「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

南海の孤島の惨殺の記憶と記録

2020-07-08 04:54:16 | 2012・1・1

南海の孤島に近いモルッカ諸島のサギヘ(インドネシア)で戦争中2か月間駐屯していた遠縁の近衛兵の軍歴に関心を持ち調査してみたら、昭和史の大家としてラジオ番組でも活躍されているH氏が雑誌にこの島で島民24人が惨殺されていたという島民の記憶と記録があると紹介している。H氏はこの情報をサギヘに隣接するスラウェシ島から復員したA氏から聴き取り取材している。

僕はA氏と一面識あるが戦争中はスラウェシ島内陸部のソンデルの陸軍部隊の兵士でサギヘにいたことがない。戦後インドネシアに関心をもち、キリスト教の布教をかねて数回、サギヘへ渡り、島民から惨殺の話を聞き、その記録があるのを知った。記録によれば、日本軍は昭和19年5月28日の海軍記念日には住民指導者を招き盛大に祝ったが”6月になると、和蘭のスパイ容疑で24人を次々と逮捕惨殺したという。

結論を先にいってしまうと、この惨殺の話は″眉ツ場””ではないかと思う、確かに戦時中、西カリマンタンのポンティアナなどで住民虐殺はあった。しかし、戦後のBC級軍事法廷で全容は明らかにされ関係者は逮捕され処罰されているが、メナド法廷では”サギヘ事件”については一切ない。スマトラのブキティンギの防空壕で3000人虐殺されあたという虚妄も当然のことながら裁判にかけられていない。戦争の実体験者が少なくなり、戦争が理解できなくなってきた。