その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロイヤルオペラ/ マクベス

2011-06-04 23:46:36 | オペラ、バレエ (in 欧州)
緊張感がみなぎる血気あふれる迫力の舞台で、体が震える感動を覚えた。

今回の舞台の立役者はマクベスというよりマクベス夫人。夫人役のリュドミラ・モナスティルスカ(Liudmyla Monastyrska)はウクライナ出身のソプラノ。体格も横綱級だが、とにかくものすごい声量で、ロイヤルオペラハウスの隅々にまで声が響き渡る。4階席の前部に座った私にも空気の振動が直接ぶつかってきて、心臓がドキドキしてしまったほど。会場は彼女が歌う度に憑かれたように拍手、ブラボーが連発だった。難しそうな部分もうまく裁き、テクニックも素晴らしいとお見受けした。

マクベスのキーリンサイドをはじめ、他の歌手も良い出来だった。キーリンサイドという人は、いつも安定している。ちょっとインテリ風でかっこよすぎて、武骨な田舎武人という私の勝手なマクベスのイメージとは違うのだが、最後のソロなんぞは、泣きたくなるほど素晴らしい歌いっぷりだった。

音楽も素晴らしい。パッパーのが振ると、ロイヤルオペラのオケは、いつもとってもイキイキと生気溢れる演奏をしてくれる。今日もヴェルディの音楽を、時に勇壮に、時に深刻に、活気ある音楽を聞かせてくれた。

演出も文句なし。特に凝ったところはないが、音楽と歌を上手に引き立てる舞台だったと思う。

なかなか歌、演奏、舞台が全部まとめて大満足というような公演にはなかなか巡り会えないのだが、今回の公演はこのなかなか巡り会えない公演であったことは間違いない。5月は「ファウストの劫罰」「マクベス」ととっても当たり月だった。

(Lady Macbeth: Liudmyla Monastyrska)


(揃い踏み)


※以下ROHのFaceBookページから借用

(妖精たち。でも妖精って3人じゃなかったけ??)


(キーリンサイドとリュドミラ・モナスティルスカ)
 

(最後の決闘)






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Macbeth
May 27 7:30 PM

Credits
Composer: Giuseppe Verdi
Director: Phyllida Lloyd
Designs: Anthony Ward
Lighting design: Paule Constable

Performers

Conductor: Antonio Pappano

Macbeth: Simon Keenlyside
Lady Macbeth: Liudmyla Monastyrska
Macduff: Dimitri Pittas
Banquo: Raymond Aceto
Malcolm: Steven Ebel§
Lady-in-waiting: Elisabeth Meister§
Doctor: Lukas Jakobski§


コメント
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