飯島氏の訪朝が、参院選前のパフィーマンスとして、また選挙勝利の工程の一環として具体化されたことは明らかですが、同時にこれまですすめてきた「対話と圧力」の行き詰まりの転換を意味するのものとして、また拉致被害者の帰国が実現できるものであるならば、またこの対話を通して、朝鮮半島における平和協定の調印、東アジアの非軍事・非核平和共同体づくりの契機になれば、大きな一歩と言えます。
こうした動きが、文字通り、戦争と武力行使や威嚇を放棄した憲法9条の平和外交の一つであることを、安倍政権自身が証明することになれば、これはこれで、大いに賞賛・評価されなければなりません。その際の視点として、日本に古くから存在している道徳として、「向こう三軒両隣」「敵に塩を送る」「雨降って地固まる」「災い転じて福となす」という「伝統文化」をあげておかなければなりません。
日本における「伝統文化」が朝鮮半島より渡来してきたものを基礎にしていることを踏まえて、友好と連帯の歴史の長さから比べて負の歴史の短さを強調しながら、反省すべきは反省し、補償すべきは補償し、後世において二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、まさに未来志向のための原則と内容の具体化に両国国民の叡智を結集すべきです。
戦争と戦争や武力行使、威嚇行為につながる人命などの損失より、経済・人事・文化交流による豊かさを実現することで、安全・安心と福祉向上、平和を実現していくことの方が両国民にとっても、東アジア諸国民にとっても、また人類にとっても好ましいことであることを、事実で証明していくことです。
この間、朝鮮半島非核化と東アジアの非核・非軍事平和共同体づくりについて、以下の記事を書いてきました。今回の記事を踏まえて、さらに深めていきたいと考えています。
北朝鮮への挑発的軍事行動をけん制とゴマカス日米韓とマスコミの憲法9条軽視の犯罪的役割を断罪する!
http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/051cfc066d37efcfc41469d2e5b64ccd
日本のマスコミは朝鮮半島と東アジアの非核地帯条約から東アジア平和共同体づくりに真面目に取り組め!
http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/c2610a95d6cffe4ae2cf941fbba9fa81
朝鮮半島の非核化ではなく、東アジアの非核地帯化をすすめる日本国政府をつくろう!
http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/3ead2d7b13e8bdb6a1bee84a73f176e1
以上の視点で、朝鮮中央通信と労働新聞を検索してみました。
http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf;jsessionid
意外なことが判りました。以下、論評をそのまま掲載してみます。愛国者のそれぞれのコメントを記しておきました。
右傾化では新しい日本を作ることができない 朝鮮中央通信社論評 【平壌5月20日発朝鮮中央通信】
最近、日本で右傾化の機運が日増しに蔓延している。社会全般に国粋主義的風潮が広がり、極右勢力が台頭して「猛活躍」している。「平和憲法」を改正して戦争国家としての法律的保証をもたらすための動きが露骨になっている。日本の極右勢力は、終始現行憲法に不満を抱き、いつかはそれを修正して憲法上「軍隊を持てる国」「戦争ができる国」を作ろうと機会あるたびに「憲法改正」についてけん伝し、時を待ってきた。彼らの胸中は、第2次世界大戦後に採択されて今まで施行されてきた「平和憲法」を戦争憲法で作り直して軍国化と海外膨張の法律的基礎をなんとしても完備しようとするところにある。
社会の急進的な右翼雰囲気に歩調を合わせて、この前自民党は新しい「防衛計画大綱」策定のためのいわゆる「防衛関連提言案」を作成した。この提言案は、「憲法改正」による集団的自衛権行使と「国防軍」の創設、ミサイル発射基地に対する攻撃能力の保有を骨子としており、さらには誰それの脅威を口実にして核抑止戦略の研究についても明記した。この提言案に「防衛」の看板を掛けたが、その内容はすべて侵略的目的の実現のための戦争綱領にすぎない。問題は、日本がとんでもなくわれわれに言い掛かりをつけて、あたかもわれわれのために「防衛」のための集団的自衛権を行使し、「国防軍」を保有し、敵の基地を攻撃すべきであるかのように内外の世論をまどわしていることである。集団的自衛権行使や「国防軍」保有、敵の基地に対する攻撃能力の保有などは、すべて防衛とは縁がない。これは、海外侵略野望を実現するための単なる口実にすぎない。
日本反動層の目的は、現在の日本を交戦権と参戦権を持った戦争国家に作るということである。日本の言う「正常国家」は結局、戦争国家である。しかし、戦争によっては決して敗戦国の心理を払拭できない。 軍国化と海外侵略を合法化しようとするのはかえって、戦犯国、敗戦国としての日本の地位を規定した国際協約に露骨に挑戦する犯罪行為になっている。血なまぐさい過去の罪悪を公然と否定し、日ごとに右傾化している日本が海外侵略戦争の火ぶたを切るなら、永遠の敗戦国、敗北国になる結果しか与えられない。(引用ここまで)
愛国者の邪論
日本の世論、それを形成するうえで大きな役割を果たしているマスコミ・メディアの論調には視られない評価がなされていることに、改めて驚き、感心。しかし、象徴天皇制という点では問題があるが、人類の普遍的原則を具体化した日本の「平和憲法」の評価を自国の憲法にどのように活かしているか、そうした視点でどのように論評し、国際社会、とりわけ日韓にアピールするか?
