「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

"ごっこ”遊びがなくなった!

2015-05-05 05:36:33 | Weblog
昭和10年代、僕が小学生だった時代は”ごっこ”遊びが色々とあった。”ごっこ”遊びとは”ある物事の真似をする”こと(広辞林)。ちょっと想い出しただけでも”電車ごっこ””チャンバラごっこ””鬼ごっこ””お医者さんごっこ””兵隊ごっこ”-etcと懐かしい。”ママごと”もこの範疇の一つであろう。

その中でも”兵隊ごっこ”は僕らにとっては忘れられない。昭和12年、小学校に入学した僕らの世代にとっては、文字通り”銃後の青少年”であり、遊びにも戦争が反映されてた。ガキ大将の呼びかけで、僕たちは原っぱ脇の崖下に掘られた”兵舎”に入隊、日ぐらし、”兵隊ごっこ”に興じた。捕虜にされたものは、”支那兵”みたいに服を後ろ前に着せられ、縄で数珠つなぎにされたりした。日本軍は木刀を持っていたが、”支那兵”は、棒きれの青竜刀であった。

街の至る所に、ローセキで書かれた線路が続き、縄で囲んだ電車が幼い子供をお客にして走り回っていた。原っぱの片隅には女の子たちが、地べたにゴザを敷き”ままごと”遊びをしていた。東京の区部でも、まだ原っぱがあり、自動車の往来も少なかった。僕らは、西の空に夕日が沈み、母親が夕飯だよと呼びにくるまで遊んだものだ。

”ごっこ”遊びが子供の世界から来てからひさしい。”ごっこ”は大人の社会を遊びを通じて自然に学習する遊びだという学者もいる。そういえば、最近の事件の中には、あまりにも子供じみたものがある。子供のときに”ごっこ”遊びをしなかった、そのツケなのであろうか。子供の日でも、家の周囲には子供の遊ぶ姿はない。