子どものころに習っていたピアノで、最後の発表会は小三のときの「エリーゼのために」だった。
そのときは初めて舞台の上でペダルを使うため、かかとの高い靴を買ってもらって弾いた。そのときの録音が残っているが、最後に「レドシラー」で終わるところ「ミドシラー」(*)と弾いてしまって「レドシラー」と弾き直している(^^;; しかしそれ以外のミスタッチはなく、普段より集中するのか本番ではミスが少ないものだったらしい(親の証言による)。
しかし年月が流れ流れて三十年、大人になって舞台に立ったときにははっきりいって別人のようになっており、弾いたのはメンデルスゾーンの無言歌より「さすらい人」だったんだけれども悲惨なことになった。
そのとき、子どもとの連弾と、自分のソロ、二つの出番があった。子どもとの連弾はとても簡単なものであったが、すでにそのとき、舞台袖からライトの当たったグランドピアノを見ると、なんだか弾き始めの音がどこかわからなくなったような気がしてしまい(←んなワケはないのだが)頭が真っ白になったのを覚えている。
それでも連弾は、とても簡単な曲なので、手が硬かったため音質が多少変だったかもしれないが、大過なく弾き終えることができた。
ところがそうやって常ならぬ気持ちで出番を終えたら、次の出番までの間に余計カーッとなってしまって、「さすらい人」を弾くころには、手は冷たくて温めても温まらず、がちがちに硬くなって、まるで棒で鍵盤を無理やり叩いているようだった。
発表会は暗譜で弾くものだと思っていたのでそのときは暗譜だった。家でふつうに弾くときは、譜面なしで練習していて別に音が不安になったことはなかったのだが、そのときは途中からわけがわからなくなってきた。
何年か後になって気づいたのだが、手の感触に頼って(慣れで、なんとなく)暗譜をしてあって、緊張で手の感触がひどく変わってしまうと、当然のことながら暗譜が怪しくなるようである。暗譜が飛ぶと、緊張が激しくなる(ポジティブ・フィードバック)。
最後まで辿り着いたけれど…そのときの演奏は悪夢のようだ。ただし、録音を聞いてみると本人の主観よりは(あくまで比較)多少ましというかまともというか、あれだけ無茶苦茶に緊張してもこの程度には弾いていたんだと思うと(レベル低っ)少しは安心したというか。
何年かあとの発表会で、やはり大人になって初めてピアノの発表会に出た人がいて、その人の表情といい手の動きといい、まさにそのときの私と同じ状況になっているのを見て、あっ仲間!! と思った。
大人が初めて(あるいは久しぶりに)舞台に立ってピアノを弾こうとすると、わりとそういうふうになるものらしい。それは、回数を重ねると少しはましになってくる…らしい。
といっても行きつ戻りつという感じだけれども。二回目からは、とにかく聞いてくださる方のためにも、楽譜を置くようにしているのと、それから、手の運動の慣れだけでわかったような気になって済ますのではなく、なるべく耳から聞く音の響きを確認しておくようにしているので、やや改善したと思う。
その後の発表会例:
ラフマニノフ エレジー: かなり良くなった。ミスタッチは普段よりやや多めだけど雰囲気がよく出せた。
プーランク ノクターン: 後退。なんか音がぜんぜん身についてなくてダメダメ。
ショパン ノクターン第13番: 自分にとっては難しすぎる選曲だったため、ものすごく時間をかけて練習したのが良かったか?? 本番では迫力ある演奏ができた。ミスタッチはやはり普段より多めだったかもしれないけど、気にならなかった。
ファリャ アンダルーサ: 緊張しすぎず上手に滑り出したが、途中で突然がちがちになって外しまくり、途中でまた立ち直ってゴール(^^;;
上記は同じヤマハの発表会での出来事。回を重ねるごとに、緊張している自分を見ているもう一人の自分みたいなのがいて、弾きながら緊張から立ち直ったりすることがあるようになったのがおもしろい。それでいてまだ結局克服はできないのね(^^;; (今年の夏にあったヤマハ発表会の録音はこちら)
これまで、比較的うまくいったときの要因をまとめてみると、
・よく練習してあるとき。「難しいの選んじゃった!! しまった!!」と必死に練習するくらいがよさそう。
・事前に人前で弾く機会があったとき。内輪で「弾き合い会」みたいなのをやったときはわりとよい演奏ができる。
・事前にそのピアノに触れたとき。その会場のピアノを弾いてみることができるとやや安心する。ピアノ見知り(?)するたちなので。
今まで、自分で一番うまくいったと思うのが、ホームコンサート(といっても我が家ではなくてチェンバロの先生のおうちでやったとき)のフォーレのノクターン第一番。このときはとても集中して弾けてふだんよりいいくらいだったかも。ホームコンサートを勘定に入れないとしたら、ショパンのノクターン第13番かな。
あと、連弾を入れてよければ、るんちゃんママと弾いたラフマニノフの、6つの小品よりロシアの歌。るんちゃんママのどっしりした支えに乗ってのびのび気持ちよく弾けて、自分のピアノじゃないみたいな出来だった。連弾は楽しいよねぇ…
でも、もちろんソロだってちゃんと弾けるようになりたい!!