「労働新聞」日本は過去犯罪に対する認定と謝罪、賠償をすべきだ 【平壌5月20日発朝鮮中央通信】
20日付の「労働新聞」は署名入りの論説で、日本はかつて過ちを犯した他の国が過去と決別し、国際的信頼を築くために真しに努めている現国際的すう勢に従わなければならないと主張した。
同紙は、過去、日帝が朝鮮をはじめアジア諸国の人民に癒えがたい骨身にしみる傷を残したということは世人がみな知っている事実であるとし、次のように指摘した。にもかかわらず、日本は今までそれに対する認定や謝罪もしておらず、賠償などは全く考えていない。むしろ、日本では過去犯罪をわい曲、正当化するき弁が往々にして吐き出されている。これに執権勢力が先頭に立っている。それゆえ、国際舞台で日本は自国の過ちを反省することをとても嫌がり、それを正当化する根深い悪習を持っている国と知られている。日本がやっきになって過去の犯罪をわい曲、正当化しているのは、そのような根深い悪習のためだけではない。その根底には自分なりの野心と打算が潜んでいる。過去に遂げられなかった「大東亜共栄圏」の昔の夢を実現しようとするのは、日本の反動層の変わらぬ野望である。日本は、他の目的も追求している。それは、自国の過去犯罪に対する賠償を回避しようとすることである。過去犯罪に対する認定と謝罪、賠償をあくまで回避している日本を国際社会は鋭い警戒の目で注視している。同紙は、日本は過去に侵略戦争と植民地支配で莫大な被害を与えた朝鮮とアジアのすべての国に無条件的で、徹底した謝罪と賠償をすべきであると強調した。(引用ここまで)
愛国者の邪論
情報の鎖国化現象下に生きる日本国民を見透かしたような論評だ。拉致問題と挑発的言動に終始し、核開発やミサイル発射など、国際社会の合意に違反する北朝鮮が日本をどのように視ているか、興味深い論評だ。しかも過去犯罪に対する認定と謝罪、賠償の評価についても、日本国民の多くの感情と真逆の論評だ。この視点を拉致問題にどのように適用するか、問われているだろう。
朝鮮半島での平和協定締結を促す国際運動をアピール 中国のインターネット・ホームページ 【平壌5月20日発朝鮮中央通信】
中国のインターネット・ホームページ「第4言論」が18日、朝鮮停戦協定が締結されてから60年になることに関連して、朝鮮半島と北東アジア地域での戦争に反対し、平和協定の締結を促す国際的な運動を展開しようというアピールを発表した。
アピールは、1953年に朝鮮半島で停戦協定が締結されてから今日まで民族の分裂が持続しているばかりか、朝鮮が米国の絶え間ない封鎖と核脅威の中で想像を絶する被害を受けていることについて、世界が朝鮮半島と北東アジア地域の安全のために反戦平和をアピールしていることについて列挙し、次のように明らかにした。
1.停戦協定は必ず永久の平和協定に切り替えられなければならない。
2.平和協定が調印されれば米軍は即時に南朝鮮から完全に撤退しなければならない。そうしてこそ、外部勢力の妨害を受けずに北・南・海外の朝鮮人が自分の決心によって平和統一を成し遂げるために共に努力することができる。
3.アジア太平洋地域は平和共存し、共栄する未来の地域に残っていなければならない。
4.朝鮮半島とアジア太平洋地域、全世界は人類の平和と安全、繁栄を破壊し、軍事的緊張を引き続き高調させようとする好戦狂と軍需独占企業、覇権を握ろうと力を誇示している諸大国の翻弄物になってはいけない。
アピールは、反故になった停戦協定を永久の平和協定に切り替えることを求めた。 (引用ここまで)
愛国者の邪論
朝鮮半島における平和協定締結の方向性について中国の視点が北朝鮮で公表されているが、国民はどのように考えているのだろうか。核兵器廃絶・非核三原則の問題が明らかにされていないが、基本的には同意できるものだ。こうしたアピールが出されているのだから、論戦・交流を活発にして北東アジアの枠組みの構築に向けて努力を積みあげていく必要がある。米国がどう出るか?
