愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

懲罰発言に怒れば怒るほど木霊となって跳ね返ってくる!人道主義の徹底こそ解決の唯一の道と自覚すべき!

2013-05-24 | 日記

憲法遵守擁護の義務を負っている政治家が、人類思想と文化、人権と民主主義の到達点を示している日本国憲法を活かすのではなく、様々な詭弁を弄して改悪しようとしている諸事実を事あるごとに記してきました。 

今回の「原爆は懲罰」発言に対して、その憲法改悪を狙う政治家の発言を読むと、そんなこと言えるのかと怒りが湧いてきました。そのような感情が湧いてきたからと言って、この懲罰発言を認めるものでないことは言うまでもありません。 

この発言は、トルーマン大統領が原爆投下を正当化した思想を同じ延長線上にあるものです。また東京裁判において、19世紀後半から20世紀にかけて到達してきた人道主義にもとづいて、非人道的兵器の使用を禁止してきた人類の知恵を踏みにじる非人道的兵器をしようした勝者を裁かなかった思想の延長線上にあります。 

だからと言って、大東亜戦争を自存自衛の戦争として侵略戦争と認めない政治家たちを免罪するものでは決してありません。侵略戦争として開始されたあの大東亜戦争のなかで、どのような残虐なことが行われたか、そのことをあらゆる側面から捉えてみると、侵略戦争を認めず、自存自衛の戦争として、また斃れた皇軍兵士たちを英霊として美化する政治家たちを認めることは断じてできません。 

何故ならば、とりわけアジアや欧米の人々への加害の事実、臣民を弾圧した加害の事実、協力加担を強いられた臣民に対する加害の事実、侵略戦争の尖兵とならざるを得なかった多くの皇軍兵士たちを、国際法で教育することなく玉砕や特攻や餓死に至らせた加害の事実など、加害と被害の構造を踏まえるからです。とりわけ侵略戦争に命を懸けて反対した人々への加害と被害を検証し顕彰することを一貫して怠ってきた不道徳ぶりは、憲法改悪勢力の本質を示していると思います。 

このような意味を確認した上で、今回の懲罰発言をどのように意味づけるか、以下考えてみました。ポイントは、以下のとおりです。

1.「ガス室のユダヤ人のように、丸太のように、刀で頭を切られた南京の中国人のように、日本人も苦痛の中で死んでいった。放射能被爆まで合わせれば20万人余りが死んだ」(キム・ジン論説委員・政治専門記者)は事実が大きく違っていることです。ヒロシマ・ナガサキでは「それぞれ数十万人が被爆。日本人被爆者の他に、原爆投下当時、広島市と長崎市にいた韓国人、朝鮮人、中国人や捕虜として収容されていた兵士(主に英軍、蘭軍兵)の被爆者が存在する」という事実です。

2.しかも、現在、日本だけではなく、韓国・北朝鮮などにもヒバクシャが、今もなお存命であることです。

3.核兵器は非人道兵器として使用を禁止しようとする国際世論が多数になろうとしていることを考慮していないことです。

核兵器使用は国際法に違反している!戦争犯罪を繰り返さないためには加害の事実と向き合う道徳論を!

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/702ee983969d20aff44663c6847665c4

沖縄・広島・長崎・福島の屈辱、大東亜戦争正当化を押し付ける安倍不道徳自公政権は退場すべし!

http://blog.goo.ne.jp/aikokusyanozyaron/e/0f5b901a89c573d0ce369b8c214bde64

 

4.朝鮮半島の非核化、北朝鮮に核兵器の所有を認めないというのは、日米中韓政府の共通した考えであることは、この間、韓国においても日々垂れ流していたのではないでしょうか? 

