「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

   保護者同伴の大学入学式 軍服姿のわが時代

2010-04-09 06:40:10 | Weblog
明治大学のマンモス入学式の模様をテレビで見て驚いた。あの広い武道館が4千人の
新入生と、その倍に当たる8千人の保護者で一杯なのだ。僕らの世代にとって大学の
入学式に保護者がつきそって出席するなど、とても考えられないことだ。

今や大学の入学式に保護者同伴は、明治大学に限らず当たり前のようだ。僕の娘夫婦
も先日、孫の早稲田大学の入学式に正装して出かけた。婿は会社を休んでである。僕は
"いい年をした子どもの入学式に出るなんて過保護もよいとこだ”と口まででかかったがや
めた。そいう時代なのだ。

僕が大学の予科に入学したのは昭和23年4月。入学式があったのかどうか記憶がない。
もちろん保護者など出席していない。初めて教室でクラス・メートと顔を合わせて驚いた。
同級の中には旧軍服の階級章をとっただけの”おじさん”がいたことだ。戦後まもない頃で
戦地からの復員が遅れて帰国した人たちである。

娘夫婦が入学式の記念品として「W」の印が入ったチョコレートとクッキーを買ってきた。地方
から出てきた保護者の中には、これを数箱も買い宅急便で送っていたそうだ。その時の話で
は、入学式に昔、早稲田のシンボルだった角帽、学生服姿は一人だけ。ほとんどの新入生
は衣類の量販店で求めた背広で、中には同じ柄のネクタイをしめていた。このネクタイは某量
販店のサービス品だそうだ。就活用の背広があるのを聞いたことがあるが、入学式の"制服”
まであるのだ。

僕の同級生のYさんはフィリピン、ジャワ上陸作戦に従軍した歴戦の勇士だ。Yさんの軍服姿
を今でも覚えている。保護者同伴の今の大学生とYさんが同じ大学生とは、とても僕には思え
ない。