その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

塩野七生 『ローマ人の物語〈22〉危機と克服〈中〉』 (新潮文庫)

2011-02-01 23:04:43 | 
西方にゲルマン系ガリア人を中心としたガリア帝国の創設、東方にユダヤ人の反抗、辺境で次々生じる帝国の危機、そしてその危機を克服しようとする「健全な常識人」であり、庶民派であり、軍団たたき上げだったヴェスパシアヌス帝の施政が描かれます。

「独創的でもなく抜群の能力の持ち主でなかったヴェスパシアヌスを一言で評すれば、「健全な常識人」に尽きる。だが、ローマの帝政も一世紀を経たこの時期、いかなるシステムも避けられない制度疲労に似た危機を克服するには、健全な常識にもどって再出発するのが最良の方策であったのだ」(p161)

ヴェスパシアヌスは、平和と秩序の回復を目標にかかげ、「平和のフォールム」の建設、皇帝法の成立による帝政の専制化、財政再建等を手がけます。そして、あの今なおローマに残るコロッセウム(円形競技場)を建設させたのも彼なのでした。

個人的に本書でもっとも関心を持ったのは、辺境の危機であるユダヤ戦役を扱った部分です。筆者は、60ページを割いてユダヤ民族の特殊性も解説しつつ、この時代のユダヤ問題を描きます。筆者が言う特殊性とは、①地理的特殊性(大国シリアとエジプトを結ぶ線上に位置)、②民族の優秀性、③ユダヤ人の離散傾向、④自民族以外を支配下に置いたことがない歴史、⑤一神教であるユダヤ教との関係(宗教が積極的に政治に介入してくる神権政体にならざるえない)です。ユダヤ問題というのが、ローマ時代から現在に至るまで基本的な根っこは同じであるということが驚きです。古くて、新しい問題なのですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナポリ旅行(4):再び国立美術館

2011-02-01 22:36:28 | 旅行 海外

14:50 帰りの列車に乗る


16:00 再び国立博物館へ。復習へ。前日、軽く流した絵が、今度はリアリティをまして見える。こんな絵、昨日見ただろうか? 

17:30 博物館を出て、ホテルで荷物を引き取る。
18:10 バスに乗って空港へ。
18:25 到着。早く着きすぎたので、食堂でリゾットを食べる。
20:10 発予定が遅れて、20:40ぐらい発。
22:15 スタンステッド空港着。
23:05 バス発。24:00 家到着。

サンカルロ劇場とポンペイ遺跡の2日間。あとピザか。青い空とは全く無縁のナポリだったが、とても有意義な旅立った。きてよかった。

(おわり)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナポリ旅行(3):ポンペイ遺跡

2011-02-01 22:25:37 | 旅行 海外

2011年1月31日

7:00 起床 朝から雨。結構降っている。ちょっとがっかり。
7:30 食事 たいしたことないビュッフェ
9:00 チェックアウト
9:40 周遊鉄道に乗る。しょぼい電車。車体中にスプレーの落書きがしてあって、昔のニューヨークの地下鉄みたいだ。
窓から眺めるヴェスヴィオ火山が美しい。段々、晴れ間が時折覗く天気に。

10:20 入場

感動的な遺跡群。当時の様子がそのまましのばれる。日光江戸村のホンモノバージョンだ。フォーラム、神殿、マーケット、家家のつくり、壁絵、庭、通り、劇場、競技場、娼館、パン屋、医者の家、公衆浴場。なぜこの町には人がいないのか?が不思議なくらい。人のざわめき、喧騒が聞こえてくる。犬が時たまあるいるのがまたリアリティを倍増させる。きっと、この時代も犬がいたに違いない。