5.この懲罰発言は、韓国自身が、北朝鮮によって懲罰の対象になること、或いは北朝鮮がアメリカノ核兵器によって懲罰の対象になることを容認するものです。 

6.そもそも、ヒロシマ・ナガサキは、リメンバー・パールハーバーの報復的措置としても意味づけられ、正当化されたものでした。しかし、この思想が如何に誤っているか、それは戦後の国連決議によって証明されているのです。 

国際法はテロ行為に反対武力報復を禁止「自衛権」口実でも否定 不破議長、志位委員長の各国首脳への書簡が指摘 しんぶん赤旗2001年9月18日

http://w3sa.netlaputa.com/~gitani/bushwar/jcp-int-law.htm

7.この懲罰発言は、日本の政治家の憲法違反の言動が引きこした側面を持っていることを確認することが必要です。 

8.同時に、この憲法違反の発言を繰り返している政治家たちは、アメリカの核兵器の傘の下に身をおくことで、核兵器廃絶を要求しないこと、ヒロシマ・ナガサキの原爆投下が国際法に違反していることを要求していないという点では、この思想と同じ延長線上にいることを強調しなければなりません。 

9.菅官房長官が抗議をしたのは当然ですが、先のNPT会議における日本政府の態度を振り返るならば、この抗議が、腹の底から発せられたものではないことは明らかです。広島出身の岸田外務大臣においても同様です。真に核兵器を憎み、ヒバクシャのことを思えば、核兵器の使用禁止と核兵器の廃絶、非核三原則の遵守、核兵器抑止力論の廃棄を直ちに具体化すべきだからです。 

10.石原維新の会共同体表に至っては、あの東日本大震災を「天罰」としたこと、「第三国人」発言、慰安婦・侵略戦争正当化発言などをみれば、批判する資格がないということです。 

11.安倍首相においても同様です。憲法改悪のためのパフォーマンスとして、戦車や戦闘機に搭乗するなど、その軽率的行動は、周辺国を含めて国際社会の笑いもの、国益を損ねる行為となっていることは、自らの発言が国際社会から批判を受け、軌道修正をしたことを視れば明瞭です。そのことを自覚すべきです。 

12.「731」「96」の真相は不明ですが、特に731については、安倍首相の言を借りるならば勝者によって裁かれた東京裁判において、その責任すら追及されず、曖昧にされたこと、その資料が戦後の米ソの戦争データーとして使われたことなどを、今一度確認すべきです。 

13.日本国民が考えなければならないことは、ヒバクシャの心を傷つけたこの懲罰発言を意味づけることをとおして、日本国の政治家の心ない発言が、どのようにしてアジア諸国の国民の心を傷つけているか、沈黙すべきではないということです。 

14.ということは、このような政治家を政治家として選出することを拒否する国民的風土を確立することです。さもなければ、このような歴史を無視した言葉の暴力の応酬が繰り返されることは、この間の事実が示しています。一刻も早く、こうした連帯と交流を阻む行為を克服していく国民的運動を起こすことではないでしょうか?

15.こうした運動が発展してこそ、朝鮮半島の自主的平和的統一が実現できるし、東アジアの非軍事・非暴力・非核の平和共同体ができるのではないでしょうか?今回の発言は、こうしたことを教えてくれたように思います。

 

以下、今回の発言について、マスコミはどのように報道したか、視てみます。

まずテレビです。

NHK 韓国紙「原爆投下は神の懲罰」 5月23日 12時5分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014783921000.html

テレビ朝日 広島・長崎への原爆投下「神の懲罰」韓国中央日報 (05/23 13:59)

http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000005822.html

TBS 韓国紙「原爆投下は“神の懲罰”」 (23日17:28)

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5339454.html

フジテレビ 韓国紙「原爆投下は神の懲罰」 長崎の被爆者「憤り感じる」(05/23 19:36)

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00246592.html

次は新聞です。

韓国紙「原爆投下は神の罰」、記事で無差別爆撃を支持 日本大使館抗議 2013.5.22 22:07 韓国

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130522/kor13052222170008-n1.htm

【原爆投下は神の罰】 韓国紙報道に菅氏「断じて許せない」 2013.5.23 11:47 韓国

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130523/plc13052311470008-n1.htm

韓国紙:原爆投下は「神の懲罰」 日本大使館が遺憾の意 毎日新聞 20130523日 1326分(最終更新 0523日 1400分)

http://mainichi.jp/select/news/20130523k0000e030195000c.html

【原爆投下は神の罰】 維新・石原共同代表「許し難い」 2013.5.23 13:46

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130523/stt13052313520005-n1.htm

【原爆投下は神の罰】 「核廃絶への祈りを否定するかの記事」 公明幹事長代行が抗議 2013.5.23 15:52

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130523/stt13052315550007-n1.htm 

「神の懲罰」論を釈明=韓国大使 (2013/05/23-20:50)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2013052300999