(*) その後、FMラジオで流れていたプロの演奏で、「ミドシラー」と終わっている人がいたので「あのまま終わっておけばよかった」と思った(笑)
そのときは初めて舞台の上でペダルを使うため、かかとの高い靴を買ってもらって弾いた。そのときの録音が残っているが、最後に「レドシラー」で終わるところ「ミドシラー」(*)と弾いてしまって「レドシラー」と弾き直している(^^;; しかしそれ以外のミスタッチはなく、普段より集中するのか本番ではミスが少ないものだったらしい(親の証言による)。
しかし年月が流れ流れて三十年、大人になって舞台に立ったときにははっきりいって別人のようになっており、弾いたのはメンデルスゾーンの無言歌より「さすらい人」だったんだけれども悲惨なことになった。
そのとき、子どもとの連弾と、自分のソロ、二つの出番があった。子どもとの連弾はとても簡単なものであったが、すでにそのとき、舞台袖からライトの当たったグランドピアノを見ると、なんだか弾き始めの音がどこかわからなくなったような気がしてしまい(←んなワケはないのだが)頭が真っ白になったのを覚えている。
それでも連弾は、とても簡単な曲なので、手が硬かったため音質が多少変だったかもしれないが、大過なく弾き終えることができた。
ところがそうやって常ならぬ気持ちで出番を終えたら、次の出番までの間に余計カーッとなってしまって、「さすらい人」を弾くころには、手は冷たくて温めても温まらず、がちがちに硬くなって、まるで棒で鍵盤を無理やり叩いているようだった。
発表会は暗譜で弾くものだと思っていたのでそのときは暗譜だった。家でふつうに弾くときは、譜面なしで練習していて別に音が不安になったことはなかったのだが、そのときは途中からわけがわからなくなってきた。
何年か後になって気づいたのだが、手の感触に頼って(慣れで、なんとなく)暗譜をしてあって、緊張で手の感触がひどく変わってしまうと、当然のことながら暗譜が怪しくなるようである。暗譜が飛ぶと、緊張が激しくなる(ポジティブ・フィードバック)。
最後まで辿り着いたけれど…そのときの演奏は悪夢のようだ。ただし、録音を聞いてみると本人の主観よりは(あくまで比較)多少ましというかまともというか、あれだけ無茶苦茶に緊張してもこの程度には弾いていたんだと思うと(レベル低っ)少しは安心したというか。
何年かあとの発表会で、やはり大人になって初めてピアノの発表会に出た人がいて、その人の表情といい手の動きといい、まさにそのときの私と同じ状況になっているのを見て、あっ仲間!! と思った。
大人が初めて(あるいは久しぶりに)舞台に立ってピアノを弾こうとすると、わりとそういうふうになるものらしい。それは、回数を重ねると少しはましになってくる…らしい。
といっても行きつ戻りつという感じだけれども。二回目からは、とにかく聞いてくださる方のためにも、楽譜を置くようにしているのと、それから、手の運動の慣れだけでわかったような気になって済ますのではなく、なるべく耳から聞く音の響きを確認しておくようにしているので、やや改善したと思う。
その後の発表会例:
ラフマニノフ エレジー: かなり良くなった。ミスタッチは普段よりやや多めだけど雰囲気がよく出せた。
プーランク ノクターン: 後退。なんか音がぜんぜん身についてなくてダメダメ。
ショパン ノクターン第13番: 自分にとっては難しすぎる選曲だったため、ものすごく時間をかけて練習したのが良かったか?? 本番では迫力ある演奏ができた。ミスタッチはやはり普段より多めだったかもしれないけど、気にならなかった。
ファリャ アンダルーサ: 緊張しすぎず上手に滑り出したが、途中で突然がちがちになって外しまくり、途中でまた立ち直ってゴール(^^;;
上記は同じヤマハの発表会での出来事。回を重ねるごとに、緊張している自分を見ているもう一人の自分みたいなのがいて、弾きながら緊張から立ち直ったりすることがあるようになったのがおもしろい。それでいてまだ結局克服はできないのね(^^;; (今年の夏にあったヤマハ発表会の録音はこちら)
これまで、比較的うまくいったときの要因をまとめてみると、
・よく練習してあるとき。「難しいの選んじゃった!! しまった!!」と必死に練習するくらいがよさそう。
・事前に人前で弾く機会があったとき。内輪で「弾き合い会」みたいなのをやったときはわりとよい演奏ができる。
・事前にそのピアノに触れたとき。その会場のピアノを弾いてみることができるとやや安心する。ピアノ見知り(?)するたちなので。
今まで、自分で一番うまくいったと思うのが、ホームコンサート(といっても我が家ではなくてチェンバロの先生のおうちでやったとき)のフォーレのノクターン第一番。このときはとても集中して弾けてふだんよりいいくらいだったかも。ホームコンサートを勘定に入れないとしたら、ショパンのノクターン第13番かな。
あと、連弾を入れてよければ、るんちゃんママと弾いたラフマニノフの、6つの小品よりロシアの歌。るんちゃんママのどっしりした支えに乗ってのびのび気持ちよく弾けて、自分のピアノじゃないみたいな出来だった。連弾は楽しいよねぇ…
でも、もちろんソロだってちゃんと弾けるようになりたい!!
(*) その後、FMラジオで流れていたプロの演奏で、「ミドシラー」と終わっている人がいたので「あのまま終わっておけばよかった」と思った(笑)