その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

クリストフ・エッシェンバッハ/ ロンドン・フィルハーモニック/ マーラー交響曲第9番 他

2011-02-26 22:50:12 | コンサート (in 欧州)
やっと週末突入ということで、ロンドン・フィルハーモニックのマーラーの演奏会に出かけた。指揮はクリストフ・エッシェンバッハ。初めての人だが、悟りを開いた禅僧のような風貌。ちょっと、近寄りがたい雰囲気を醸し出している(画像はLPOホームページより)。

一曲目は、歌曲「さすらう若人の歌」。独唱はクリストファー・マルトマン。この間、ロイヤルオペラで『魔笛』でパパゲーノで出て、美しい歌唱と人なつっこい演技で舞台を盛り上げてくれたが、この日も軽やかなオーケストラの演奏にあわせて、抑揚のついた、しみじみ聴き入る歌唱だった。

休憩を挟んで、マーラー交響曲第9番。つい先月、ドゥダメルとロス・フィルのロンドン公演で聴いたばかり。しかし、演奏の印象は全く異なるものだった。前回のロス・フィルが比較的感情を排したさっぱりとした演奏に感じたのと対照的で、この日の演奏は過度な感情表現はないものの、より粘っこい、体にまとわるような音楽で、自分の感情に訴える演奏だった。

特に第2楽章と第4楽章がとても気に入った。第2楽章の民族舞踊的な音楽はとってもリズミカルで聴いていて気持ちが楽しくなるものだった。第4楽章は、弦の重層的なアンサンブルが美しい。前から3列目の席だったので、管の人が見えない上に、弦にかき消されて、良く聞こえないところがあったが、この第4楽章の弦楽器のうねりを間近に聞けるのは、前列ならではある。

確かに、個々の演奏の力では残念ながらロス・フィルに軍配があがると思う。でも、指揮者の強い個性とリーダーシップ、そして、それに答えようとするオーケストラの熱いハートを感じる演奏で、自分の気持ちへの訴えでは、この日の演奏に自信を持って軍配を上げたい。

来週もLSOでマーラーの9番がある。ゲルギーとLSOはどんな演奏を聴かせてくれるだろうか?楽しみだ。



25 February 2011 7:30pm

MAHLER ANNIVERSARY
Mahler Lieder eines fahrenden Gesellen
Mahler Symphony No. 9

Christoph Eschenbach conductor
Christopher Maltman baritone
コメント (6)
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