米帝と南朝鮮好戦狂らの海上打撃訓練を糾弾 「ロシアの声」放送 【平壌5月20日発朝鮮中央通信】
「ロシアの声」放送が14日、「朝鮮半島危機の悪循環」と題して米帝と南朝鮮のかいらい好戦狂らの海上打撃訓練を糾弾し、次のように伝えた。朝鮮は、原子力空母「ニミッツ」号の参加のもとに行われた米国―南朝鮮連合海上戦争演習が朝鮮の安全を甚だしく脅かしたと主張した。ほとんどの専門家も、米国の行動を健全な考え方に反する挑発と評価している。米国は、力の政策を引き続き追求している。それゆえ、朝鮮は今回の米国―南朝鮮連合海上戦争演習を挑発としか考えられないのである。見たように、朝鮮半島の危機は解消されていない。朝鮮半島で力を誇示するのにおびただしい資金を支出している目的は、同地域で支配権を強化しようとするところにある。専門家たちは、そのようにするからといって南朝鮮の安全が特別に強化されるのでも、朝鮮半島の緊張が緩和されるのでもないと主張している。停戦協定の締結60年を迎える7月と米国・南朝鮮合同軍事演習が行われる8月に、朝鮮半島の情勢はまたもや激化するであろう。朝鮮半島の危機は悪循環を繰り返しており、活路はますますより狭くなっている。(引用ここまで)
愛国者の邪論
「挑発的言動を繰り返す北朝鮮とそれをけん制する米韓合同軍事演習」という日米韓の視点と真逆の視点が、この論評にある。これがロシアの論評であるとして自国民に報道しているのだ。ここに日米軍事同盟容認論にたつ日本国民との認識の大きな、真逆の違いがある。これでは国交樹立は厳しいだろう。はり穴一致点を模索し、これを広げ日朝平和友好条約まで、どうするか?
朝鮮半島緊張激化の責任は米国にある --チェコ紙 【平壌5月18日発朝鮮中央通信】
チェコの「ハロ・ノビニ」紙が11日、「米国が実際に対話を願うのか」と題する記事を掲載した。同紙は、最近、朝鮮半島の情勢が激化することになった根本原因が米国の対朝鮮敵視政策とそれに伴う軍事的圧力にあると指摘し、次のように続けた。
昨年12月12日、朝鮮は人工衛星を成功裏に打ち上げた。しかし、米国は朝鮮の衛星の打ち上げを「長距離ミサイル発射」に仕立て、国連安全保障理事会をそそのかして不当な「制裁決議」をつくり上げた。朝鮮は、自衛的な第3回地下核実験でこれに対応した。同紙は、朝鮮の核実験が正当な措置であるにもかかわらず、米国はまたもや国連安全保障理事会をそそのかして朝鮮に対する「制裁決議」をつくり上げ、膨大な武力で朝鮮半島で米国・南朝鮮合同軍事演習を行ったとし、次のように暴露した。
米国は、合同軍事演習に核打撃手段を動員した。最近、米国と南朝鮮は朝鮮民主主義人民共和国に「対話提議」を持ち出したが、これは条件付きのものである。米国は、朝鮮に対話の前提条件として非核化の意志を見せろと言い散らした。朝鮮は、不純な目的を追求する米国の「対話提議」に応じないと一蹴した。米国が対朝鮮敵視政策と核脅威を放棄しない限り、朝鮮半島の平和は期待しがたい。1950―1953年の朝鮮戦争が平和協定ではなく停戦協定の締結で終わったので朝鮮と米国は今も依然として戦争状態にある。朝鮮は今まで、平和協定の締結を数回にわたって提議したが、米国によって拒絶された。米国が朝鮮の提案に顔をそむけてきたのは、自国の戦略実現に朝鮮半島の緊張状態が必要であるからだ。米国は、朝鮮の「核脅威」を口実にして南朝鮮とその周辺地域の武力を大幅に増強した。これらすべては、朝鮮半島緊張激化の責任が誰にあるのかを明白に実証している。(引用ここまで)
愛国者の邪論
ロシア・中国・チェコと、北朝鮮を廻るアメリカとの関係の論評は日本では想定外の視点だろう。予想通りの論評と視点だが、北朝鮮が、これらの論評の正当性を適用し具体化しようとするのであれば、日本国憲法の平和主義と非核三原則、ヒロシマ・ナガサキの主張をどのように適用し具体化していくのか、核兵器抑止力論の放棄にこそ、国際社会と連帯できる最大の鍵があるだろう!