 韓国の申※(※=王ヘンに玉)秀駐日大使は23日、同国の中央日報が広島、長崎への原爆投下を「神の懲罰」とする記事を掲載したことに関し、「編集者の意見であって、韓国人の一般的な考え方ではない」と釈明した。超党派の日韓議員連盟の会合で語った。 また、歴史認識に関する1995年の「村山富市首相談話」などの見直しを主張する日本国内の声について「韓国国民もいつも反省、謝罪しろと言っているのではない。表明したことはちゃんと守ってほしいという願いだ」と強調した。 会合は非公開で、議連の額賀福志郎会長が大使の発言内容を記者団に説明した。

韓国大手紙「原爆は神の懲罰」 日本政府が抗議 2013年5月23日21時57分

http://www.asahi.com/national/update/0523/TKY201305230367.html

【原爆投下は神の罰】「懲罰」は個人の意見 駐日韓国大使が説明 2013.5.23 22:44 韓国

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130523/plc13052322480018-n1.htm

爆投下は神罰・生体実験犠牲者の復讐韓国紙(2013年5月24日08時41分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130523-OYT1T01136.htm

毎日 韓国:中央日報「原爆は神の懲罰」 広島・長崎の市長が批判 2013年05月24日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/news/20130524ddm041030091000c.html

 韓国紙、中央日報が、広島と長崎への原爆投下を「神の懲罰」と主張する内容のコラムを掲載したことに対し、被爆地の市長から批判の声が上がった。広島市の松井一実市長は23日、「読むに堪えない」と批判した上で、恒久平和を求める被爆者の思いに触れ、「この思いは間違いなく世界に広がっており、日韓両国でも多くの人が共有している。そのような気持ちを傷つけるのはやめてもらいたい」と語った。 長崎市の田上富久市長も同日、「広島・長崎だけでなく韓国にもいる被爆者や、核兵器をなくそうと努力している人を傷つける」と批判し、「核兵器はどういう状況であれば使っていい、報復なら使っていいというものではない」と強調した。一方で、抗議はしない意向を示した。【高橋咲子】

 

「原爆は神罰」は個人的見解 韓国の中央日報 2013/05/24 12:59   【共同通信】

http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013052401001854.html

 【ソウル共同】韓国紙、中央日報が広島、長崎への原爆投下を「神の懲罰」と主張するコラムを掲載した問題で、同紙の広報担当者は24日、共同通信に対し「コラムは執筆した論説委員の個人的な視角と主張に基づくもので、中央日報の立場ではない」と述べた。 また、23日に同紙ウェブサイトの日本語版からコラムの翻訳を削除し、韓国語版ではこうした同社の見解をコラムに付け加えたと説明した。 同紙は24日付紙面に掲載した記事でも同様の見解を表明。在韓国日本大使館の公報文化院から抗議の書簡を受け取ったことや、菅官房長官や松井広島市長、田上長崎市長がコラムを批判したことを報じた。(引用ここまで) 

「『原爆は懲罰』主張は許せない」…日本官房長官が中央日報コラムで抗議

2013年05月24日11時56分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

http://japanese.joins.com/article/980/171980.html?servcode=A00§code=A10&cloc=jp|main|breakingnews

日本の菅義偉官房長官は23日の記者会見で、中央日報20日付の「安倍、丸太の復讐を忘れたか」と題したコラム「キム・ジンの時視各角」について、「誠に不見識だ」と述べた。菅官房長官はこのコラムの「広島と長崎に原爆が投下されたのは神の懲罰であり、日本軍731部隊の生体実験被害者の復讐だった」という内容について、「日本は唯一の被爆国で、原爆に対するこうした認識は断じて許すことはできない」と主張した。駐韓日本国大使館公報文化院の道上尚史院長はこの日、こうした内容の書簡を中央日報に伝え、「日韓両国の国民が冷静に対応していくことが重要だと考える」と強調した。原爆の被害を受けた広島市の松井一実市長も「被爆者の思いを共有する両国民、日韓両国民のまっとうな気持ちを傷つけるようなことをなぜするのだろうか」と批判した。田上富久長崎市長は「内容は論理的でなく感情の産物で、日韓関係を悪化させている」とし「お互いの文化に対する理解を深め、友好関係を構築できるよう努力することが重要だ」と述べた。これに対して中央日報のソ・ギョンホ報道官は「コラムの内容はキム・ジン論説委員個人の見解と主張」とし「中央日報の公式立場ではない」と述べた。(引用ここまで

