「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         邯鄲(かんたん) 中国製ギョーザ

2009-01-25 07:06:25 | Weblog
昨年の冷凍ギョーザ中毒事件はやはり中国で殺虫剤が入れられていた。事件後も国
内混入を否定していた中国政府の説を信じ、地元政府が売れ残ったギョーザを企業に
斡旋、これを食べた人が中毒を起こしていた。日本での事件が発生して1年も経つとい
うのに、なぜ今ごろ公表するのかー。忘れっぽい日本人の性格を知ってのことか。ある
いは日中間で"北京五輪までは穏便に”という密約でもあったのだろうかー。

あの当時、この事件について他人事のように言った日本の指導者の顔が思い出せるが
一方で、戦前漢文教育を受けた世代には、横流しされた工場の中に「邯鄲」という名前
があったのは懐かしかった。戦前戦中派は学校で「邯鄲の歩み」(宗子・秋水)「邯鄲の
夢」(枕中記)の諺を習った。「邯鄲の歩み」は自分の本来のことを忘れ、他人を真似ると
両方とも身につかない、という意。「邯鄲の夢」は人の世の盛衰の儚さのたとえ。盧生と
いう若者が邯鄲の宿で枕を借りて寝たところ長生きの夢をみたが、目覚めたらはかない
夢だった。

国会の質疑に"漢字テスト”が出る時代だが、多分、出題者の議員もこのたとえも知らな
いし、邯鄲がどこにあるのかも知らないかもしれない。僕も今、邯鄲が石炭都市で栄える
一方で、公害に悩んでいるのをネットで知った。今回のギョーザ事件で中国はいぜん近そう
にみえて遠い国である、ことを僕は学んだ。