「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

エジプト”再革命”と断食月

2013-07-08 06:14:39 | Weblog
明日9日から8月7日頃まで世界のイスラム教徒は断食月に入る。暑い国での断食は大変である。異教徒の僕から見れば同情しきりだが、彼らにとれば、アラーへの御勤めである。今場所十両に昇進、関取の仲間入りしたエジプト出身の大砂嵐もイスラム教徒とのこと。千秋楽まで断食で出場するが、大丈夫なのだろうか。

断食に入って注目されるのは、モルシー大統領退陣をめぐるエジプト”再革命”の行方だ。2011年の”アラブの春”現象で、同国初の民主選挙で選ばれたモルシー政権である。2年間の失政や悪政があったのかもしれないが、、政治的には”冬の季節”に逆戻りしたようにもみえる。モルシー政権の支援母体である「モスリム同胞団」は軍に対して徹底抗戦を呼びかけている。

僕がまだ”駆け出し”の外信部記者だった1950年代もエジプトはお揺れに揺れた時代だった。52年の自由将校団率いるナセル(大統領)の王政打倒クーデター。56年のスエズ運河国有化に端を発した第二次中東戦争。58年のシリアとの合邦による「アラブ連合共和国」(UAR)の成立そして解体。当時エジプトだけでなくアラブ世界の英雄であったナセルは、その著「エジプト革命」の中で”偉大なるエジプト国民”に対話と団結を呼び掛けていた。

アラブ世界に事あるごとに参照に預かっている「アラブ人の気質と性格」(サニア.ハマデイ著サイマル出版社)の中にこういう記述があった。「アラブ人は、怒りの身振りと大声を発して意思を相手に伝える。その話しぶりは衝撃的で、燃えるように激しい。アラブ人と冷静に客観的に話し合うのは難しい。彼らは常に正しく、その返答は否定的である」断食月のひと月、争いが激化しないことを祈るだけである。