【時視各角】安倍、丸太の復讐を忘れたか(1) 2013年05月20日08時52分  [中央日報/中央日報日本語版]

http://japanese.joins.com/article/765/171765.html
http://japanese.joins.com/article/766/171766.html
神は人間の手を借りて人間の悪行を懲罰したりする。最も苛酷な刑罰が大規模空襲だ。歴史には代表的な神の懲罰が2つある。

第2次世界大戦が終結に向かった1945年2月、ドイツのドレスデンが火に焼けた。6カ月後に日本の広島と長崎に原子爆弾が落ちた。これらの爆撃は神の懲罰であり人間の復讐だった。ドレスデンはナチに虐殺されたユダヤ人の復讐だった。広島と長崎は日本の軍国主義の犠牲になったアジア人の復讐だった。特に731部隊の生体実験に動員された丸太の復讐であった。

同じ復讐だったが結果は違う。ドイツは精神を変え新しい国に生まれた。だが、日本はまともに変わらずにいる。

2006年に私はポーランドのアウシュビッツ収容所遺跡を訪問したことがある。ここでユダヤ人100万人余りがガス室で処刑された。どれもがぞっとしたが、最も衝撃的な記憶が2つある。ひとつはガス室壁面に残された爪跡だ。毒ガスが広がるとユダヤ人は家族の名前を呼んで死んでいった。苦痛の中で彼らは爪でセメントの壁をかいた。もうひとつは刑罰房だ。やっとひとり程度が横になれる部屋に4~5人を閉じ込めた。ユダヤ人は互いに顔を見つめながら立ち続け死んでいった。彼らは爪で壁面に字を刻みつけた。最も多い単語が「god」(神)だ。
ナチとヒットラーの悪行が絶頂に達した時、英国と米国はドレスデン空襲を決めた。軍需工場があったがドレスデンは基本的に文化・芸術都市だった。ルネッサンス以後の自由奔放なバロック建築美術が花を咲かせたところだ。3日間に爆撃機5000機が爆弾60万個を投下した。炎と暴風が都市を飲み込んだ。市民は火に焼けた。大人は子ども、子どもはひよこのように縮んだ。合わせて3万5000人が死んだ。
(つづく)
満州のハルビンには731部隊の遺跡がある。博物館には生体実験の場面が再現されている。実験対象は丸太と呼ばれた。真空の中でからだがよじれ、細菌注射を打たれて徐々に、縛られたまま爆弾で粉々になり丸太は死んでいった。少なくとも3000人が実験に動員された。中国・ロシア・モンゴル・韓国人だった。丸太の悲鳴が天に届いたのか。45年8月に原子爆弾の爆風が広島と長崎を襲った。ガス室のユダヤ人のように、丸太のように、刀で頭を切られた南京の中国人のように、日本人も苦痛の中で死んでいった。放射能被爆まで合わせれば20万人余りが死んだ。

神の懲罰は国を改造して歴史を変えた。ドレスデン空襲から25年後、西ドイツのブラント首相はポーランドのユダヤ人追悼碑の前でひざまずいた。しとしと雨が降る日だった。その後ドイツの大統領と首相は機会があるたびに謝罪し許しを請うた。過去に対する追跡はいまでも続いている。ドイツ検察は最近アウシュビッツで刑務官を務めた90歳の男性を逮捕した。

ところが日本は違う。ある指導者は侵略の歴史を否定し妄言でアジアの傷をうずかせる。新世代の政治の主役という人が慰安婦は必要なものだと堂々と話す。安倍は笑いながら731という数字が書かれた訓練機に乗った。その数字にどれだけ多くの血と涙があるのか彼はわからないのか。安倍の言動は人類の理性と良心に対する生体実験だ。いまや最初から人類が丸太になってしまった。安倍はいま幻覚に陥ったようだ。円安による好況と一部極右の熱気に目をふさがれ自身と日本が進むべき道を見られずにいる。自身の短い知識で人類の長く深い知性に挑戦することができると勘違いしている。彼の行動は彼の自由だ。だが、神にも自由がある。丸太の寃魂がまだ解けていなかったと、それで日本に対する懲罰が足りないと判断するのも神の自由だろう。
キム・ジン論説委員・政治専門記者 (引用ここまで)

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橋下発言をヒントに、慰安婦問題と拉致問題の一致点と違いを確認し、同時解決のためには何が必要か!