いくつかの家が錠がしてあって、中に入れないのが残念。

前日に博物館で買ったガイドをもとに歩く。一つ一つ見ていたら丸1日がかりだろう。半分ぐらいでも優に4時間半かかかった。途中で雨が強くなる


歴史を学ぶといことは、自然に対して人間が無力であることを知ることであり、人間の知恵に尊敬を払うことを知ることであり、自分自身の限界を知ることである。

(つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナポリ旅行(2):サンカルロ劇場でオペラ、再びピザ

2011-02-01 22:11:48 | 旅行 海外

6;30 サンカルロ劇場入場  噂どうり豪華絢爛 こじんまりしていて、良い。

7:00開演。 オペラは期待以上に良かった
筋は全くわからない
バロックオペラなので展開事態に面白さは無い。ただ、相当、アレンジがしてある感じ
①舞台が面白い: オケが舞台に上がっている、、白をベースにしたハコモノと照明が上手く組み合わさって美しい。幕間?に男女のペアのブルース歌手の歌なのど掛け合いが3回もあった
②楽器編成が面白い:ソロのプレイヤーが舞台前に出てきて演奏する(ヴァイオリン、ピッコロ、サックス、木琴など)。サックスとかがいる。電子ギターまで出てきた
歌手はこいつは図抜けているというのはいなかったが、そこそこ満足いく歌唱。
音楽がとても美しい。ヘンデルや初期のモーツアルトのオペラのよう
カーテンコールで最後のおじいさんが出てきたが、あの人が演出家だろうか?



10:20 終演
10:30 マルガリータピザ発祥の地といわれるレストランへ
帰りは再びピザ。マルガリータピザ発祥の店で食べる。昼より高いが上手い。ビール、ピザ、サラダで20ユーロ。


11:30 バスを待ったがちっとも来ないし、廻りに怪しげな若者がウロウロしていたので、タクシー拾って帰る。15ユーロ也。多少ぼられた感はあるが、バス停で親父狩りに会うよりいいだろう。

(つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナポリ旅行(1):ピザ・国立博物館

2011-02-01 21:36:14 | 旅行 海外

時系列にて・・・

Janurary 30, 2011

5:16 地下鉄の始発で、ロンドンブリッジ経由でGatwickへ
6:30 Gatwick着 空港は意外と空いていた。オフシーズンなのだろう
7:55 発
スイスアルプスの雪山が美しい

11:25 ナポリ着 暖かい。曇り空。

12:05空港バス出発
バス窓から、屋台で衣類を売る店、かばんを売る店が多数見える。こりゃあ、発展途上国の風景だ。

12:30 ホテルチェックイン
荷物を置いて早速出撃
国立博物館を目指し、ナポリの下町を散歩

13:00 「地球の歩き方」で紹介のピザ屋へ
ピザとワインで6ユーロ
ピザが極うまい 生地がうす柔らかいが底がしっかり。トマトソースとモッツレラチーズが抜群。チーズとトマトソースが溶け合って、ピザ生地の表面でスープみたいになる。これが極上。





ナポリはよそ見して歩くと、車やスクーターに轢かれる。クラクションの音がけたたましい。
うるさい、汚い、狭い、東南アジアの雰囲気が満載で楽しい
狭い小道に洗濯物が一杯干してある。バルセロナにもこんなところあったなあ。
たむろして話をしている集団が多いのも途上国的。一体、何を話しているんだろう。大きな声で叫びあっている。けんかしているわけでもなさそうだし。なんか、イタリア。北イタリアの洗練された雰囲気とはほんと、全然違う。
イギリスもいいが、やっぱり定期的にイギリスの外に出ないと、欧州の奥深さがわからない。ここもヨーロッパなんだ。



14:00頃 国立博物館到着
ローマ帝国時代の彫像のコレクション、ポンペイ遺跡の出土品などが多数。ナポリならではの遺品にあふれている。愁眉
結局、2時間半もいた(14:00-4:30)



サンカルロ劇場へ向けて街歩き
昔はもっとガシガシ歩けたけど、体力落ちたなあ〜。2キロ以上のダラダラ歩きは疲れる。
オペラの切符を引き取って、海を眺める。日没後で既に時遅し。明日はナポリマラソンらしい

(つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする