彼らの主張に反対し、国際公約を果たそうとする主張を同じ時間・機会と字数を使って跋扈させていないマスコミの犯罪的役割があります。
②さらに、そのような背景と経過を踏まえて制定された日本国憲法に対して「尊重し擁護する義務を負ふ」「国務大臣、国会議員」「その他の公務員」が、その義務を負っていないことの意味を論じてしないマスコミの犯罪的役割があります。
③人権問題について言及するのであれば、あの「戦争の惨禍」が可能になったのは、大日本帝国憲法と、その下における教育勅語・治安維持法、軍人勅諭・戦陣訓などにみるように統帥権をはじめとした天皇大権体制によって、国民の人権と民主主義を弾圧したことを曖昧にするものです。
(3)こうした体制に回帰しようとする安倍自公政権と石原・橋下日本維新の会などを徹底して批判しない、むしろ擁護・応援するマスコミの犯罪的役割を強調しない訳にはいきません。
①そのことは、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」との村山談話を引用しながらも、「植民地支配と侵略によって」という言葉を一貫して認めない安倍自公政権を徹底して批判していないことに象徴的です。
②むしろ、「菅義偉官房長官が慎重姿勢を示すのも不用意な対応が日本の外交力を損ないかねないとの警戒」「配慮を台無しにしかねない」としているのです。
(4)「国益を損ねる」「日本人の思いや利益に反する」などと言いながらも、以上のような視点によって、橋下氏に対して、また安倍氏や高市氏に対して市長や議員としての身分を辞する勧告もしないのです。そこに口だけの社説であることが判ります。
以上、主なポイントをまとめてみました。時間がありませんので、今日はこれにて、オヤスミナサイとします。