2013-05-24 | 日記

朝鮮中央通信が興味深い論評を発表していました。産経新聞と対比して、慰安婦問題と拉致問題を同時に解決するための視点を考えてみました。 

一つは、愛国者の邪論ごときが言うのも何ですが、北朝鮮における「従軍慰安婦」研究は、まだ遅れているという印象を持ちました。日本の研究資料は手に入らないのでしょうか?これが事実としますと、今後の対話について、課題が見えてきたように思います。 

今後日朝の歴史認識の問題についてどのように対話と交流をしていくかという点についてです。 

北朝鮮にしてみれば、日本国政府と日本の学問世界の乖離をどのように理解して日本国政府と対話するか、です。また民間レベルにおける対話と交流を発展させるという点においても同様です。 

日本側にしてみれば、やはり国交が結ばれていない中、北朝鮮の情報がなかなか伝わってこない中、北朝鮮の学問世界の理解についてどのようにして交流を深めるという点について、です。 

二つは、朝鮮中央通信は慰安婦問題に関して国際的到達点に言及しています。このことついては、この間幾度となく指摘し、資料を掲載してきました。改めて掲載しておきます。日本側でも北朝鮮側でも、以下の指摘は大変参考になると思います。 

国連人権委員会で「武力紛争下の組織的強姦・性奴隷」に関する決議を求める日本弁護士連合会の意見書2000(平成12)年3月16日日本弁護士連合

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2000/2000_9.html

国際法に違反することはしてない? 

三つは、下記に一覧した産経の主張も朝鮮中央通信の主張も、その一致点は、国連・国際法の到達点を踏まえているということです。 

同時に産経は北朝鮮の拉致を批判し、従軍慰安婦問題については、河野談話を認めていません。したがって橋下発言を批判しつつも、憲法改悪のためには、亀裂を避けろと主張するのです。 

北朝鮮は従軍慰安婦を「拉致行為の所産である性奴隷犯罪」として位置づけ、橋下発言を「強制性を否認しようと悪だくみ」「きわめて鉄面皮で、破廉恥な政治的妄動」「世界最大の拉致国としての日本の醜悪なイメージを覆い、過去清算をあくまで回避しようとする」「日本当局が必ず解決すべき深刻な政治的問題であり、歴史的課題」として位置づけています。 

さて、こうした一致点と違いを踏まえ、拉致問題も慰安婦問題も同時に解決する手立ては何か、です。 

最大の一致点である国連・国際法の到達点を両国政府と国民がしっかり踏まえることです。このことは「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した」とする「日朝平壌宣言」でも確認していることです。 

北朝鮮政府は、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した」とあるように、慰安婦問題でも指摘している国際法の到達点を踏まえて「拉致問題」の解決のために、「あらゆる努力を傾注する」「適切な措置をとる」ことです。 

このことは、「双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注すること」を誠実に履行していくことを意味します。 

日朝の交流は、その地政学上から、極めて緊密な関係を持って交流がなされてきました。この歴史を踏まえると、友好と連帯、交流をいっそう活発に発展させていくことに道理があることは明らかです。そのような歴史的関係を踏まえた反省と謝罪と補償が行われることが重要であることは言うまでもありません。さらに、それらを踏まえた対話と交流・連帯を基軸にした新しい関係を構築していくことが必要、かつ重要であることも当然のことです。 

今大切なことは、両国国民が、こうした視点にたって、自国政府を動かしていけるかどうかにかかっているように思います。その点で、マスコミ・教育・企業の果たす役割は大きいと思います。 

それでは、以下、中央通信の前文を掲載しておきます。 

日本軍性奴隷犯罪の強制性は否認できない

http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf;jsessionid=672D7F430842C645BBABC97685333F9B

