その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ハンブルグ国立歌劇場/ チェレネントラ (Humburg State Opera/La Cenerentola)

2011-06-22 23:59:58 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 だらだらと5月末のドイツ旅行のことを書いてきましたが、最終回です。ハンブルグはオペラよりもジョン・ノイマイヤー率いるバレエの方が有名だと思いますが、オペラも1678年にドイツで最初の市民のための歌劇場として開場した歴史ある歌劇場らしいです(石戸谷結子『ひとりでも行けるオペラ極楽ツアー』より)。

 現在の劇場そのものは、街の中心部にはあるもののあまり目立ちません。現代風のコンクリートの建物で外観はそっけないぐらいです。劇場内は、広すぎず、狭すぎずといったところです。受けた感じは、良く言えば質実剛健、悪く言えば無味乾燥です。正直、あんまり、これと言った特徴はありません。

(劇場の外観)
 

(ホール内)


 この日の演目はロッシーニの「チェレネントラ」。いわゆるシンデレラのオペラバージョンですが、賑やかで楽しいので、好きなオペラです。そして、公演自体も、この劇場のチームワーク、総合力を感じるとっても質の高い公演で、ホンワカ心が暖かくなる素適な舞台でした。

 一番の特徴はプロダクションです。ドイツの歌劇場の現代風演出には、さんざん痛い目に合わされたのですが、ユニークな演出もここまで徹底していると脱帽という感じでした。鉄腕アトム風の近未来に舞台を設定し、衣装も鉄腕アトムやスーパージェッタ―からそのまま持って来たような、ぶっ飛んだコミカルなもの。昔風のロボットやローラーブレーダーを自在に操るお姉さんたち、近未来のはずだが60年台風のピカピカに七三分けの男性コーラス陣、60年台風のテレビなど妙なちぐはぐさもあって、可笑しさを誘います。これは完全にわたしのツボにはまったものでした。

 歌手陣は歌唱こそやや小粒だったものの、ヒロインのMaite Beaumont(マイテ・ボーモン?)がはまり役でとってもチャーミング。意地悪なお姉さんたちやお父さんも役作りがとっても良かった。

 演奏も美しいアンサンブルで文句なし。ロッシーニの軽快さとロマンティックさを、緩急の効いたテンポでうまく表現していました。

 ドイツはちょっとした町ならどこにでもレベルの高い歌劇場があるのはさすがです。

(すごいステージでしょ)




(※以下、ハンブルグ国立歌劇場のHより拝借)
 



 2011年5月29日

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La Cenerentola

Musikalische Leitung
Antonello Allemandi

Chor Florian Csizmadia
Don Ramiro; Maxim Mironov
Dandini; Viktor Rud
Don Magnifico; Enzo Capuano
Tisbe; Renate Spingler
Clorinda; Gabriele Rossmanith
Angelina; Maite Beaumont
Alidoro: Tigran Martirossian
Orchester: Philharmoniker Hamburg
コメント (2)
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