「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

             老人医療と異文化

2009-01-11 05:24:30 | Weblog
東北の山中の小さな町で老人医療に携わる知り合いの女医のRさんから年賀をかねて
気配りのある贈物を頂いた。その中に次のような手紙が添えられてあった。
「日本・インドネシア二つの故郷を持つ私は看護師、介護師の問題は心が痛みます。品
物ではなく生身、身体の弱い老人を相手にするには文化の違う人を使ってはいけません」

Rさんは戦争中バリ島にあった旧海軍民政部の軍属だったTさんと現地の女性との間で
生まれた。そして敗戦後、復員の父親と共に母親と一緒に来日した。廃墟の東京で教育
を受け、医科大学を卒業、博士号を得た方だ。そういう訳で彼女にとっては日本とインドネ
シアが祖国であるのだ。

僕も原則的には、Rさんと同様、老人看護は同胞がやるべきで、外国人のお世話になるべ
きではないと思っている。しかし、日本の現実をみるとそれが出来ないらしい。昨年日本
とインドネシア両国とのEDP(経済提携)協定に基づき、現在日本に看護師160人、介護師
131人が来て目下日本語を勉強中である。

Rさんから送られてきた老人医療施設のパンフによると、自然に恵まれたすばらしい環境の
中でお年寄りたちが生き生きとリハビリに励んでいる。この施設では「在宅復帰」「自立」を老
人医療の根本理念とされている。当たり前のことだが、家で家族と一緒に老後が送られるの
が人間にとって最高の幸せなのだ。しかし、現実にはそれができない。それでは、せめて外国
人のお世話にならない医療体制は出来ないものだろうかー。