【平壌5月23日発朝鮮中央通信】日本の右翼保守勢力が日本軍性奴隷犯罪の強制性を否認しようと悪だくみをめぐらしている。日本維新の会共同代表の橋下徹は、軍隊自体が、日本政府自体が暴行と脅迫をして女性たちを拉致したという事実は証拠を通じて立証されなかったという妄言を吐き、共同代表の石原も軍隊と売春は付き回る関係にあるのが歴史の原理である、橋下徹の発言は間違ったものがないと言い散らした。これは、朝鮮とアジア地域の女性たちに対する日本政府と軍の拉致行為の所産である性奴隷犯罪自体を否定するきわめて鉄面皮で、破廉恥な政治的妄動である。日本軍性奴隷犯罪は、徹底的に日本国家によって働かされた組織的犯罪である。日本帝国の憲法に従って司法、行政、立法などすべての国家権力を掌握した日本王と彼の命令、批准のもとで動いた政府と軍部が性奴隷犯罪の主犯である。陸軍省は王の承認、命令のもとで日本軍性奴隷制度を設け、管理した。日本で発行された出版物「天皇の軍隊と朝鮮人『慰安婦』」によると、政府と軍部は「皇軍」29人当たり性奴隷1人が与えられるようにする計画を立て、その実現のための各種の法令と文書を発表した。アジア地域の各国の女性を性奴隷として連行するための拉致行為が軍の命令に従って強行されたということが日本軍の戦時電報と文書、世界各国の数多くの被害者と実見者の証言、軍人の自白によって立証された。1942年3月12日に台湾駐屯日本軍司令官が東条に送った戦時電報には、南方の軍本部から50人の「慰安婦」をブルネイに送ってほしいという要請を受けたことに関連し、憲兵によって選抜された次の3人の人物を「慰安所」管理人に派遣するように承認してくれることを彼に要請すると書かれている。1938年に日本陸軍省が中国駐屯軍に送った「軍『慰安所』従業婦など募集に関する件」には、陸軍次官ウメズの決裁印章が押されている。このような命令は、敗北直前である1945年7月まで軍部隊に下達された。日本軍第12師団、第35師団、第38師団、第59師団など侵略戦争に出たすべての部隊が点領地で軍司令官の指揮のもとで女性たちを性奴隷として拉致し、戦略移動する時には決まって司令部が彼女たちを連れて行った。女性たちに対する日本の拉致、強制連行は、言葉通り徴発、逮捕、恐喝・脅迫、詐欺など肉体的強制と精神的強制を結合した超暴力的犯罪行為であった。日帝によって20万人の朝鮮女性が中国、インド、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、沖縄、北海道、グアムなど日本軍の点領地と彼らが駐屯していた所に連行され、14万6000人がなじみのない異国で命を失い、無縁の仏になった。現実は、日本軍の性奴隷犯罪が王の命令、指図に従って政府と軍部、朝鮮総督府とその傘下警察などが総動員されて強行した特大型の拉致および反人倫的犯罪であるということをはっきりと示している。にもかかわらず、日本の右翼保守勢力が日本軍性奴隷犯罪の強制性をわざわざ否認することには、世界最大の拉致国としての日本の醜悪なイメージを覆い、過去清算をあくまで回避しようとする目的がある。日本の右翼保守勢力は今回、「性奴隷制度は世界各国の軍隊が持っていた」だの、「日本軍性奴隷制度だけ取り上げられるのは間違ったこと」だの、何のとして日本軍性奴隷制度の必要性を口を極めて主張した。これこそ、人の仮面をかぶった野蛮だけが言い散らせる厚顔無恥きわまりないき弁であり、破廉恥さの極致である。日本政府と軍部の直接的な手配、関与のもとで集団的に、露骨に強行された日本軍性奴隷犯罪は時効のない特大型の反人倫的罪悪である。1999年8月に国連人権小委員会で採択された「武力紛争時における組織的強姦、性奴隷および奴隷制類似慣行に関する最終報告書」は、旧日本国によって生じた性奴隷問題を戦争犯罪と規定し、日本政府にこの問題の解決に関連する法律の制定を求めた。しかし、日本右翼保守勢力は過去清算を回避し、自分らの罪悪に満ちた歴史を闇に永遠に覆うために日本軍性奴隷犯罪の強制性の否定にしつこく執着しているのである。日本軍性奴隷問題が発生してほぼ1世紀、国際舞台に上程されて20余年になったこんにちまで解決されずにいるのは、全的に日本の鉄面皮さと道徳的低劣さに起因する。性奴隷犯罪は日本の汚名であり、国恥である。日本は何をもってしても過去の日帝の性奴隷犯罪を覆うことができず、その責任から絶対に逃れられない。これは、日本当局が必ず解決すべき深刻な政治的問題であり、歴史的課題である。(引用ここまで

