その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

プラハ国立オペラ (statni opera praha) La Traviata (椿姫)

2009-12-23 05:04:06 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 今回のプラハ旅行は、欧州のいろいろな歌劇場を見てみたいという思いで企画した旅行でした。プラハにはオペラの劇場が、国民劇場、国立オペラ劇場、スタヴォホスケー劇場の3つがあります。一体、ロンドンでさえ2つなのに、3つもあるというのもびっくりです。国民劇場がプラハではもっともメジャーなようですが、残念ながらこの週末は公演がありませんでした。そこで、プラハ国立オペラの公演に出かけました。演目は「椿姫」です。


 劇場はロンドンのロイヤルオペラハウスよりも一回り小さめです。舞台と観客席が近くとっても一体感があります。場内の装飾は華やかな中にも一定の落ち着きがあります。天井のシャンデリアと装飾が見事でした。






 この歌劇場は最近、来日公演もしたようで、劇場内で配布されていた季刊誌に日本ツアーの模様が報告されていました(チェコ語なので何が書いてあるかはわかりませんが、東京文化会館や鎌倉の写真が載っていました)。

 さて、公演の方については、「椿姫」は久しぶりですが、改めてこの作品の面白さ、音楽の美しさを再認識しました。オーケストラも歌手陣も、こいつはスゴイという印象のものは正直ありませんでしたが、十分楽しめました。横綱級の有名人は居ないようでしたが、堅実な好演だったとおもいます。

 ヴィオレッタのMarina Vyskvorkinaは声量はそれほどではありませんが、清らかで美しいソプラノでした。アルフレッドのTomas Cernyも、話が進むに連れて、調子が出てきて、後半はうっとりするテナーを聴かせてくれました。アルフレッドの父役のMiguelangelo Cavalcantiは、響くバリトンで声はよいのですが、ちょっと一本調子なところが気になりました。それにしても、ヴェルディの音楽は人間の喜怒哀楽を見事に表していますね。

 今回気になったのは演出。正直、好みでありません。衣装もセットも全て白黒のモノトーンタッチで、舞台セットもきわめて簡易なものです。これでは、パーティのシーンも葬式みたいで、全然楽しくありません。椿姫はあの社交界の華やかさと最後のヴィオレッタの寂しさの対比が興味深いと思うのですが、演出者はこの演出で何を狙っているのか正直わかりませんでした。これでは、色彩豊かなヴェルディの音楽も効果半減のような気がしてなりません。

 正直、演出には普段それほどこだわらないのですが、今回は駄目でした。せっかくの好演もこの演出であまり後味の良くないものとなってしまったのが、残念です。 

 ※今日は1階ストール席中央の特等席。それでも値段が1200Kc(6000円程度)。とってもお手頃値段には脱帽です。

 ※カーテンコールは幕があかないので、暗く、撮った写真は全て超ピンボケ。ピンボケの中でもまだマシなのを一枚だけ。


La Traviata (La Traviata)
Giuseppe Verdi (1813 - 1901): La Traviata
Opera in 3 acts

music / Giuseppe Verdi
conductor / Enrico Dovico
stage director / Arnaud Bernard
set designer / Alessandro Camera
costume designer / Carla Ricotti
lighting designer / Patrick Méeüs
choreographer / Gianni Santucci

cast of characters

Violetta Valéry (soprano) / Marina Vyskvorkina
Flora Bervoix (mezzo-soprano) / Alena Miro
Annina (soprano) / Lubomira Popova
Alfredo Germont (tenor) / Tomas Cerny
Giorgio Germont (baritone) / Miguelangelo Cavalcanti
Gaston de Létorière (tenor) / Josef Moravec
Baron Douphal (baritone) / Roman Vocel
Marquis d'Aubigny (baritone) / Ladislav Mlejnek
Doctor Grenvil (bass) / Milan Bürger
コメント
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