 

次は、上記の文章のなかで「日本で発行された出版物「天皇の軍隊と朝鮮人『慰安婦』」によると」とありますが、これは三一書房から1976年1月に発刊されたものです。この文章のなかで指摘されている慰安婦の人数については、吉見義明・川田文子編『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』(大月書店97年6月刊)では、以下のように書かれています。 

10 慰安婦が10万もいたというけれど、そんなに多くなかった。だから、名乗り出る人数も少ない。

 慰安婦の総数がどれぐらいか、正確に知ることはむずかしい。というのは、慰安婦の渡航許可名簿・乗船名簿をはじめ、名簿は残されておらず、性病検査の記録も断片的にしかでてきていないからだ。軍関係資料の多くが敗戦時に焼却されたことも大きい。日本・朝鮮・台湾から送りだされた慰安婦については、日中戦争期には、各警察署が渡航許可証をだしていたので警察関係資料がでてくれば、ある程度明らかになる可能性がある。しかし、警察資料はもっともガードがかたいのでその公開は困難だろう。現状では、限られた資料から、ごく大ざっぱな推計をする以外にない。

 陸車では、方面軍や車などが上から配置する慰安婦数として、兵100名に1名という基準をもっていた。たとえば、中国の広東省にいた第21軍司令部の軍医部長は、1939年に「性病予防等のため兵100人につき1名の割で慰安隊を輸入す。1,400―1,600」と、陸軍省で報告している(金原節三「陸車省業務日誌摘録」)。また、『高松宮日記』(四巻)によれば、1942年に陸軍はグアム島を占領するとすぐ、兵4000名にたいし40名の慰安婦を送れといった、という。

 かりに陸海軍がほぼ同様の基準をもっていたとすると、海外への派遣兵力はもっとも多かったときで350万だから、慰安婦のいなかった最前線を除外して、基数を300万とし、慰安婦の入れ替わりをひかえめに見積もって牛分とすると次のようになる(秦郁彦彦氏の計算方式を援用した)。

   3〇〇万÷1〇〇×1・5=4・5万

 これは、車が上から世話をして現地に「輸入」した数字である。これ以外に、各部隊や警備隊・分遣隊などが現地で集めたケースが相当あるので、少なく見積もっても5万はくだらないだろう。入れかおりを2・0とすれば六万となる。

 また、朝鮮・台湾からつれて行かれた女性たちは、長い場合には、在日の元慰安婦・宋神道さんのように7年前後になる場合もあるが、中国・フィリピンの慰安婦の場合、部隊が移動するとともに慰安婦生活が終わるケースが多く、入れかおりはずっと激しいように思われる。

 さらに、各地で一定期間監禁・輪姦されたケースもふくめると、慰安婦の総数は相当な数になるであろう。

 以上から、朝鮮人だけで20万というのは誇大であると思われるが、一般にいわれている8万から20万という数字は、多すぎる数とはいえないだろう。[吉見義明](引用ここまで

というように、両国の歴史認識と資料を両国の研究者、政府を含めて歴史認識を一致させていくことために、資料の交流が、今後の課題と言えます。 

最後に、産経の主張を掲載しておきます。

「慰安婦」問題「決着済み」に根拠なし 20111219()

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-12-19/2011121901_03_1.html

【主張】国連に拉致調査委 国家犯罪の実態をあばけ 2013.3.23 03:13 (2/2ページ)国連

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130323/kor13032303140001-n2.htm

【主張】橋下氏発言 避けたい改憲勢力の亀裂 2013.5.22 03:12 (1/2ページ)[主張

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130522/stt13052203110002-n1.htm

【主張】橋下市長発言 女性の尊厳損ね許されぬ 2013.5.15 03:36 (1/2ページ)[主張

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130515/stt13051503370002-n1.htm

古屋拉致相が靖国参拝、首相は供物 2013.4.21 14:44 安倍内閣

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130421/stt13042114460002-n1.htm

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